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シェイクスピアが生まれた村の名前、知ってますか?

2016年の師走にイギリスに越してきました。イギリス入国に際して取得した就労ビザの有効期間が5年だったので、2021の後半に慌ただしく永住権を取ることになりました。

就労ビザだと、その名の通り、己の存在が雇用に依存する、つまり仕事が無くなったら国外へサヨナラ、ということになりますが、永住権を取ると、仕事が無くても住み続けられるようになります。

「永住権」と書くと、なんともまぁ遠いとこに来たもんだ。。。と感じます。「移民」と似た響きですよね。なんか、こう、「船に乗って大海を超えてきました」みたいな。

今回、永住権の取得に関しては、幸いなことに、雇用先を通じて、移民手続き専門のエージェントに申し込みの準備をお願いできたので、私自身が行ったのは、給料明細など、必要書類を揃えることと、Life In the UK testというイギリスに関する知識を問うテストを受けることくらいでした。

Life in the UK testですが、例えるならば、中学校社会科のテストです。イギリスの歴史と公民に関する知識が問われます。内容は、「広く浅く」で、公式の教材もあります。私はアマゾンのKindleで一番安く買えるこの教科書を使いました。

攻略方法は簡単です。教科書の丸暗記。

中学生の頃の私は、すでに、数学などの、考える能力が試される理系学科での己の限界を知り、とにかく暗記!暗記!暗記!で勝負できる歴史などの文系学科のプロフェッショナルになっていましたが、四半世紀たった今では、その暗記力は見る影もありません。

歴史パートに関しては、昨年、映画「Dig」で見たアングロサクソンの歴史や、週刊誌、昼ドラかよ!というノリのヘンリー8世の辺り以外は全く興味をそそりません。

社会・文化パートに関しては、「イギリス人がよく行くリゾート地」にオシャレな湖水地方やコーンウォールなどが挙げられていますが、「イギリス人が行くのはスペインの地中海沿岸じゃねーのか?」とスペイン人の同居人からの鋭いツッコミ。

特にシンドかったのが、文化人やスポーツ選手などの人名。あと、スコットランド、北アイルランド、ウェールズの歴史や政治経済の微妙な違いですかね。

ともかくテスト前の数日間は教科書を繰り返し読んで、暗記!暗記!暗記!に精を出しました。

で、テスト当日。

住んでいる町の試験会場の予約が全て埋まっていたので、ずいぶん離れた町の試験会場に行くことに。直線距離ではそれほど遠くないのですが、交通の便が悪く、一度ロンドンまで出ないといけないので、片道2時間。

試験会場も、駅からだいぶ離れたところにあり、中華料理店の二階みたいな、小さな会場でした。

受付に行くと、係の女性から、かなり入念なボディチェックをされました。靴下の裏側を見せろ、シャツをたくし上げろ、袖を捲れ。で、極め付けはメガネを見せろ!でした。メガネに何か仕込んで不正ができるような人なら、それはそれでスパイとかになって国益に貢献できる有能な人材なのではないでしょうか。

無事にボディチェックを通過し、試験会場へ。試験はパソコンで行います。形態は選択問題が24~25問だったでしょうか。どこかで聞いた話だと、合格ラインは20問正解とかだったような。

で、第一問!

「シェークスピアが生まれた村の名前は?」

見たことも聞いたこともないような名前が5つ並んでいます。教科書に「シェークスピアの面白コラム」みたいな箱記事が載っていたのはよく覚えています。「あぁ、シェークスピアね。有名だよね。」と、読み飛ばしていたのもよく覚えています。どれほど後悔しても、時すでに遅しです。しかし、第一問で精神的につまづくのは非常に危険です。というわけで、気合を入れ直して、シェークスピアっぽい名前の村を選びます。って、シェークスピアっぽい村の名前って何だよ!?

と、第一問を気合と勘で通過し、第二問、第三問とコマを進めていきます。そのうち「あ、これは知ってる」という問題が増えてきて、テンポよく回答してきます。そして、全問回答。あっという間でした。ただ、答えが不確かな問題が7個くらいあったので、あとは天に運を任せるしかありません。

試験会場から出ると、受付の女性から、「あぁ、あんたパスしたから荷物持って帰っていいわよ」と一言。

え、それだけ?

試験を申し込んだ時に、案内に「試験当日、所要時間は2時間を見ておくように」書かれていたので、試験が終わった後、何か書類を書くとか、合格したら、女王の写真の前にひざまずくとか、色々面倒くさいことがあるんだろうと思っていたので、拍子抜けでした。

というわけで、Life in the UK test、無事に気合と運で通過することができました。帰り道、ケバブ屋により小さなお祝い。

で、シェークスピアが生まれた村ですが、いまだに知りません。



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