面白いって難しい…

今話題の「不適切にも程がある!」切り抜きを見ただけで視聴できなかった昭和世代です。
バリカン事件の職員室シーンの切り抜きの「何ピリピリしてんの更年期?」というセリフだけで、当時のもやもや思い出してダメでした。
「何ピリピリしてんの生理?」「何ピリピリしてんの更年期?」
若い女性には「生理」、ある程度年齢いってる女性には「更年期」
実際に言われると、冗談でも嫌なもんです。陰口でもよく聞きました。
他にも出てくるセリフが上手にあの頃を再現しすぎてて、おもしろ会話に笑いながらも胃に不快感を覚えるという謎現象。
そこら辺をのみこめばクドカン脚本だからきっと面白いし、おそらくそういうセリフが肯定的に使われてるんじゃないとはわかってるんですけどね。
ただ、そういった根底にある女性への差別(区別?)にずっとさらされて生きてきた身だと、ぐぬぬ…となる。
つまりは阿部サダヲさんが、上手に昭和中年男を演じすぎているとも言える!

これは昔、三谷幸喜さんの「みんなのいえ」(2001年)を観た時と同じ感覚…。
こちらも評判のいい映画でしたが、当時、元夫と元夫両親と家を建てている真っ最中だった自分には、中で起こる騒動がまったく人ごととは思えず、ってか結構似てて、見終わった後に具合が悪くなるという…。いや、面白い映画なんですよ!
ただ、ノンフィクションがフィクションにリンクするとまあまあトラウマになり、私の中では二度と観れない映画となってしまいました。

面白いって難しい…

「不適切にも程がある!」吉田羊さん演じる母と息子がタイムスリップした1986年の昭和、自分は中学生でした。

そんな私の昭和の思い出。
小学生の時、女子に人気のあったM君が、中学生になっても髪が長いまま登校してたんですが、数日後男性教師にバリカンで剃られて丸坊主になりました。みんなの前で公開刈り上げです。自分も見てました。なのに当時は「そりゃそうだ」くらいにしか思ってなかったんですね。ノンフィクションって怖い。
あと、長髪のまま通い続けた不良少年のS先輩は、「長髪なら修学旅行に連れて行かない」という教師の交換条件を断固拒否して、修学旅行に行けなかったなぁ。ちなみに他の少年たちは丸坊主にして修学旅行行ってました。

ドラマだと、バリカン刈り上げから庇ってくれる令和時代の母親がいますが、当時は同調圧力で丸坊主正義だったから、お母さん達も何も言えなかったでしょう。

あの時の彼らも、今50代、このドラマを見たらどんな気持ちになるのだろうと思ってます。「そんのこともあったよね」と笑って観れてたらいいな。

さらに、すでに平成に入った時期に就職活動で、某観光会社の就職説明会に行った時の話。その説明会で会社のお偉いさん(もちろん昭和生まれの中年男性)が、女子社員はお嫁さん候補(予備軍?)で、ある程度たったら寿退社して欲しい的なことを堂々と説明の中に差し込んでました。憤慨して「こんなとこで働くもんか!」と応募もしませんでしたが、あそこに就職した女子はいたのかな? 女性は寿退社が当然だった時代。基本給や求められる仕事内容が、男性女性で根本的に違ってました。
正直、「世界を変えてやろう!」的気概のない自分には、女性が上に行ける道筋がまったく見えませんでした。よく「ガラスの天井」などといわれますが、当時は「コンクリートの石棺」くらいに感じてましたよね。

とは言え世の中が変わってきてくれたのは、よく槍玉にあげられる「フェミニスト」や「他国からの圧力」のおかげなんだろうなと思ってます。あとは有能な女性陣が力を発揮して、世界の見方を変えてくれたおかげ。他の人が変えてくれた社会システムに乗っかって生きてます。

おかげで、大会社での出世はできませんでしたが、何かしらあるたびに憤慨して奮起した結果、今は自分の個人会社でまあまあ生きてけるくらいは稼げるようになりました。
社会性と協調性にやや問題があり、人の下でも上でもやることができなかったのは、女性だったからなのか、私個人の資質のせいか…。

昭和は今よりは明るい時代だったように感じるけど、結局その昭和の人間が作り上げたのが今の令和の姿…。昭和は懐かしいけど戻りたいほどではないのです。
未来はもはや、平成生まれと令和生まれに託したい。

「不適切にも程がある!」の中のセリフで唯一共感できたのは、「昭和に帰ってトゥナイト見てぇ〜」でした。



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