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五月十五日、今日の一句

五月一五日 桐の花

虚無僧こむそうに 犬吠えかゝる 桐の花

                     明治三〇年(一八九七)
 
 「虚無僧」といっても今では見かけることもほとんどありませんが、袈裟けさを着け深編笠をかぶって尺八でも吹きながら諸国をめぐる修行僧のこと。犬に吠えられて慌てふためいている僧とその道端に咲いている桐の花を配置しています。笠をとればそこには師の顔が、などと勝手な想像するのも面白い。
 
 この年、師は熊本2年目、鏡子と結婚してちょうど1年くらいですが、俳誌「ホトトギス」を通して彼の名は俳句界でも地歩を築きはじめたころです。

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