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六月一二日、今日の一句

六月一二日 薔薇

 薔薇ちるや 天似孫テニスンの詩 見厭みあきたり

                                                                   明治三六年(一九〇三)
 しばらくテニスンの詩集を読みつづけ、ふと窓外に目をやると薔薇が散っていた、というひとコマです。平凡な情景のなかに静寂な時が流れています。鴎外がかって住んでいた千駄木の貸家に居を構え、近くの帝大や一高で「シェークスピア」などを講じていたころの句です。

 師は、この年の正月、英国留学から帰朝したとき、買い集めたたくさんの古書を持ち帰りました。東北大学図書館で保管されていますが、漱石文庫にて一般公開されています。