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五月十六日、今日の一句

五月一六日 時鳥ホトトギス

 明け易き 夜ぢやもの御前 時鳥

                      明治二八年(一八九五)
 
 「明け易き夜」は短い夏の夜のことですが、この字余りの句、いったいどこで切ればいいのか。上記のように「御前」のあとで切るのが自然のように感じます。そうすると、そこまでの部分はふたりの会話になり、場面は枕を交わしている男女のどちらかが「お前(お前さん)、もう外は明るくホトトギスも啼いてるよ」とささやいています。

 松山時代のなかなかに風変わりでつやのある作品です。御前のまえで切れば、まったく別の解釈や連想を膨らますこともできます……  どうぞご勝手に


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