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「曲がったキュウリ」は、僕なのかもしれない。

 5月の日曜日、今朝も家庭菜園の土起こしをしました。さて、今年はどんな野菜を作ってみようかなと思っていますが、いつも放ったらかし栽培になりがち。これまでに唯一この栽培方法が成功したのは、アスパラガス。取っても取っても後から生えてきてくれて、株が残るため何年も収穫することができました。

 そうそう、もう15年ほど前ですが、独身のアパート暮らし時代の頃、隣村の畑を安く借りて野菜作りに精を出した頃もありましたっけ。夏野菜は、あとからあとから実を結ぶので一人では食べきれなかった事を思い出します。

 さて、本題の「曲がったキュウリ」。スーパーで売られているキュウリは真っ直ぐなものばかり。よく言われるのは、消費者が曲がったキュウリよりも真っ直ぐな方が見た目も良いので、真っ直ぐなキュウリを選ぶというもの。まぁ、確かに言われてみるとそんな気がします。私自身、ずっとそう思ってきました。

 しかし、思いました。それは世に言う常識の範疇であって、もしかしたら世間の当たり前と言うものを私自身が鵜呑みにしてしまっていた知識ではなかっただろうか?と、ふと思い至りました。う〜ん、ここは一度、調べてみる価値はあるのかもしれません。

 まずは、私の仮説を考えました。①真っ直ぐな方が、農家さんとしても出荷する箱に梱包しやすくなり、沢山収めることができる。結果、収益があがる。②仲買人・卸業者・流通業者さんは、一箱に収まるキュウリの本数が一定数であれば、販売量を管理しやすい。③消費者にとっては、真っ直ぐな方が包丁で切る時に切りやすく、切り方のレパートリー(輪切り以外にも、短冊切り・スティック切り・千切り、等)がし易い。

 こう考えると、よく「味は変わらないのに、消費者は見た目の良さで真っ直ぐなキュウリばかりを買う」と言うことは、もしかすると当てはまらないのでは?と思えてきました。

 と言うわけで、二次情報ではありますが情報収集をしてみました。インターネットで「曲がったキュウリ」とググってみると、とある野菜ソムリエさんの投稿記事がヒット。これに拠れば、キュウリが曲がる原因の一つに土壌肥料のバランスが悪いことが挙げられるそう。花が咲く時期にタネは形成がされるのだそうですが、この時、土壌の窒素成分が過剰となり、リン酸成分が不足すると、タネが均等に配置されなくなることがある。この結果、タネが少ない場所はタネがある側に引っ張られてしまい、曲がってしまうらしい。ほぉ〜!。ちなみにこの野菜ソムリエさん曰く、曲ったキュウリは、香りが少なく、食感はボソボソ、味が薄く感じられたそうです。

 また、とあるホームセンターの野菜苗の販売担当者の方の動画を見てみると、①土壌の水分不足 ②肥料の不足 ③病気 の3つがキュウリの曲がる原因として考えられるとのこと。しかもキュウリの野菜としての特性は、早採りが適している野菜であり、収穫が遅くなることで株が老化しやすくなり、キュウリはより曲がりやすくなるのだそうだ。

 では視点を変えてみて、プロの生産者である農家の方の見解はないだろうか。生産者の方は、やはり現場の意見であり、なるほどと思えるものを見つけることができた。キュウリは本来、実の重量による引っ張りと引力で真っ直ぐ垂直下に成長するのが本性。しかし、キュウリの子どもの周りに枝やツタがあると、引っかかったり・乗っかかってしまい、うまく伸びることができない。

 農家の方はこれを防ぐために、邪魔となる枝やツタを取り除いて捌いて挙げて、スクスクとキュウリの子が成長できる環境をこまめに整えてあげていると言うのだ。真っ直ぐなキュウリとは、生産者の努力の賜物なのである。もちろん曲ってしまったキュウリはハネだしすることもあるだろう。面白いことに、多少の曲り程度であれば、熟練した農家の方の中には、折れない様に曲がりの部分を真っ直ぐに矯(た)めながら梱包してしまう技をお持ちの方もいるそうである。(専門的な栽培方法としては、摘心栽培・ツル下ろし栽培といった生育法を用いたりされていたりするそうである)

 以上のように「曲ったキュウリ」について考察をしてみました。

 この投稿が、誰かの役に立つかはわからない。誰かにとって面白いと思ってもらえるのかもわかりません。ただ、調べてみて書いてみてわかったことがありました。そう、「私はこの世界の事をよく知らない」のだと。

 大人になって分かっている風な知識をそれなりに蓄えてきた気もしていました。けれども、それはもしかすると " 常識 " というフィルターに、いつの間にか雁字搦めになってしまっていて、本当は何にも知らなかったし、自分で疑問にも思っていなかったことで、何にも分かってはいなかっただけなのかも。

 はたして今の僕は、「真っ直ぐなキュウリ」?それとも「曲ったキュウリ」?どちらでしょうか。

 僕に足りなかったこと。それは想像力を働かせて観ること。



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