見出し画像

「ガスとIHはどちらがいいんですか?」

こんにちは、ハチノです。

今日はここまでめちゃくちゃ答えてきた質問について書いていきたいと思います。

「キッチンの加熱機器はガスとIHどちらがいいいのか」

この質問は本当に多くて、特に家づくり初期段階の方によくいただきます。

なぜ初期にこの二択にぶち当たるのかというと、新築や大きなリフォームの場合は間取りの検討と同時進行でガス管を引くのか電気配線を引くのかという設計に関わってくるからです。

(ちなみにマンションは規約や建物全体の電気容量の関連でIHにできなかったり、できてもかなり機種が限られたりする場合もあります。)

話を元に戻します。

家づくりにおいてはよくあることなのですが、どちらがいいのか正解はないです。
ご家庭の価値観や優先順位で施主様ご自身が決定をしなければいけません。
それが山のようにあるのが家づくり。
(たいへんですよね。渦中の方お疲れさまです。)

専門家である私たちは日々住宅のことを考えていますし
知識量も当然多いのでそれぞれ価値観があるとは思いますが、
あくまでも施主様の決定のお手伝いをすることが仕事と思っています。

迷われている方には価値観に気づけるような質問を投げかけたうえでそれぞれのメリットとデメリットをお伝えしています。

今回はよく迷いの種になるポイントについて私なりの考え方を書いていきます。

料理は好き?楽したい?

IHの強み

IHの良さは何よりも家事が楽になることだと思っています。
ガスコンロと比較するとやはり楽です。
「天板の手入れが楽ですよね」ということは想像がしやすいのですが、
それ以外にも楽になるポイントはあります。
・レンジフード(換気扇)にも油汚れがつきにくくなるので、フードの掃除が楽になる
・調理中に余計な熱が周囲に広がらない
 →調理中の自分に熱が感じられにくい、エアコンの効きが良くなる
・天板の上が平らなので熱を持っていないときは作業台として広く使えるようになる

ガスの強み

ガスの良さは料理の深掘りができるところだと思っています。
まず鍋の種類を選ばない。
IHは土鍋がつかえません。
今は土鍋風鍋が売られていますが、純粋な土鍋でご飯が炊きたい とか
おでんが作りたい とか
そういったことが得意なのはガスです。

あと、軽い鍋が使いたい場合はアルミ鍋やアルミが含まれている多層鍋を検討することもあると思いますが、それもやはりガスの方が調理には向いていると思います。
※IHのオールメタルタイプならアルミ鍋でも加熱はできますが、やはり鉄やステンレス製のIH対応鍋の方が加熱が早かったりするようです。

それから鍋の形状も限定しないです。
底がごろっとしている中華鍋のようなものや、径が小さいミルクパンみたいなものはIHでは限定されます。

ガスも高機能化してきて自動調理ができるものも増えていますが、
こんな感じで「調理器具色々試したい」という方にはガスの方をお薦めしています。

個人的に思うことですが車で例えるとIHはオートマ、ガスはマニュアル車のような感じです。
マニュアル車は操作や手入れににコツや経験やちょっとした手間が必要だと思いますが、そこに愛着型もてたりしますよね。
(私はオートマ免許しかないのでイメージです)

ランニングコスト どっちが安い?

ガスとIHどちらが光熱費かからないんですか?という質問もいただくことがあります。
ですが、これはよっぽど光熱費を下げることが優先度の上位に来ない限り気にしなくてもいいのではと思っています。

オール電化にすればガス併用にするよりも基本使用量を圧縮したり深夜電力が使えるものは深夜に運転させたりして光熱費を抑えることもできます。
しかし、毎日のごはんを作るためのガス代と電気代の単純な比較では大幅な差は出ないと言われています。
光熱費の圧縮が最優先事項なら試算したほうがいい、というレベルです。

災害に強いのは?

これも一概にどちらが強いとはいえないです。
停電した時はIHが使えないですが、ガスは地震で被害を受けると電気よりも復旧に時間がかかると言われています。
都市ガスなのかプロパンガスなのかによっても違ったりします。
その災害の内容によって結果どちらがよかったのかということになってしまいます。

ガスも今は安全設計が義務化されているので空焚きなどは起きにくくなっていますが、物理的に火が出るのであくまでも比較すると火災の原因になりにくいのはIHということは言えますね。

私の先輩の高齢の親戚の話ですが、冬場に着込んで料理をしていたところ、袖から火が燃え移って火傷を負ってしまったそうです。
幸い大事には至らなかったとのことですが、身近に起きた本当にあった怖い話です。

ハチノがどうしたいか

では私がどういう選択をしたかというと、今の家を選ぶ時にはぶっちゃけどっちでもいいと思っていました(またか)。

で、結果現在の加熱機器はガスです。
普通に賃貸の今の家についていたものです。
最近の賃貸はIHのお部屋もそこそこの賃料で存在はしていましたが、そこには私の優先度の高さはありませんでした。


ちゃんと調べてないですが、ホーロートップの3口でローコストなタイプに位置付けられている機種を使っています。
温度調節やタイマーのような便利機能はついていません。
今までの人生でIHを使ったことがないわけではないですが、圧倒的にガスで生きています。

そして子供が生まれてから電子レンジで調理する方法を身につけたり、ホットクックを導入したりしているため一日も火を使わない日というのがちょいちょいあります。

そもそも私の親もアラフォーぐらいのとき日常的に「私は歳をとったらなるべく自分で調理しないようにしたい。将来そういうロボットがきっとできてる。」とか言っていたので、私もばっちり家事を最小限にしたい気持ちが大きい人間に育ちました。

調理家電の進歩が凄まじくて、この仕事を始めた頃の常識と今ではかなり世間も私も価値観が変わってきていると感じています。

10年ほど前は家庭を持ち、家を建てるなら「キッチンを充実させて料理もきっちりやる」という施主様の要望はごく当たり前でしたが、今本当に毎日きっちり料理をすることがその人にとって幸せなのか、大事なことは他にないのか考えます。
なにせ私にとって普段の料理は生きるための手段であり、本格的な料理はイベント的なもののため、たまに娘や夫と一緒にと時間をかけて行うことが楽しくて幸せに感じられるのです。

以前にも軽く紹介したちきりんさんの本で、
ちきりんさんのキッチンは家電が多めに置けてガスの火を一口にしてもらい、作業台を広くするようにしたかったと書かれていました。


近い将来「シンクしかなく、その代わり家電がうまく収められるシステムキッチン」が人気になる可能性だってあると思っています。

価値観が増えていく未来では、家づくりは今と比べれば情報戦ではなく、いかに自分と向き合えるか であったり、未来のことを想像する力が大切になるのかもしれません。

今回もお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?