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令和3年公認会計士試験体験記(5/9):財務会計論・会計学(午後)

※本記事は、こちらから始まる会計士試験体験記の一部です。全体の目次はこちらで見られます。

5.財務会計論・会計学(午後)

5-1.試験結果

短答式試験は176点(不正解は問題5(計算)、問題10(理論)、問題18(計算))だった。計算問題の間違いも、計算ミスではなく会計基準の理解不足によるものである。問題21も初め間違えていたものの、試験中にひっかけに気づいて修正した記憶がある。

論文式試験は第三問が素点53(調整後得点47.55)、第四問が素点52.5(調整後得点45.9)、第5問が素点49(調整後得点46.2)だった。ちなみに会計学全体では素点216点(得点率71.30)である。

第三問から順番に解いていったのだが、時間配分にはやや失敗した。第三問に1時間以上かけ、第四問が終わった時点で45分程度しか残っていなかった。第五問は結局解き終わらず、問題5の問2以降と問題6は空欄のまま提出した(問題7は4行だけ書いた)。

一方、歩留まり(解答した問題の正答率)は以下の通り(判定には大原の解答速報を使った)。第三問の計算問題14問中正解は11問。誤答のうち2問は端数処理による1ズレだった。残りの1問は計算ミスではなく会計基準の理解不足によるもので、某予備校講師も解答速報の作成時に当初誤った箇所である。

第四問の計算問題は10問中10問正解、記号選択問題は6問中5問正解だった。後述のように理論は敢えてうろ覚えで試験に臨んでおり、一問(問題4問2(2))は空欄で提出した。この年は思っていた以上に典型問題が多かったので、試験対策としてはもう少し直前の見直しを多くやっても良かったかな、と試験中に反省した覚えがある。

第五問の記述問題でない箇所(問1は3問と数える)は32問中25問正解。うち6問は時間切れによる空欄で、残り1問は科目名を答える問題(問題4⑤)なのだが、基準上は「~等適切な科目をもって」という規定であり、それっぽいことは書いたので点数が入った可能性はある。


5-2.使用教材など

簿記や会計学に初めて触れたのは、2020年4月に購入したTACの市販テキスト『スッキリわかる日商簿記』だった。財務会計(計算)は、初期にキャッチアップのため講義を集中的に消化して以降は、予備校のカリキュラムに従っていた。講義消化と合わせて付属の問題集を解き、7月から始まったステップ演習・論文演習は全てスケジュール通りに受け、大原のアドバイス通りに繰り返し解いて所要時間と得点を記録していた。演習での相対位置は追加の答案提出で変動するが、概ね取り立てて良くもないが平均以上、という位置取りだったと思う。

ステップ演習Ⅰは論点ごとに分かれていたので復習に便利だった。反復の間隔はあまり厳密なルールは設けず、その日に解きなおす演習の個数を決めたら、定着度がヨリ低いものを選んで解く、という感じで進めていた。解いた回数(初見含む)は全16回平均で7.8回だが、連結・企業結合は比較的多く解いている(10~11回)。初見の点数は平均62.6点(最低28点、最高75点)だった。

ステップ演習Ⅱは全14回で前半10回が論文向け、後半4回が短答向けだった。初見含め解いた回数は第1~10回が平均6.9回、第11~14回が平均2回。初見の点数は第1~10回が平均62.8点、第11~14回が平均77.5点だった。ステップ演習直対(全4回)は初見も含め平均4回解き、初見の点数は平均53.6点(最低23点、最高75点)だった。低い点数は最初に仕訳を全部書いてから解答欄を埋めようと思っていたところ、時間切れで集計が間に合わなかったことによる。反省して試験時の方針を少し変えた。

短答対策の成績推移をみると、演習全10回の平均は165.8点(最低142点、最高184点)、公開模試は144点(99位)だった。

論文演習も反復の対象にしていたが、こちらは一度に全部解きなおすことはせず、大問(第三問とか第五問)の計算部分だけを解く、という感じでやっていた。理論も含む初見の点数は全12回の平均が143.3点(最低127点、最高176点)。公開模試は午後に限ると第1回(3月)が112点、第2回(7月)が123点だった。なお会計学全体では、第1回が素点161点(換算得点60.87、60位)、第2回が素点165点(換算得点56.53、152位)だった。

また論文式試験の過去問は、短答式試験以降に(計算部分のみ)数年分解いた。突っ込んだ分析等はせず、一回ずつ解いただけだった。

講師への質問だが、勉強前半(2021年2月くらいまで)はほぼ利用しなかったものの、後半には、問題を一捻りした場合の会計処理などを(一応自分で答えを考えた上で)質問していた。具体的には、「連結子会社から持分法適用会社に評価差額のある土地を売却した場合、評価差額に係る連結修正仕訳はどうなるか(どこまで実現するか)」「企業結合の計算問題に税効果が登場しないのはなぜか」など。質問は電話を使っていたが、対応する講師が違っても毎回概ね納得できる回答を得ることが出来た。計算問題の出題ミスに気づいたことは無く、一度それを疑って電話質問した時も、結局は記事作成者の理解不足だった(賞与引当金と役員賞与引当金の会計処理が異なる点を正確に認識できていなかった)。

なお、かなり初期に他予備校の教材である財務会計論の「計算コンプリートトレーニング」の使用を検討したが、結局利用しなかった。同教材は「財務会計の計算問題を極めたい受験生が必ず手にすべき究極の教材」ではなく、他教材との両立が容易でない、かなり独特の設計思想に基づいた商品といえる。現時点ではどうか確認していないが、2020年時点では、設計思想がどう尖っているかを作成者自ら動画で解説していた。この点は誠実だと思うが、記事作成者はその設計思想に共感せず、自分には不要であると判断した。


次に財務会計(理論)であるが、これも講義消化後、ほぼ予備校のカリキュラムに従った。2020年8~9月ごろに短答実力養成演習(全6回)があり、これを繰り返し解くとともに「肢別チェック」も利用した。論文対策としては、論文演習の進捗にあわせて「問題集」の解答例を暗記していった。学習後半に配られた「論文総まとめ」も利用した。ただ、「ポケットコンパス」は企業法と同じ理由で使わなかった。

短答式試験以降は、むしろ暗記の精度がやや落ちたと思う。それは、会計基準間で差がある論点等に対して、現行日本基準の理屈を中心に暗記せざるを得ないことを、窮屈に感じるようになったからである。もちろん、試験範囲の中で、基準間で異なる会計処理とそれぞれの正当化根拠を同時に学ぶ場面も多いのだが、試験の性格上、現行日本基準の理屈が中心にならざるを得ない。異なる立場の主張をよく知らないまま、(片側だけの)根拠を正しいものとして暗記するのを苦痛に感じるようになった。
例えば、(管理会計論の例で恐縮だが)後入先出法は米国基準で現在も認められているが、アメリカで容認されている理由と、それを踏まえた上での日本基準の妥当性について見解を述べられるか?また貸倒引当金の算定にあたって売上高基準を認める国もあるが、日本基準が債権残高基準しか例示していない(金融商品実務指針110項)ことの理由と妥当性について見解を述べられるか?記事作成者はこれらの疑問に即答できなかったが、「研究書には手を出さない」ことを基本方針としていたし、試験対策としても有効でないので論点を一定以上に詰めることは先送りにした。しかし現行日本基準の理屈への過剰適合が怖かったので、一定以上に暗記精度を上げるのを避けた面がある。ただし、一方の理屈であっても正確に知っていること自体は有用なので、もう少し割り切って覚えても良かったかもしれない。

問題集の解答例を覚える代わりに、短答式試験以降は会計基準を直接読んでいた。中央経済社の『会計法規集』を買って、各基準の「結論の背景」も含め試験前に一通り目を通した。読んでも理解できないので割と苦痛だったし、試験対策としても効率が良いとは言えないだろうが、現在の監査業務には役立っていると思う。どこまで精度を上げても記憶は完璧ではないので、実務で複雑な論点にあたったら必ず基準に戻って規定・趣旨等を確認することになる。実務で必要となる作業に早く慣れるという意味で、「できるだけ早く一人前になる」という大目標には適っていたのではと思っている。


最後に勉強時間をみると、財務会計(計算)は計1321時間、財務会計(理論)は466.5時間だった。学習開始後の一日平均は計算が2.65時間、理論が1.01時間。6~8月に限ると計算は1.48時間、理論は1.04時間だった。計算は講義消化期(2020年4~5月の一日平均は6.3時間)を除くとステップ演習Ⅰの頃(2020年8月~11月)にヨリ多くの時間を使っているが、短答式試験後もそれなりの時間を割いていたことが分かる。理論の方は、計算に比べると時期ごとにそれほど変動がない。


(続きます)


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