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帯状疱疹ワクチン定期接種へ

6/20のYahoo!ニュースで帯状疱疹ワクチンが定期接種になる可能性が高いと見ました。
今日は帯状疱疹ワクチンについて書かせていただきます。


帯状疱疹ワクチンとは

帯状疱疹ワクチンとはその名の通り、帯状疱疹を予防するワクチンです。
帯状疱疹とは、幼い頃水痘(みずぼうそう)にかかるとそのウイルスが神経節のところに潜伏するようになります。これは水痘にかかった方みなさんです。
日本人成人の9割の方に水痘ウイルスが潜伏しています。
大人になり、自分の免疫力が少し下がった時にウイルスが活性化して、神経の支配領域に沿って水膨れを作り、痛みを伴うという病気です。
その帯状疱疹を予防するワクチンが帯状疱疹ワクチンです。
人によっては帯状疱疹後神経痛という合併症を残す方もいらっしゃるので、そのためにも予防が大事と言えます。

帯状疱疹ワクチンの種類

生ワクチンと不活化ワクチンの2種類あります。

生ワクチン

毒性を低下させた細菌、ウイルスを打ち、症状が出ない程度で免疫をつかせるワクチンです。水痘に対する生ワクチンは乾燥弱毒生ワクチンビケンが日本では主流です。お子さんの水痘予防のワクチンとしても知られています。
帯状疱疹の予防ワクチンとしては50歳以上の方に使用されます。

不活化ワクチン

細菌やウイルスを殺して毒性をなくして、免疫をつけるために必要な成分だけを取り出してワクチン化したワクチンです。
帯状疱疹ワクチンとしては、乾燥組み換え帯状疱疹ワクチンシングリックスが使われます。
こちらは水痘の予防ワクチンには使用されず、帯状疱疹予防ワクチンとしてのみ使用されます。50歳以上の方に使用できますが、2023年から18歳以上で免疫抑制状態(感染症などに弱い状態)の方にも打てるように変わりました。

2種類のワクチンの比較

比較を表にまとめてみました。

文献1 https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1501184?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200www.ncbi.nlm.nih.gov
文献2https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1603800

どちらがおすすめか?

効果的に見ると、断然不活化ワクチンに軍配が上がるのですが、高額です。
実際外来で相談されると、患者さんの基礎疾患やご年齢を加味して、ご提案します。免疫抑制状態にある方は、不活化ワクチンしか打てないです。年齢はご高齢になればなるほど帯状疱疹後神経痛のリスクが上がるので、50歳になったばかりで、打った方がいいかなと心配していますという基礎疾患のない方にはまずは生ワクチン打って、今後補助が出るようになったら、不活化を検討してもいいかもしれませんとお話しすることもあります。
あとはご本人さんがどれだけ帯状疱疹後神経痛に対して心配されているかにもよります。ご家族がなられて痛みで苦しんだのを見ていて、お金を出してもいいから予防したいとおっしゃる方には不活化ワクチンを勧めますし、やはりお金そこまでは出せないけど予防したいという方には生ワクチンをお勧めいたします。
またご年齢が高いほど、帯状疱疹後神経痛のリスクは上がるので、例えば80代の方が、最近ご家族やお友達が帯状疱疹になって辛そうだったから打ちたいけどどっちがいいですか?と聞いていらしたら、まずお勧めは不活化ワクチンですとお答えはします。お勧めは不活化ワクチンですけど、高いですよね、やっぱりその値段は出せないですと言われたら、生でも十分打つ価値はあるので、打ちましょうとお話しします。

今後定期接種になったときにこの価格差をどのように補助してくれるのかは、これからの協議によるのだと思います。
皮膚科医としては、必要な方にしっかり効果の高いワクチンを届けれるようになればいいなと期待しております。

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