蕁麻疹の原因は?
診察室から、系統的なまとめというより、質問が多いことについて今日は書きたいと思います。
蕁麻疹についてです。
皮膚科の中でも馴染みのある疾患かと思います。
蕁麻疹が皮膚に出て外来受診される方の中では、「原因はなんですか?アレルギー検査希望します。」とおっしゃる方が多いです。
そうですよね、今までなかったのに、急に皮膚に赤い膨らみができて痒い、それがしかも全身に出て辛い。となると、原因を突き詰めて、それを避けて出ないようにしたい、日常生活で気をつけて出ないようにしたいと思うのはとても自然な考え方だと思います。
実は私も慢性蕁麻疹患者なので、すごくお気持ちわかります。
初診でいらしたら、いつから、どこに症状が出て、何か心配している原因のようなものはありますか?他のお薬は飲んでいませんか?と聞きます。
発症から6週未満ですと、急性蕁麻疹、6週以上続いていると慢性蕁麻疹と定義します。
時に、カニを食べてすぐ出たんですとおっしゃる方もいらしたりして、そのような方は食物アレルギーの可能性があるため、もう少し詳細な状況を聞いて必要に応じてアレルギー検査を行います。
しかし、そのような食物が原因のことはむしろ蕁麻疹全体の中では少ないです。
食物の関与が疑わしいものとは、食べて1時間以内くらいに蕁麻疹が出現し始めたものです。その食物を食べたら出るので、その後は原因食物を食べないと、出てこないことが多いです。問診をしっかり行い、疑わしければ、アレルギー検査を提案します。
心配している食べ物は思い当たりないけど、アレルギー検査をすれば、この蕁麻疹の原因がわかるかもと言っていらっしゃる方には、毎日繰り返す蕁麻疹の多くは原因がわからないことが多く、アレルギー検査をしても原因は突き止められないですと説明します。(原因がわからないというのは、今の医学の範囲ではということです。また医学が進歩するともっとわかってくることもあるかもしれません。)
これらのガイドライン上でも食物が関与していたり、鎮痛薬を内服した後でない蕁麻疹は検査は闇雲に行うべきではないと記載しています。
但し、慢性蕁麻疹の場合、原因ではなく、誘因となるものがある方がいらっしゃいます。汗をかくと出るコリン性蕁麻疹、寒冷が誘因となって出る寒冷蕁麻疹、引っ掻いたり、荷物を持った部分に一致して赤み膨らみが出る機械性蕁麻疹などです。
これらに対しては、本当にその誘因で出るかどうかの検査を行うことはあります。誘因となるものがあれば、それを避けつつ、抗アレルギー薬と言う蕁麻疹の治療薬での治療を開始します。
幸い蕁麻疹はかなり抗アレルギー薬で治療ができ、最近は難治性のものも治療の幅が広がっています。原因がわからなくとも治療を行うことで、蕁麻疹に悩まされずに日常生活を送ることができます。
今回は細かいまとめというより、よく診察室で質問される蕁麻疹のアレルギー検査についてフォーカスして記事を書かせていただきました。
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