従業員を正当に評価する

はじめに

こんにちは。はちぽちです。
今回は予定通り、評価制度のサンプルを載せます。
とはいえ、ただサンプルを読んでも「ふーん」くらいにしか思われないので、なぜその評価が合理的なのかを丁寧に説明していきます。

想定する組織構成

僕が基本的にIT業界の人間なので、IT企業とします。
ITコンサル、受諾SIer、SES、どの企業でも基本的には組織構成は同じはずです。
また、一部の製造業にもある程度は当てはまるのではないでしょうか。

・プロダクト事業部(コンサルティング事業部)
・営業部
・人事部
・総務部
・経理部

評価とは部署内で完結するものではなく、横断的に見ても公正である必要があります。
人事の達成目標が採用人数だけだった場合、スキルセットが合わずに営業や開発が苦労したり、営業の仕事の取り方がめちゃくちゃで経理や総務が裏で泣いていたりするからです。
評価によって社内に歪みが生まれるのは、やってはいけないことです。
では、具体的にみていきましょう。

大前提

個別に見ていく前に、部署に関係なく抑えるべきポイントを紹介していきます。

・人間関係に問題はないか。
・心身ともに健康であるか。
・自分が休んでも支障が出ないチームを構築できているか。

パフォーマンスに問題ないと本人が言い張っても、どうしても他人は色眼鏡で見てしまうものなので、面倒ごとにならないよう評価に盛り込むのが無難です。
仕事ぶりを見た結果問題がなければ、撤回すればいいだけの話です。

プロダクト事業部

技術者の働き方は多岐にわたりますが、ここではウォーターフォール、アジャイル、社内SEの3種に絞ります。

【ウォーターフォール】
一般的に、各フェーズごとにある程度クリアしたら、ポジションが上がる流れになっております。
とはいえ、同じフェーズの担当者なら同一の評価なのかというと、より明確に定量的に評価されるべきだと思います。

PG担当者なら
・担当した言語が、市場でどれくらいの価値を持つか。
・先行開発を担当していたか。
・担当していた機能の総数。
・GitHubへのCommit粒度が適切であったか。
・関数化の粒度やコーディング規約への統一感など、可読性や保守性。
・ソースレビューを実施していたか。
・適切なカバレッジ設定とテストコードのパフォーマンスなど。

PL担当者なら
・各業務への適切な見積もりと、必要な人員調整。
・メンバーの負荷が調整できているか。
・適切な権限移譲ができているか。
・メンバーが成長できているか。
・メンバーが精神的に健康であるか。
・メンバーの意見を聞く土壌が出来上がっているか。
・急な要請への対応(できるかできないかの判断含む)

PM担当者なら
・案件ごとへの適切なリソース配分ができているか。
・次のリーダーが育っているか。
・メンバーの意見にどれだけ耳を傾けているか。
・顧客との信頼関係が築けているか。(直接指名されるなど)
・会社と顧客双方にとって、納得感がある案件を構築できているか。

【アジャイル】
本開発手法は、異なる役割のメンバーがフラットな立場で働くため、「誰が誰を管理する」といったものではないことを、まず認識する必要があります。
基本的には全員で上流から下流まで走り抜けるため、共通評価項目、役割別評価項目を設けるのが公正でしょう。

共通項目について
・チームのベロシティと、単位ストーリーポイント当たりの技術的難易度。
・最初のベロシティと、最後のベロシティの比較。
・バーンアップチャート、バーンダウンチャートの形。
・最終的なアウトプット。

次は個別に見ていきます。

メンバー
・一人当たりのベロシティ。
・開発言語や担当機能数、コードの出来栄え(既出)。
・デイリーMTGやKPT会での貢献度。

スクラムマスター
・片付けた障害の重要度。
・他チームのスクラムマスターへの貢献度。
・スプリントのレビューやレトロスペクティブなど、チームの運用。

プロダクトオーナー
・バックログの管理ができているか。また、顧客の要望が反映されているか。
・チームメンバーは有機的に機能しているか。

人数の都合で役割が重複する場合は、柔軟に対応してください。

最後に、社内SEについて
・使用言語やアーキテクチャ選定など、自分の市場価値。
・外部に発注する際の、振る舞い。
・自社開発の場合、作業工数をどれだけ削減できたか。

営業部

基本的には、売り上げ目標と実際の数字だけが見られると思います。
ちなみに弊社はSESにも関わらず、営業部ではなく開発チームごとに売り上げ目標が課されています。自分の価格に決定権がないのに、本当に謎です。

開発と営業が仲良くしていくために、僕は下記のような仕組みを提唱しています。
・売り上げ目標を達成しているか。
・既存顧客からリピート受注できているか、また案件規模が拡大しているか。(長期的な収入が見込めるか)
・新規顧客が開拓できているか。
・担当部署のSEに対して、成長支援ができているか。
・SEの要望に応えた案件であるか。
・顧客からのフィードバックが、社内業務やSEに反映されているか。またフィードバックがより良いものになっているか。
・社内の決済フローに協力的であるか。
・顧客との関係は良好であるか。
・市場を理解しているか。
・その他、将来への投資、豆撒きができているか。

人事部

大きくわけて、採用と教育の二軸に分けられます。
また、組織によっては労務管理も含まれるでしょう。
これらに一貫して言えるのは、「開発現場の要請に応えられているか」だと思っています。
具体的に見ていきましょう。

【採用】
・新卒、中途ともに、採用目標に到達していること。
・企業文化を理解した人が入社しているか。
・現場や経営陣が納得したうえで、採用できているか。
・内定者の入社率。
・離職者の離職理由。

【教育】
・研修後、OJT含め実務にスムーズに移行できているか。
・教育プログラムが、現場の要請に合わせて変化しているか。
・新人だけでなく、フェーズに合わせて教育プログラムを用意しているか。

【労務】
・従業員と定期的に面談を行い、現場の要請を拾えているか。
・労働時間が長くなりすぎないよう、常に策を打っているか。
・従業員の働きやすさにコミットしているか。

経理部・総務部

上記部署に比べると定型業務が多いので、まとめさせていただきました。
・滞りなく、タスクを消化しているか。
・人海戦術ではなく、業務をスマートにこなしているか。
・他部署との連携がスムーズに行えているか。

最後に

これが最も大切なのですが

評価は透明性が担保されていること

上層部で調整があっては、全てぶち壊しになります。
弊社は年功序列にかなり寄っており、課長や部長がどんなに定量的な評価をしても、神の見えざる手(笑)によって若手は評価が下がります。
もちろんフィードバックはありません。

従業員が仕事しやすく、成長しやすい環境を作っていきましょう。

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