【短編小説】若き絵描きの話
テーマ『ラピスラズリ』
【朗読】若き絵描きの話
とある村に若い絵描きがおりました
ある日のことです
貴婦人から
貴:「肖像画を描いて欲しい」
と依頼を受けました
絵描きは、喜び勇んで屋敷に
向かいました
貴婦人は、美しい蒼(あお)色の宝石を
彼に手渡し
貴:「コレで 顔料(がんりょう)を作っ て
私の肖像画に使っておくれ」
と言いました
絵描きは、来る日も来る日も
描いては消し、描いては消し
時に発狂し、時に涙し
模索し続けました
┄┄┄┄
様子を見にやって来た貴婦人は
1枚の小さなキャンバスを見つけました
一面 蒼(あお)一色で塗られていて
そこには、殴り書き されていました
" この蒼に釣り合う色を…
やっと見つけた… "
胸騒ぎがした貴婦人は
絵描きを探しましたが
彼の姿は、どこにもありませんでした
コップに入った『どす黒い赤色の
ドロっした液体』が残されているだけでした
村じゅう総出で捜しまわり
貴婦人は捜査依頼しましたが……
……彼の所在を知る者はいません
┄┄┄┄
絵描きが 魅入(みい)られた宝石の名は 【ラピスラズリ】
神秘的な夜空のような宝石
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