留置場のこと 1

 こんにちは、薬物太郎です。ある日突然始まった留置場生活のことを忘れないうちに書いておかなければならないと、そもそもそれが理由でnoteに書き始めたのでした。

 普段と何も変わらない、天気の良かった2021年10月のとある日曜日。朝10時に知り合いの床屋で散髪をして昼頃帰ってきてすぐ。家のチャイムが鳴らされました。私は2階で服を着替えていて、息子が玄関に出ました。

「ねえ、警察が来たよ~」

 息子が心配そうに私を呼びました。ここに引っ越してきて数年、巡査さんが廻ってくる調査訪問の可能性もある。不安な気持ちで玄関に行ってみると7-8人の私服警官がドアの前に立ってました。

 頭の中が真っ白になりました。

 その内の一人から逮捕状と家宅捜査礼状を見せられました。判子の押された公文書ということしか分かりませんでした。

 それより、家の中には覚醒剤とガラスパイプがあります。厳重に隠している訳でもなく、捜索されれば一瞬で出てきます。そっちの方が気になってしかたありませんでした。

 今まで一度にこんな大人数が家に来たことありませんでした。居間で何か隠しているものがあれば先に出して下さい、と言われたのでデスクの引き出しの中のブツを差し出す事にしました。警察の人には、触らずに指差して場所を示すように言われました。

 こうして、パケに入った結晶とガラスパイプ、電子秤が押収されました。

更にキッチンの戸棚からパケに入った大麻も出てきました。大麻の方はどこに隠したか忘れていて、自分ではもう諦めていたものでした。

 更に寝室も捜索され、もう一本のガラスパイプと小分けにした覚醒剤も出てきました。

 1時間位だったのでしょうか。捜索が終わり、道具と薬一式、携帯電話が居間に並べられました。これから、簡易検査を行いますと言われ、覚醒剤と大麻の検査キットを見せられました。検査剤が使用期限内であることを何度も確認させられました。

 目の前で起きている事が何か別世界の事のようで、まだ2ヶ月しか経っていませんが、よく思い出す事ができません。


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