賞味期限?~その期限は、自分で決める事ができるのかも~

いつもありがとうございます。
酒粕専門店「Hacco to go!」開発責任者の石橋です。

ずっと食の仕事をしていると、色々思うこともありまして。

ふと、賞味期限なんて、自分で判断出来るんじゃないかな、食べられるのに捨ててる事多くないかなと思ったので、以前の会社であったこと、今扱っている発酵食品の事を含めて考えてみました。


賞味期限と消費期限

パッケージ食品には「賞味期限」と「消費期限」があります。

賞味期限」は、基本的に長期保存加工された食品につけることが義務付けられていて、メーカーサイドから「美味しく食べられる期間」として表示しています。

消費期限」は、主に日配品と呼ばれるお弁当やお惣菜など、長期保存加工されない商品に記載され、これはこの日時を過ぎると細菌汚染による腐敗が心配なので、過ぎたら食べないでね、という期間です。

大丈夫なのか!?ダメなのか!?

昔の人は、自分の目と舌と鼻で判断していたように思うのですが。


怖すぎるお問い合わせ

食品会社にいると、色々なお問い合わせも多く、前職はそれなりの生産量がある会社だったので、結構な頻度で電話がくるのです。

私は品質管理課の主任を務めていたのですが、よくパッケージの裏に見かける「お客様相談室」の電話は、私達の部署に直通でした。(大手さんは専門部署があるんだと思います。)

電話が鳴ると、後輩たちの背筋がピンって伸びて、一斉に全員が顔を見合わせてジャンケンが始まります。(すみません、そんな舞台裏です。。)

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一番応対慣れしている私がジャンケンで負けると、全員が固唾を飲んで聞き入っているのが分かります。
静かに受話器を置くと、後輩たちが一斉に拍手👏w

「さすが先輩、うまいですね!」とおだてるが、次も出てもらおうという魂胆がミエミエなのですね(笑)

と言うのも、お電話の中には悪質なものもありまして。。

お金を要求されたり、お前の所の商品なんてもう要らないから魚沼コシヒカリよこせと言われたり、あんたじゃ話にならないから責任者だせと怒鳴り散らされたり。

人の顔を見て話さないと言うのは、時に便利ですが心通わない時もあったりします。

20代の大学出たての子たちには、結構きつかったりするわけです。

そのお問合せの中で「それは一大事!」という事故があった場合、緊急会議が開かれます。そして、運送会社の倉庫に大量に保管してある中から、同一日の商品を見つけるべく、探検隊が編成され、空段ボールとガムテープ、軍手を持って社用車で現場へ急行し、倉庫に山積みにされた商品の中から該当商品が出るまで探し続けます。

それが見つかると会社へ持ち帰り、対策を立て、現場会議を行い、持ち帰った商品はゴミになります。商品にできないので。

問題が見つかると商品にできませんから、そのゴミにしなければならない商品を置く為の倉庫まで立てたほど、大量に発生するのです。

ほんのちょっとした事なんですけどね。中身は全く問題なくても「規格」から外れたら「ごみ」なんです。


雑すぎるwけどほっとする、外国パッケージ。

商品がカビていた、パッケージが汚れていたなど、日本の商品では絶対にあり得ない事。色がちょっと違うだけでも大騒ぎ。

人参やトマトだって、毎年お日様の浴びる時間や土の状態によって色が変わるのに。
でも着色料を使ったら、食品添加物は敵!みたいに言われてしまう。

メーカーの努力は本当に偉大だなと、大手さんの手法を学びたくなります。

そんな時、もう日本もこれでいいんじゃない?と思えるのが、外国商品のパッケージ。

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箱開けたら、もう中身!とか。

個包装じゃなくて、まとめてごっそり入ってる!割れてる!とか。

あれ?紅茶なのに紐ついてないの?とか。

なんかもう、これで良いんじゃないかなと、外国商品を見て安心感をかなり持ってしまうのです。

日本人の「おもてなし精神」が、素晴らしい商品を作ってきました。品質も世界一。

だけど、やり過ぎかなと思うようなパッケージは、ゴミを増やすだけのような気がします。

どうでしょう?わたしだけかな。


御用聞きが戻ればいいのに

一番良いのは「サザエさん」だと思っていて。

必要なものを聞いてくれて、必要な分だけ持ってきてくれる。

三河屋のサブちゃん的存在が、あらゆる食材でシステム化すれば良いのにと思うのです。

お豆腐もお肉も牛乳も、必要な分だけオーダー出来て、家の蓋つき容器に入れてってくれるなら、プラゴミも出なくなるのにな。

必要な分しか注文しないから、賞味期限も気にすることなく、廃棄も減るんじゃなかろうか。とか。


酒粕に賞味期限はあるの?

実は私たちの愛する食材「酒粕」は、賞味期限があるような無いような、という食品。

そのままではアルコールが10%前後含まれている為、余計な菌を寄せ付けません。

そして、私たちが作っている「乳酸菌発酵酒かす」は、そのアルコールを抜いてしまうのですが、乳酸菌によって乳酸が作られるためpHがとてもひくくなり、ヨーグルトよりも更に低い3.80程度まで下がります。

こうなると食品の中でも一番怖いとされる、ボツリヌス菌も繁殖が不可能な状態になりますので、非加熱でも比較的安全な食材と言えます。

ただ、酒粕は発酵食品ですので、じわじわと発酵や変性が進んでいきます。

これを「変敗」と呼ぶのか「熟成」と呼ぶのか。

熟成さけかす

好きか嫌いか、って言うところも関係してくると思うのですが(笑)


実際、手作りしたジャムだったり、塩漬けだったり、オイル漬けなんかは、上手に作ると2~3年くらい全然大丈夫だったりします。

かえってコナレてきて、すごく美味しくなったり。

何でも賞味期限という枠で囲い過ぎてしまって、それを過ぎたらもうだめみたいな考え方ではなくて、美味しく食べられる期間に食べきれる量だけを買う、発酵食品の特性を知って熟成のおいしさを知ることで、賞味期間は自分である程度決められる食材ってあるんじゃないかなと思ったりするわけです。


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