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思い出すと恥ずかしい

『あのとき、なんであんなことを言ってしまったんだろう』と思うことは、誰にでもあるのではないだろうか。

最近、思い出すと恥ずかしくなる過去の出来事がフラッシュバックしてしまったので、いっそのこと、ここで書いてみようと思う。

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社会人一年目の頃、私は京都市内に住んでいた。

大学の男友達が就職で大阪に引っ越すにあたり、折りたたみ自転車が不要になるとのことで、それを譲り受けた。というのも、私は少し前に自転車泥棒にあったばかりで自転車を所持していない状況で、ラッキーだったのだ。

だが、その後厄介なことになる。

京都市内は自転車で移動する人がとても多い街。当時、警察官は自転車ユーザーのマナーをいつも監視していた。路上駐輪の撤去は度々行われているし、暗い時間帯に無灯火だと注意を受ける。それだけではなく、どこかの駐輪場に停めているほんの少しの間に、自転車の防犯登録番号をチェックしているほどだった。

「防犯登録が男性名義の自転車に、今女性が乗っていったぞ!」というようなことを見つけると、声をかけてくるのだ。

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不運にもそれに3回も引っかかってしまった。防犯登録の名義変更をしていなかったから。

2回目までは、友人からもらった自転車だと説明すると引いてくれたが、3回目はびっくりするほど執着してきた。急いでいるときだったので、なおさら大変だった。

おじさん警官がいきなり駆け寄ってきて、「その自転車、男性名義ですよね?防犯登録の名義の方に今、電話してくれます?」と怖い顔をして言ってきた。

『社会人一年目の友人に、こんなことのために電話できるかよ!平日の昼間だぞ!』と思った。

「できません。急いでいるのですみません」と言ったら、もっと怖い顔をして自転車のハンドルを押さえてきた。

こわすぎるので、「譲り受けた自転車です。盗んでいませんので!」と言って振り払って、猛ダッシュで逃げてみた。

すると、一方通行の狭い道なのに、猛スピードで追いかけてくるではないか!23歳の女がおじさん警官に追いかけ回されるというまさかの事態となる。

『これじゃ、私は悪人じゃないか。ほんとに勘弁してくれ』と思った。

100m以上逃げて、もうこれ以上逃げたら事故る!と思ったタイミングで渋々止まった。

「なんで電話できないの!事実確認が必要なんです!」とまた怖い顔して言ってくる。

このあと予定があって暇じゃない私は、「別れた彼氏からもらったんです。いろいろあって、電話かけられないんです。これ以上踏み込んできてほしくないことをどうして分かってくれないんですか!」と悲しげに、そして怒り気味に訴えた。(おいおい、突然女優のつもりか?)

すると、「は〜。(ため息)そうでしたか。防犯登録の変更、本人にお願いしてまたやってくださいね」と言って、逃がしてもらえたのだった。

あのときのホッとした気持ちを今だに覚えている。
本当に、「ぼくはやってましぇん」なのだ。

その後、防犯登録の変更は名義人がやらないといけないと知ったが、その友達は今京都にいないし、多忙で京都に遊びにくる気配はなかった。

こうして、京都で女が乗ると厄介な自転車だと思い知らされたことにより、タイヤがパンクしたタイミングで手放した。

あの事件から1年後くらいに元持ち主の友達と会うことがあって、この話をしたら「電話してくれても良かったのに〜」とげらげら笑った。
そりゃそうだよなぁ。だって、複雑な関係じゃないもんな。笑

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今思えば、『なんであんな逃げ方しかできなかったんだ?』という気持ち。
そして、『おい、警察官よ。若者をいじめるなよな!』という気持ち。

何より『警察官と追いかけっこってまじかよ!』と恥ずかしくなる。

もしも今そんなことがあったら、どう対処するだろう?
ちょっと考えただけで、ゾッとした。


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