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019話 圧勝

 裕司は何とかして、その魅惑的な胸を生で拝みたい衝動に駆られ、日々、サトミさんの行動パターンを観察していた。

 基本、病室のベッドでゴロンしている。

 ブラジャー・パンティをベッドの柵に干して乾かす。

・・・小さくてもドア窓から、丸見えだょ〜。

 食事時間の結構前に、自分で決めたホールの定位置に座って居る。

 時々、スモーキングルームにも居る。

 煙草は人の吸い終わった短かいモノを、毎回、貰っている。

・・・ん!? コレだぁ〜〜!!

・・・煙草なら丁度、イッパイ余ってるょ。

 裕司がモーニング珈琲を作る時、多くの患者は珈琲を貰いたいが為に、裕司の傍で列を作る。

 本音では現金でしか譲りたくないけれど、裕司は同情心で

「100円払えないなら、煙草5本なっ!」

 初めのうちは、それらの煙草を欲しがる患者に、1本50円で譲っていたけど、結構な本数を持て余していた。

 裕司の好む煙草はウィンストン1mgだが、集まった殆どの煙草は『うるま』だった。

 そこへきて、煙草を欲する異性の登場に、裕司の心は浮き立った。

「コレあげるぅ〜?」

 ホールのベンチで座って居るサトミさんの真横に近付き、裕司は優しそうな偽善者スマイルで声を掛けてみる。

 すると、とっても可愛いらしい笑顔で、離れそうになる裕司の後を付いて来た。

 裕司は自分の病室の中へ……。

 ちゃんと、同室の3人の患者が居ない隙を見計らっている。

「代わりに、チュ〜しよ?」

 サトミさんは、一瞬の戸惑いを見せたが

「……いいよ」

 あっさり、目を瞑った。

 年齢を感じさせない弾力の有る唇……、裕司は思わず舌を入れそうになってしまったが

・・・誰かに見られたら、マズイ!

急に我に返り

「またねぇ」

 今回はこれくらいで!って感じにした。

 数日後

 初回にあげた7本の煙草が無くなる頃合いだ。

「要るぅ〜?」

 悪魔の囁きをしてみた。

 凄い笑顔で、ホイホイ付いて来る。

「入って!」

 WCの大便用のドアを開ける。

 裕司はサトミに配慮して、女性用WCを選んであげていた。

 狭い個室の中だが人目を気にせずな為、裕司は緊張感が少し取れ、リラックスして唇を合わせられた。

 初めての3北病棟に居た頃、真夜中に女性患者と男性用WCで2人っきりになった時、巡回していた看護師にドア越しに呼ばれ、軽くお叱りを受けた苦い経験が有るので、今回の犯行はかなり綿密になっていた。

 まず、2南病棟に居る看護師全員の動きを把握した。どの時間だと、隙が出来るのか。

・・・20分、…ぃゃ15分でいぃ。

 それくらい短い時間だけでも、無防備になる神の居眠りタイム。

 今こうしてサトミと、くっ付いて居られる時間が、その時間だと分かっているので、更にエスカレートしてみる。

 サトミに回している、裕司の両腕が腰から、脇腹、そして巨乳へと……。

 確かな膨らみで、裕司の理性は振り切れ、Tシャツを上へと捲りあげてイク……。

 大きめの肌色のブラジャーに収まり切らない程の胸……、ずらして直に観る。

 全く垂れてなく、乳首もピンクだ!

 堪らず、舐めてしまう。

「……ん、ぁ!」

 サトミの声が漏れた。

 おそらく、50代の歳の筈なのに

・・・全く問題なぃ。寧ろストライクゾーンだ!

 裕司は、これからが本番と言わんばかりに、サトミのズボンを一気にパンティごと下げ、自分のハーフパンツとボクサーパンツも一気に下げた。

 サトミの右手が、自ら進んで、裕司のいきり立ったモノを握り、しごいてくれる。

 手慣れた様子で、下手に恥じらい嫌がる経験未熟な女より、遥かにやり易かった。

 しっかり、サトミの万万も熟している。

・・・後は出し入れするだけっ。

 それなのに、こんな時に限って、忘れかけてたあの言葉が頭を過った。

「患者さんは、性病を持ってる人も多いよ!」

 2南病棟の看護師、艸楽さんの言葉だ。

 何をどう申し送られたのか、3北病棟で高橋裕司は相当のヤリチン的に伝わっているらしく、転棟して早々に艸楽さんがそう言って、裕司を抑止しようと試みていた。

 この土壇場に来て、その力が発揮されたのだ。

 その言葉を発したのが、艸楽……、裕司の大好きな人っていうのも、力になっている。

「適当な患者さんと遊ぶなら、私を抱いて♡」

 あの言葉は、そう言っている様に聞こえた。
_____________________

 先週、うっかり行き忘れてた、アルコールの院内自助会へ。雨の中、渋々向かう。

・・・もしかしたら、そろそろ新しいアルコール依存症者の女性が顔を出すかもしれないなぁ。

 裕司は、勝手に期待していた。

・・・っ! 居たぁ〜!

 裕司の時間開放中に、チラッと姿を見る事が出来た女性が来て居た。

 真っ直ぐで胸くらいまでの長い髪、色白の肌、何より目を惹くのはTシャツがパツパツで可哀想な胸だ。

 何とか喋る言葉を探していると、ミーティング開始時間の少し前に、1人の人間が入口から一直線に裕司の方角を目掛けて歩いて来る……。

 しかしその人間は、裕司の視界の片隅に入っているだけで、裕司の頭ん中は新しいパツパツ女性の事で忙しく見向きもされずにいた。

「高橋君、久しぶりー!」

・・・!? ……ん? …あぁあ!!

「ひ、久しぶりぃ♡」

「ココ、座っていい?」

「うんっ!」

「…って、何でアッチに座らないの?」

 皆はロの字型に配置されたテーブルの有る所で座っているけれど、裕司だけは毎回、テーブルの無いパイプ椅子だけが4つ置いて有る、隅っこの所に座って居た。

「……アルコール側と、…そ、そぉでない人って感じでっ」

・・・あ、あのタナハラ メグミが? ……今回の入院中、僕がNo.1に好きになった人が! 今、ぼ、僕の隣の椅子に座った!?

 その事よりも、室内に入って来て、他の誰にも目もくれず、裕司に挨拶しに来た様に思えて

・・・これって、凄くな〜ぃ?

 裕司の心はガラッと変わって、タナハラ メグミだけになった。

「こっち空いてるよー? タナハラさーん!」

 いつも司会する奴が、余計な事を口にした為、メグミは席を移動せざるを得なくなった。

 裕司はミーティング中、ずっとメグミの可愛らしい小顔に見惚れていた。

 メグミの話す順番になった。

 話している内容は、裕司の頭に全く入ってこなかったけど、話し声を聴いていられるだけで、裕司は癒され幸せな気分になった。

 新しく来たパツパツの女性と、見比べたりしたけど、メグミには華が有った。

 ミーティング後、期待通り近寄って来てくれたメグミ。

「まさか、退院後も来るとは思いもしなくて、凄く嬉しいょ!」

「先週も来たんですよ?」

 裕司の心には「先週も裕司に逢いたくて来たんですよ」って言ってる様に響いた。

「ゴメン! 先週、外泊後で疲れてたんだぁ。来週も、これからも、ずっと来てくれるぅ?」

「……分かんない。その日その日を過ごしているから……」

 2人は廊下で話し合って居たが、不意にメグミは室内に戻って行った。

・・・多分、司会者らにも言葉を交わしたいのだろぉ。

 喫煙所で裕司がウキウキしながら一服していると、予想通り司会者らと一緒だけど現れた。

 皆と笑顔で喋っているメグミ。

 おそらく、嫉妬と言う感情が湧き上がった。

 裕司は、その思いに気付き

・・・やっぱりメグミの事が、大好きなんだっ!

 そう再認識できた。

 3北病棟、311号室の自分用ベッドで、裕司は横になるが、全然寝付けない。…寝付ける筈がない。

 久々に逢った大好きな人と、もっともっと喋りたかったが出来なかった。

・・・今後、逢ったとしても、この調子じゃ、大好きな想いを伝えられるか分からないょ。

 そう思い至って、『Dear Megumi From Yu-ji』の手紙を無我夢中で、仕上げる事が出来た。置き時計は丁度、午前2時22分。

 更に駄目押しで、ミサンガか革のブレスレットを渡そうと企む。

・・・サオリの時も、これ程の感情が有ったのかなぁ?

 そんな事を思いながら、いつの間にか眠りに付いていた。

 翌朝、8時20分頃

 裕司は約束に応え、干し場に居るサオリとこの時間に初めて向かい会った。

 サオリの病棟の方では、申し送りで看護師がナースステーションに集まる時間は8時20分との事で、裕司もその時間に合わせてみたけど、3北病棟はまだまだ看護師がうろちょろしていて、サオリと大してお喋り出来なかった。

・・・丁度、良かったぁ。

 裕司の心中に、そんな非道い感情もあった。

・・・ホント、僕にはサオリに対する恋愛感情が、無くなったのか?

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