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【ネタバレ】映画「THE FIRST SLUM DUNK」~感想をつらつら~

 映画化されると知ったときからずっと楽しみだった。
 原作を初めて読んだのはいつだっただろうか。兄が全31巻揃えて持っていたスラムダンク。自然とセリフを覚えるくらい何度も繰り返し読んだ。こういう思い出がある人は、日本国中たくさんいるだろう。
 アニメが放映されていた記憶はほんのりあるが、しっかり見た記憶はない。オープニングとエンディングの曲ばかり印象に残っている。そんなアニメでは山王戦は描かれずに終わったらしい。順当に考えれば、映画では山王戦が描かれるだろうと予測していた。

 映画化されるにあたり、声優が総入れ替えなど公開前から批判が多く、あまり期待しすぎないようにと思いつつ劇場に足を運んだ。しかし、あの大きな幕の中で彼らが動き出すのかと思うと、期待せずにはいられなかった。

 そして、物語は沖縄からスタートする。

 ……え、沖縄?なんの話…?山王戦は…?と頭にたくさんはてなが浮かんだが、どこか見覚えのある少年の顔が映った。
 ちょっと重たい二重に、どこか生意気そうな顔。宮城リョータだった。え、リョータって沖縄出身なの?訛ってる…?花道じゃなくてりょーちんからスタートするの?と内心驚きながら、画面に釘付けとなる。
 リョータの過去から始まるのだから、当然湘北メンバー全員の過去を掘り下げていくのだろうと予想していたが、そんな予想はあっさり裏切られた。今作の主人公は圧倒的に宮城リョータだった。思い切ったことするなあ。
 これまであまり描かれてこなかったリョータの過去が描かれるのは、映画オリジナルとしてとても面白いなと思っていたが、後々調べたところ、特別読み切りという形でリョータとソータの物語(漫画ではそこに綾ちゃんも絡む)が描かれていたらしい。とても読みたい。

 ところで、今作は3DCGという手法が取り入れられている(ということを鑑賞後に教えてもらった)。映画の世界もアニメの世界も全然詳しくないので、井上先生の絵そのもののような絵が映し出されるのを見て「これ全部井上先生が手書きしたのかな…」なんてこと本気で考えていたが、そんなことしたらすごい年月がかかるらしい。少し調べてみたら、この3DCGの活用にも賛否両論あったそうな。私は、漫画そのものに命が吹き込まれたように見えて、よくある小綺麗なアニメよりずっと良いなと感じた。

 リョータの過去と並行して、みんな大好き山王戦が行われる。カットされている部分ももちろんあるが、十分見応えのある試合だった(途中、観客席に魚住が見えたのだが、気のせい?)。ラストは、原作同様にセリフのないシーンが続くのだが、これがまた良い。名セリフである「左手は添えるだけ…」も花道の口が動いているが、セリフは言わない。あえて声を取ることで、スラムダンクの世界への没入感を高めて、観客の想像力をかきたててくれたように思う。あと、ずっと花道の影にジャイアンがちらついていたので、ここだけは無声でとてもありがたかった。

 待望の山王戦で原作ファンの心をがっちりとつかみ、そこに、今回はまさかの主役となった宮城リョータの過去を挟むことで、原作ファンにはサプライズ感を、原作未履修の人にはリョータ目線からの湘北バスケ部、そして山王戦への自然な流れを描いたように思う。
 私はどうしても原作ファンなので贔屓目に見てしまっているところがあると思うが、原作未履修の人にはどんな風に映るのだろうか。感想が気になるところである。


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