ヤクルト・吉村貢司郎投手の前半戦/後半戦での変化を考える
2022年の社会人No..1投手との評価を受け、
ヤクルトでも即戦力を期待されていた
吉村貢司郎投手。
しかし、残念ながら怪我に見舞われ、
フル稼働とはいかない状況が続きました。
それでも、
シーズン序盤から終盤にかけて
吉村投手の投球には進化の兆しが見られ、
ファンの期待が膨らむばかりです。
今回は、
ヤクルト主催で吉村投手が先発した試合を
すべてチェックした私、早坂が
吉村投手は23年どう変化していったのか?
(していったように見えたのか?)
を書いていきたいと思います。
※なぜヤクルト主催試合のみか?
→FODで全てアーカイブを見られるので。
逆にビジター登板のアーカイブは無いので
映像チェックはできませんでした!!!
進化① 対左の内角攻め&カットボールの割合上昇
初登板の4/2、4登板目の4/23の投球では、
左打者への攻め方は
・アウトコースのストレート
・バックドア系のスライダー ・フォーク
が基本だったように見えました。
(バックドア=左打者のアウトコースに
ボールからストライクへ入ってくる球)
変化を感じたのは5登板目の4月30日。
捕手が中村×3→内山壮と来て
(少なくとも公式戦では)初めて古賀とバッテリー。
これが関係しているのかは分かりませんが…
左打者に対してインコースを意識的に使う場面が
前の2登板よりは多かったように感じました。
それが功を奏したのか、
結果としても6回1失点でプロ初勝利を掴みます。
この後はカットボールを増やしながら
インコースに直球やスラ,カット系統の球を
投じる割合を増やしていくのですが…。
7,8登板目となる5月16日,24日を見ていて
気になった点がありました。
それは、
インコース狙いの直球やスラ,カット系統の球が
中に入ってきてしまい、それが打たれていたこと。
この頃の吉村投手は直球のシュート癖が強かったのもあって
インコースを狙った球が真ん中にシュートしたり、
インコース狙いのスラ,カット系が
アウトコースから真ん中高めへと曲がる失投になったり。
インコースを攻めたいけれど
それによって甘く入った球が痛打される
そんな場面が頻繁に見受けられました。
そして5/24に緊急降板をしてから
上半身のコンディション不良で数か月の離脱に入ります。
復帰後の二軍調整で長いイニングを投げた2登板を
ピックアップして見ていくと、
特に復帰直前の8/26では
カットボールを多く投げており
故障明けの調整をしながら
カットボールの精度向上を目指していたのかなと
想像できる投球内容となっていました。
吉村投手のカットボールは
球速帯が140㌔前後と速めで、
130㌔前後のスライダーと合わせて
横変化の投球の幅を広げられます。
この流れで一軍復帰登板の9月3日を迎えました。
「インコース攻め,カットボールの成果を出す時だな」
と思って再チェックしたのですが、
この日はプロ初登板の時のような
外角中心の配球が目立ちました。うーん?
カットボールもそこまで使うことなく、
離脱前~戸田でやってきたことと
違う内容になっていたので、
そこはどういう意図だったのか気になります。
その時の解説をよく聞いていると、
五十嵐さんが
「吉村は内角に行きたそう」
と察知していたことや、
捕手の松本選手が対左の外角に構えた時に
逆球で内角に行く場面がしばしばあったことから
バッテリー間で齟齬があったのではないか,
吉村投手が勝手に内角に投げていたのではないか
と疑ってしまう見方をしてしまいたくなりました。
(それまでの登板で、左打者に対して
外→内になる逆球ストレートは見なかったと思うので)
(実際のところどうなのかは分かりません)
その次の登板である9月13日の投球は
その疑念も取っ払う素晴らしい内容だったと思います。
スライダーやカットボールを
左打者の内角に丁寧に投げ込めるところを見せつつ、
直球やフォークもキレていました。
先ほども書いた通り、
対左の内角を攻めようとして
それが真ん中に甘く入ってしまうと
簡単に捉えてくるのがプロの一軍打者。
それにやられてしまわないような
内角攻めの精度向上が課題
のように見えた5月から
改善の色が見えたのが9/13の登板ではないでしょうか。
この日のような多彩な投球を
安定して再現することができれば、
24年はもっともっと勝てると思います。
進化②フォークの落ちが改善
進化、というか本調子に戻した?の方が正しいかも。
ここまでの内容では
スライダーだのカットボールだの
いろいろ言ってきましたが、
やっぱり吉村投手と言えばフォーク。
東芝時代からフォークは代名詞的球種で
キレの良い直球とフォークで
無双してきました。
そのフォーク、
プロに入ってからしばらくは
「東芝の頃もっと良いフォーク
投げていたと思うんだけどな…」
と思っていました。
これはオープン戦の頃からです。
落ち方が明らかに微妙に見えていたし、
「これオープン戦だから隠してるのかな?」
とも思っていたんですが、
実際春に見ていたころは
シーズンに入ってもそんなに良くならず
大丈夫かな…と心配していたんですよね。
プロ初登板の映像を後から見ると
自分の記憶と比較したよりは
フォークの落ちは良かったですが
4月末頃から離脱する5/24までは
後から見返してもよくありませんでした。
フォークと言っても
低めにストーン!と落ちるというより
ストライクゾーン内で
シュート気味に若干落ちる
みたいなフォークばかりだったように思います。
実際フォークを投じる割合は
初登板からだんだんと減っていき、
初登板で20%を占めたフォークが
離脱前2登板では8%前後にまで減少。
5/24までのフォークの空振り率は
たったの9.4%でした。
今思えばこれは、
上半身のコンディション不良と
何か関係があったのかもしれません。
(あくまで推測)
ただこのフォークの渋さも
一軍に復帰した9月以降は改善。
落ち方も目に見えて良くなって
空振りを取っている場面も増え、
シーズン全体でのフォークの空振り率は
13.3%(前半戦まで9.4%)へ上げてきました。
※データで楽しむプロ野球参照
フォークも吉村投手本来の良さが見られて
スラ/カット系の使い方も上手くなったとなると、
来年の吉村投手にはワクワクしかありませんね。
上記以外の変化球
ちなみに、スポナビ一級速報で
「ツーシーム」と表示されていた球種、
実は落ちてないだけのフォークなんじゃないか
と思っています。
純粋なツーシームに見える変化球は
戸田で調整し始めたあたりから
少しずつチラ見せしているような気がしますが
実戦で頻繁に使える球種には至っていない
と個人的には見ていて… 実際どうなんでしょうか。
ツーシームまで綺麗に使いだしたら
理想的な先発投手すぎますよね。
あと、二軍での投球割合で
チェンジアップが含まれているのに
気になった方がいらっしゃるかもしれません。
これは二軍の余裕あるカウントの時に
お試しで投げてみた程度の球種だと思います。
実際投げたチェンジアップを見ても、
抜けまくりで実戦レベルには無いかなと。
もしかしたらこの時試していたチェを
オフに再度取り組んで実用レベルまで持ってくる
なんてことは無いとは言えないんでしょうが笑
あまり考えられないかなあと。
おわりに
以上、吉村投手についていろいろ書いてきました。
こんな感じで別の投手版も
あと1-3人くらいオフに書けたらな
と思っていますので
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