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「美しい幻想風景」を撮る4要素(浅はか編)

前回の記事で、下記の要素をどう組み合わせるかが自然風景の表情を変化させる要素だ、と定義した。

  1. 季節性・状態(新緑、紅葉、開花、枯れ木etc)

  2. 天候(快晴、雨、雪、くもり)

  3. 日光の差し方・時間(朝日、日中、夕日、夜)

  4. 自然現象(靄、霜、露、虹、風etc)

  5. 光の選び方(サイド光、逆光、順光 など光の方向)

  6. 構図

  7. 画角

  8. 現像

  9. オプション(野鳥を入れる、何かしらアイテムを添える など)

その上で、前々回まとめた「目を養う」という自分への宿題、良い写真をたくさん見る の一環として買った日本風景写真家協会の「日本の美しい幻想風景」という写真集?を拝読した。

稚拙ながらも予め風景写真に対する仮説を立てておいたのは良かった。飲み込まれず、冷静に分析ができた。

結論から言って、幻想的な風景写真を形作る要素は整理できてしまった

それが全てとは言わない。風景写真はそんな浅くない。それは当然理解している。だが逆に、この要素を満たせば「幻想的な風景写真」にはなるだろう。

詳細を記す。

幻想的な風景写真とは?

この写真集にはテーマがあり「幻想的な」風景写真である必要がある。さて、幻想的な風景写真とは具体的にどういうことか。

感動する一方で、かなりわかりやすい共通項があった。

その1:霧、霜

私が定義した要素「4.自然現象(靄、霜、露、虹、風etc)」に含まれる「霧」、私の中で同類の「雲海」は、風景写真をわかりやすく幻想的にさせる重要な要素となっている。「霜」も同様だ。

今Macbookの壁紙の風景も偶然ながら朝霧たちこめる秋の山の風景だが、「お!」と目を惹く風景写真の多くに「霧」とか「霜」の要素が含まれていないかは注目ポイントだ。

「幻想的=霧や!」くらい雑に考えても間違いはない気がする。
もし幻想的(異世界感)を写真に付与するなら、間違いなく霧の要素は重要だ。

2023/11/08補記:
霧と言っても、霧の中で撮影したものではなく、一枚の写真の要素として「これは霧だ」と認識できる形が望ましい傾向がある

例えば「霧を見下ろしている」「霧が被写体より下に位置している」ようなもの。具体的には湖面の朝霧、雲海(霧じゃないが)をそれとわかるように撮影した写真を指す。

というのも、霧が発生した森をやや見上げる形で撮った写真を見た時(申し訳ないが参考写真を添付)、それが曇り空であったことと相まって、それが霧なのか雨なのか、霧を霧として判別しずらいものを見て、「霧がありゃ良い」わけではないと感じたためだ。

この場合不思議と幻想さはなく、単に「ガスってるなぁ」「天気悪そうだなぁ」という印象に変わった。

2023/11/14補記:
「霧が霧として認識できるように撮る」に加え、「くっきり写したいものが霧で邪魔されていなこと」も同時に重要だ。

私も上高地の大正池で朝霧を撮り、立ち枯れの木と背景には紅葉の木々をズームアップして撮ったのだが、どうもしっくりこない写真があった。

前述の「ガスってるなぁ」「天気悪そうだなぁ」という印象に近いが、要は霧が邪魔して白っぽくなってしまっているのだ。

よって、朝霧と木々の両方を1枚に収めたい場合、霧は霧、木は木、とハッキリ分離させる(少なくとも木の一番綺麗な場所は霧で隠れてないようにして)ことが大切と理解してきた。

ある意味で当然なのだが、朝霧の美しい風景を撮る上で、その朝霧が邪魔な範囲も存在する、と頭に入れておきたい。

その2:湖のリフレクション

私が定義した要素には含まれないし、そもそも被写体そのものの特性ではあるが、湖を使ったリフレクションが多い気がした。

特に「その1:霧、霜」によって雪化粧がされていない季節の写真、夏や秋の風景写真はリフレクションが多い印象だ。(雪化粧+霧+リフレクション の"全部マシ"のような写真さえあったが)

「幻想的=リフレクションや!」くらい雑に考えても間違いは無い気がする。もし幻想的(異世界感)を写真に付与するなら、間違いなくリフレクションの要素は重要だ。

その3:白色メイン

前述の「霧、霜(雪化粧)」を含むが、白を基調とした写真が多いと感じた。この写真集において、1枚として暗い(黒基調の)写真は無かった。

「幻想的=白基調や!」くらい雑に考えても間違いは無い気がする。もし幻想的(異世界感)を写真に付与するなら、間違いなく白色の面積や、白が映える被写体の選定(白樺とか)は重要だ。

2023/11/08補記:
なお、例えば白飛びなど、単に写真として白けりゃ良いかというとそうではなく、実際に白いモノが多く写り込んでいることが重要だ

本来白いモノ(雪、霧、霜、白樺etc)が、本来の白さを際立たせる形で写ってるのが美しいのであって、本来白くないモノが反射で光っている(緑葉の反射、逆光、露出不正系)は、こと「幻想的な風景を形作る要素になるか?」といえば、Noだ。

その4:朝日か夕日

私が定義した要素「3.日光の差し方・時間(朝日、日中、夕日、夜)」において、大半は「朝日(夜明け)か夕日(マジックアワー)」のどちらかで撮影された写真ばかりだった

「幻想的=夜明けか夕焼けや!」くらい雑に考えて間違いは無い気がする。もし幻想的(異世界感)を写真に付与するなら、間違いなく朝日(夜明け)か夕日(マジックアワー)の時間に撮影すべきだ。なお、基本晴天であることがほぼほぼ前提だ。

以上4点(霧や霜、湖リフレクション、白色メイン、早朝か夕方撮影)は、風景写真に幻想的な一面を付与する上で、最低一つ、可能なら全て取り入れるべき必須要素と分析できた。

以後はオプショナルな要素となる。

その5:二分割構図、垂直・水平の直線が主軸の構図

私が定義した要素「6.構図」において、自然風景ゆえ当然な側面もあるが、例えば白樺の木が垂直方向にシマシマに配置されるよう切り取った構図や、湖面などを使った二分割構図、またはその組み合わせという構図が多い印象があった。

二分割構図ではないが、面積比として下2/3〜4/3程度を花や湖や星空など主題で埋める亜流のパターンはあるが、まぁ正直一緒だ。

その6:ポツン構図

広大な雪景色のなかに、1本だけ木が生えている といった情景も比較的多いと感じた。

まぁそんな構図を自然風景で可能にするのは、ほとんど北海道だが。

その7:川は美しい光芒とセットで

だいたいの川の写真は、それだけでなく光芒がセットになっている。
あれはなんだろうね。それだけで特別感あるものな。

結論

かなり下衆な、うがった分析結果となったが、正直確信をついてしまった気もする。下記要素を満たせば、基本風景写真は人から「幻想的だ!」と評されるのではなかろうか。

  • 【Must】霧がかっている / 霜がかっている / 湖リフレクションがある

  • 【Must】白基調である

  • 【Must】晴天で夜明けか夕日の時間帯に撮影している

  • 【ほぼMust】垂直/水平基調の構図である

人が風景に対して「幻想的だ」と感じる要素は、もしかするとそこまで難しくないのかもしれない。



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