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仕事の心がけは「真・善・美」【キャリコンサロン編集部】

フラットランド。
そう、我々の世界は「フラットランド」に蝕まれているのだ。

これはSF映画のキャッチコピーではありません。
じゃあ、一体何を言ってるのでしょうか?

先日、私はこれまでの人生の中で一番難解だったと思える書籍を完読したのです。その書籍の名は

「人が成長するとは、どういうことか」
(鈴木 規夫 著)

・成人発達理論(ロバート・キーガン)
・インテグラル理論(ケン・ウィルバー)

といった理論をもとに「人の精神的な発達段階」について書かれた本です。

この本を題材とした読書会に参加させていただき、約1年間かけて完読したのです。

もし読書会で一緒に読む仲間がいなければ、この本を完読することはなかったでしょう。誘ってくれて本当に感謝してます。

人の発達段階(ケン・ウィルバー提唱)

と、とにかく難解でした…

ケン・ウィルバーによると人の発達段階は大きく

・前慣習的段階
・慣習的段階
・後慣習的段階


に分かれるそうです。その中でも「後慣習的段階」に到達できる人は人類の数パーセント程度なんだとか。

最初読み始めた時は、

「高度な発達段階に達するための自己啓発本」

かと思いましたが、そんな本では全くありませんでした。

人は高度な発達段階に達することで幸せになるよりも、より苦難な人生が待ち受けているのである。

人がどの発達段階にいるかと断定すること、安易に高度な段階に導くことは危険な行為である。

みたいなことがふんだんに書かれており、人の成長に関する概念が大きく変わる内容です。

人の成長を支援するキャリアコンサルタントとしてはしっかりと理解しておきたいのですが、いかんせん難しい…

こんな難解な本の中に今週のキャリコンサロン編集部からのお題である「仕事の心がけ」につながるものがあります。それが、

「真・善・美」

です。

これは「人としての最高の状態」という哲学的な意味を持つ言葉で、ビジネスの仕方や、理想的な人物像のあり方としても引用されます。

今回紹介した本では以下のように「真・善・美」を定義しています。

◆真(True)
何が正しい客観的な事実であるのか?
を問う領域

◆善(Good)
何が道徳的・倫理的に正しいのか?
を問う領域

◆美(Beautiful)
個人の価値観に照らし合わせて何が正しいのか?
を問う領域

この三つの領域は全て重要であり、物事を考える時には全ての領域を包容する必要があるのです。

ところが現代においては「真」の領域、すなわち「客観的な事実」だけを根拠に物事の価値を決めてしまいがちです。

・数億円で取り引きされる絵画
・全米No.1を記録した映画
・行列ができているレストラン etc…

果たして私たちはこれらの本当の価値をどれだけ理解しているのでしょうか?

ケン・ウィルバーの言葉を借りると、

誰もが容易に認識できる「表層的(フラット)」な領域だけが優先されてしまう状況。それが

「フラットランド」

我々の世界が蝕まれている病理だというのです。

「フラットランド」は私たちの職場でも容易に顔を出してきます。

こんな言葉をアナタはどう思いますか?

結局それはいくら儲かるんだ?ビジネスは儲からなければ意味はない。

いくら努力したと言っても、成果に表れなければ意味ない。

良い業績を上げて良い給料をもらえれば従業員は幸せになれる。

「え?普通じゃん」

と思ったアナタは完全に「フラットランド」に蝕まれていると思います。

かくいう私も恥ずかしながらこの病理に蝕まれ、上記のような言葉を部下に浴びせていた時期がありました。

そんな私もある時に「フラットランド」に違和感を感じるようになります。

その理由は、私や仲間たちが懸命に努力したことが客観的な事実によって無に帰してしまう体験をしたからです。

でも仕事に関する「善」と「美」を明確にしていなかった私はこの「フラットランド」の呪縛からそう簡単には逃げられません。

そうなると、もうどこに向かって進んでいけばいいのかわからない。

こうして私は「キャリア迷子」となってしまい、あてもなく彷徨う日々が続きました。

そんな私は幸いにもキャリアコンサルタントという職業と出会いました。

その活動の中で自己と向き合う機会を多く与えられ、仕事に関する「善」と「美」を明確にすることが出来たのです。

そのおかげで現在では「フラットランド」の呪縛からほぼ抜け出すことが出来たと思っています。

いかがでしたでしょうか?

私の仕事の心がけ。それは常に

「真・善・美」

を持って物事に取り組むことです。

利益や成果だけに捉われることなく「仕事の本質」を常に考えていきたいものです。

さて、冒頭に紹介した書籍。

一度読んだだけでは理解が浅いので、再度読んでみたいと思っています。

しかしながら、そのボリューム並びに難解さ故に一人で読み切れる気が全くしません。

「一緒に読みましょう」

という方がいらっしゃいましたら是非ともお声がけくださいね。

ではまた!

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