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良太さんとファービー #キナリ読書フェス

私は、今回、岸田奈美さんの「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の読書感想文を書くことにしました。


1・私が知っていた岸田さんのこと

 今年の1月から始めたTwitterで、時折、誰かのリツイートで目にするデカイしゃもじを持って満面の笑みのヒト。それが、岸田奈美さんの第一印象。

2・再び岸田さんが私の前に現れた時、それは、この本を知った時

 2020年9月23日、病院勤務の昼休憩の食後、診療台に座って歯磨きをしながらTwitterを眺めていたら、岸田さんの弟・良太さんが本の装丁でページ番号を書かれたというツイートそして怪文書を家族総出で解読するというnoteに出会った。

24歳の弟は、字が書けない(はずだった、怪文書を読むまでは)|岸田+奈美|note(ノート)
https://note.kishidanami.com/n/n9052ccca0bfb

 読み終わった後、数秒後には、もう楽天ブックスで、ポチッていた。(Amazonは、一時的に品切れだと岸田さんが言うので、楽天を開いた)今思うと岸田さんの戦略にまんまと乗ってしまった輩なのかもしれない。

 さすが、楽天!翌日には、ウチの郵便受けに、この本は届いていた。

3・突然だけど、少し私のこと

 私の職業は、作業療法士である。作業療法には、様々な分野があるが、私は、主に身体に障害のある肢体不自由のお子さん、ダウン症などの知的障害、自閉症、ADHDなどの発達障害と言われるお子さんのリハビリや関わる仕事をおよそ20年してきた。

 2020年4月、コロナで、今まで関わってきた親子との繋がりが途絶えてしまった時に、直接会えなくても繋がっていられるように、仕事ではなく、個人的にLINE公式アカウントを立ち上げた。私からは、時々、登録して下さっている親御さんに、私の好きなアーティストや本の話題を送っていた。最初は、LINE上だけでしていたやりとりも、今は、私と親御さんと1対1で、お子さんのこと、自分のこと、趣味のこと、くだらないことを話す「お話し会」の場を定期的に持っている。

4・この本を課題図書に選んだ理由

 この本を読み終えて、いや、読みながら「私が、LINE公式アカウントに登録してくれているヒト達にこの本を紹介したい」と思った。でも、どうして、紹介したいのか、何を紹介したいのか、と考えると立ち止まってしまった。

 本の紹介にある「『笑えて泣ける』岸田家の日々のこと車椅子ユーザーの母、ダウン症で知的障害のある弟、ベンチャー起業家で急逝した父・・・。」それはそうなのだけど、なんか悶々とする。

 身体障害や知的障害、障害のある家族のことが書いてあるエッセイだから紹介したいのか。

 岸田さんが、こんなに様々な困難に遭遇しているのに、明るくエッセイを書いていることを紹介したいのか。

「なんなんだ?何さまだ?私。」という悶々とした気持ち。

 そんな時、特別支援学校や支援団体に、岸田さんのサイン本を献本して下さると言うツイートを目にした。悶々とした気持ちと並行して、「LINE公式アカウントに登録してくれているヒト達に届けたい。手にとってほしい」という気持ちが高まり、私の立ち上げた会が、支援団体と公言できるのかわからなかったけれど、応募した。

 そして、届いた。純粋に嬉しかった。

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 けれど、悶々とした気持ちも続いていた。

 この嬉しさと悶々を整理したかった。読書感想文を書けば、自ずと、私が、この本を紹介したいという理由が、見えてくるのではないか、見えてきてほしい、という想いで、この本を選んだ。

5・この本を紹介したい理由探しの旅

・岸田奈美というヒトと私というヒトの共通点は

 話が飛躍するが、私は、同職種の作業療法士など、専門職と言われるヒトが、親御さんや支援者向けに、発達障害についての講座、講演会などで、話の掴みに「実は、私も小学生の頃はADHDなんですよ。」とか「こう見えて、私もコミュ障なんですよ。」というヒトの話は、その後の話を聞く気になれない。私が、ひねくれているのかもしれないが、「、、、で?だから、何?」「同じだから、何なんだ?そのヒトの気持ちがわかりますよ、とでも言いたいのか?」と思ってしまう。

 その反面、本を読む時、いつの間にか、著者に、自分との共通点、共感する点を探してしまう。「おーそこそこ!」と思ってしまう。この本の中に、その共通点は、どこにあるのか。

基本的にわたしの発する言葉は情報過多であることにも気づいた        どん底まで落ちたら、世界規模で輝いていた P.39 引用

 岸田さんが自分の特徴を表現すると、「情報過多」と表現するのか。

 だから、岸田さんのコトバは、とっ散らかっているのか!

 いや!一見、とっ散らかっているように見えて、頭の中で昔のNHKの「連想ゲーム」のように、絶妙なラインで、私が、「おーーーそれそれ!」とイヒッとなるワードを紡いでくるから、ニクい。いや!ニクめない。

 岸田さんとは、20歳近く歳が離れているのに、同じ境遇で生活してきた姉妹か、はたまた、実は血が繋がっていた姉妹だったかと思ってしまう。勝手に、共感している。

 わたしは、典型的な、ネット弁慶だ。                  SNSやブログであれば、わたしはめちゃくちゃしゃべる。いらんこともいることも、しゃべり倒す。                            上沼恵美子のおしゃべりクッキング並みにしゃべる。料理番組でアシスタントが「本当に外食が一番よろしいわ、夏場は」といい放つ番組を観たのは後にも先にもはじめてだった。大好きになった。                     でも、ひとたびネットの世界を飛び出してしまうと。なにもおもしろいことをしゃべることができない。  ズンドコベロンチョの話をしなくて済んだ P.139引用

 私も、岸田さんのコトバを借りるとまさに「ネット弁慶」。

 調子に乗って、ホイホイ書いてしまう。けれど、実際、会って話すと別人。吃るし、うまくまとめられないし、自分のしゃべることに保険をかけるように「上手く言えないんですけど。」か「何言ってんのかよくわかんないんですけど」が、ヒトと話す時の決まり文句。

 岸田さんは、ご自身のことを「ネットの世界を飛び出してしまうと、なにもおもしろいことをしゃべることができない」というけれど、このキナリ読書フェスでの読書感想文の書き方や筆者との対談を拝見している限りでは、充分におもしろいことをしゃべっている。早口に突き進み、「その道」では「リアル弁慶」でもあるのだと思う。

 私は、「その道」でも、流暢にしゃべれない。

 そんな私と同じ匂いを感じヒトで、真っ先に思い浮かぶヒトは、ハンバートハンバートの佐藤良成さん。

 ハンバートハンバートの曲は、全て良成さんが作詞・作曲されている。私は、数年前に魅了され、いつでもどこでも聴いている。

 そんな良成さんが、ある番組で、お笑いのナイツとの対談しているのを見た。

 彼にとっては、作詞・作曲の話題である「その道」であっても、しどろもどろしているところ、ライヴのMCの時の遊穂さんとの掛け合いの拙さ、ものすごく共感がわく。

 私の「ネット弁慶」は、良成さんの「作詞・作曲弁慶」の方が、共通していると思う。

 あれ?めちゃくちゃ話がそれてしまった。

・ 弟・良太さんを解読する岸田さん

 私が、この本に出会うきっかけになった、良太さんの怪文書を家族総出で解読していくnote。

 カニの写真に「ウニ」とカタカナで、そして「TAKO」とローマ字で書かれている画像を見た時に、良太さんなら、どのように解釈するだろうと解析するくだりを読んだ時、鳥肌が立った。

 私の職業としては、認知・理解が、、、と、兎角、難しい表現を使って、そのヒトを分析して、行動に理由づけをしがちである。

 でも、私は、常に「そのヒトに『ダイブ(飛び込む・成りきる)』して、そのヒトから見えるコト、聞こえるコト、感じるコトを私自身も体感することで、そのヒトを『知る』」ということを心がけている。これは、尊敬する作業療法士から教わったこと。

 それを常に心がけなんてしなくても、岸田さんは、弟・良太さんに当たり前に『ダイブ』して、『知ろう』としている。

弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった P.14〜

どん底まで落ちたら、世界規模で輝いていた P.35〜

の文中にも、その『ダイブ』感が、あふれている。

 そう!これなの!この当たり前の『ダイブ』に共感しているのだ!私は!

・ 弟・良太さんと生きていく、、、英語版ファービーと生きていく、、、

 その岸田さんの良太さんへの『ダイブ』して『知る』ことの当たり前感の原点は「弟・良太を愛している。共に生きている」に尽きるのだと思う。

 それを感じた時、

先見の明をもちすぎる父がくれたもの P.88〜

の中に出てくる、英語版ファービーと遊べるようになるために、果敢に和英辞典と向き合う幼稚園児の岸田さんを思い浮かべる。

 わたしは、このファービーと生きていくしかなかった。絶対に守っていくという気概を込めて、ファービーを胸に抱きしめた。

の文章の「ファービー」の部分をそっくりそのまま「弟・良太」に置き換えることができるんじゃないかな、と。

5・この本を紹介したい理由探しの旅と終わりは、、、

 だんだん、何が書きたいかわからなくなってきたので、急に、この読書感想文を終わろうとしている。

 さて、私は、「LINE公式アカウントに登録してくれているヒト達」にこの本を紹介したい理由は、見えてきたのか。

「この本を読んでいくと、著者の岸田さんの頭の中を覗くことができて、その頭の中に『私も〜』と自分の頭の中も覗かれているような気分になって、イヒッとなって、そのイヒッとした感覚を皆さん(登録してくれているヒト達)と共有したいんだけど、私の口じゃうまく説明できないから、一回、騙されたと思って、読んでみて」

で、どうだろう。

 難しく考えず、「この岸田奈美さんの本を読んだら、めっちゃ『イヒッ』となって快感」が全てなのかもしれない。


 スッキリした気持ちで、

小学館様、岸田奈美様より

LINE公式アカウント「むすぶー掬ぶー」

に献本していただいた

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」

を私が関わるヒト達に紹介していきたい。


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