100点ってつまらない　~ピアノの森~

コンクールにおいて求められるのは完璧な演奏

楽譜通りにミスなく弾くことが高い評価につながる

演奏家の個性ではなく
作曲家の意思を表現することが必要となる

主人公のライバル雨宮は
完璧な100点の演奏を弾くことができる

それは並な努力でできることではない

一方、主人公一ノ瀬海の演奏は
決して完璧でなく、ミスも多いため
コンクールでは評価を受けにくい

でも、彼のピアノは他の誰の演奏よりも人の心を掴む
完璧を超えたピアノである

海のピアノにあるのは
作曲家との対話と、彼自身の個性である

故に彼にしか弾けないピアノである

鑑賞者にもう一度聴きたいと思われる演奏が
プロのピアニストにとって最も良いことであると思う

雨宮と一ノ瀬のピアノ
どちらがもう一度聴きたいかと問われれば
迷わず一ノ瀬のピアノと皆が答えるだろう

完璧さを求めることは素晴らしいことではある

でも演奏家の顔が見えない演奏には
人々は退屈を覚えてしまう

これはピアノに限った話ではなく
機械に勝る完璧はない

これから、より機械が発展していく中
私たち人間に求められるのは完璧ではない

不安定でも構わない

その人にしかできないことや表現が求められる