【記録】新藤義孝・内閣府特命担当大臣 定例記者会見Q&A (新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定案の関連質疑)
概要
5月10日(金)
・政府行動計画改定案に対するパブリックコメントの状況、受け止め
・政府行動計画改定案に関する今後のスケジュール
5月14日(火)
・政府行動計画改定案の閣議決定スケジュールについて
・新型インフルエンザ等対策推進会議の委員任命人数について
5月21日(火)
・政府行動計画改定案の「偽・誤情報」対策について
・新型インフルエンザ等対策推進会議の議事録について
5月28日(火)
・コロナ禍における政府等による「偏見・差別等や偽・誤情報」への寄与について(例として遺体の差別的取扱いの奨励)
・政府等が誤った対策をした場合の是正策について
5月31日(金)
・コロナ禍で厚労省をはじめ政府機関が行ってきた偽情報対策について
6月3日(火)
・新型インフルエンザ等対策推進会議委員のパブリックコメントに対する受け止めや今後の方針について
6月7日(金)
・新型インフルエンザ等対策推進会議委員に配布されたパブリックコメント概要資料の非公開について
・コロナ禍での教育現場におけるマスク、パーティション等の対策についての調査・検証について
6月11日(火)
・内閣法に基づく内閣感染症危機管理統括庁及び担当大臣の他省庁への権限・役割について
6月14日(金)
・新型インフルエンザ等対策推進会議で配布された非公開資料の取扱いについて
6月18日(火)
・新型インフルエンザ等対策推進会議における政府行動計画改定案の承認について
7月2日(火)
・新型インフルエンザ等対策推進会議における政府行動計画改定案の閣議決定と今後の対応について
・偽・誤情報対策への懸念について
5月10日(金)記者会見
筆者 フリーの楊井と申します。大臣とは実は2年ほど前の衆議院憲法審査会で一度、参考人としてお目にかかっています。(注1)それ以来になります。よろしくお願いいたします。
今日はちょっとまずコロナ禍の課題を踏まえて、新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定案、こちらの件についてお尋ねしたいと思います。(注2)
先般、この改定案が公表されて、パブリックコメントに付されたということで、非常に多くのコメントが国民の皆さんから寄せられたというふうに聞いています。
今、現時点で概数で結構ですが、どれぐらい届いたのかということと、賛否どちらが多いのかということについて、分かりましたら教えてください。
また、この状況についての大臣の受け止めや今後のこのパブリックコメントを踏まえた、今後どのようなスケジュール感でこれを対応していくお考えなのかについてもお聞かせください。
(注1)衆議院憲法審査会(令和4年6月2日)
(注2)「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対する意見募集(パブリック・コメント)
大臣 今回のですね、政府の行動計画案のパブリックコメント、意見募集期間5月7日で終了いたしまして、約19万件、ご意見を頂戴いたしました。国民の皆様の関心を背景にして多くのご意見いただいたと、このように受け止めてます。
その上で、中身につきましては事務局においてこの意見の一つ一つを確認し、整理をしているというふうに報告を受けています。内容を精査した上で、この新型インフルエンザ等対策推進会議の委員のご意見も伺いながら、必要なものをですね、適切に政府行動計画に反映したいと、このように考えています。
いただいたご意見に対する政府の見解については、6月をめどに、政府行動計画の改定とあわせて、結果公示の段階、これでお示しをしたいと、このように考えております。
賛否のどちらの意見がというのは、国民のパブリックコメント自体が、そもそもがこの国民の賛否を問うものではなくて、ご意見を広くいただく、こういう趣旨でございますので、その意見を考慮して国民の利益に役立てたいと思いますし、この意見内容は精査をして、この政府行動計画をよりよいものにするために検討していきたいと、このように考えています。
筆者 パブリックコメントの公示は6月をめどにというふうにおっしゃっていましたけれども、その改定案の取りまとめも、そうすると公示以後になるというふうなお考えでお聞きしてよろしいでしょうか。
大臣 そういうことですね。
5月14日(火)記者会見
筆者 新型インフルエンザ等対策政府行動計画についてお尋ねしたいと思います。
前回、大臣にお伺いしたときに、19万件のパブリックコメントありましたけれども、6月をめどに閣議決定する方向であるというお考えを示されました。
ただ、これ、ちょっと調べてみますと、当初、この新型インフルエンザ等推進会議の第1回の会議の時点では、この行動計画案を示すのは6月ごろ、そして夏ごろをめどに、夏までに改定したいというスケジュールが出ていたというふうに伺っています。(注1)
当時は後藤大臣だったと思いますけれども、このスケジュールよりもちょっと前倒しになっているんじゃないかという気がします。
4月24日に案が出ましたので、もともと6月に案を出すというのが約2カ月前倒しになっています。(注2)
何か、なぜこのような前倒しになっているのか、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
(注1)第1回新型インフルエンザ等対策推進会議(2023年9月4日)、資料6
(注2)第11回新型インフルエンザ等対策推進会議(2024年4月24日)、資料2-1、参考資料3
大臣 私は、それが前倒しというふうには考えておりません。
また、非常に言葉をね、きちんと説明しながら、注意深くご理解いただきたいなと思っておりますけども、もともとの私どものお示ししてきておりましたのは、6月ごろにこの改定案を取りまとめると。
今ご指摘されたのは、4月の末に出しましたのは素案です。
ですから、推進会議に対して素案を出して、そして、それをパブリックコメントをかけながら、また最終調整をして、6月ぐらいにはこの改定案を取りまとめるということで動いてるわけです。
ですから、今までのお示しした枠の中だとかスケジュールの中で動いているというふうにご理解いただきたいんですね。
その上で、この改定案が取りまとめられましたならば、また有識者会議で最終的な議論をして取りまとめられましたらですよ、その上で今度は与党の政策調整プロセスや事務的な手続きに入ってまいります。
それが終了すれば、速やかに閣議決定という運びになるので、ですから、恐らく今の形でいくと、6月ぐらいにはこの改定案の取りまとめができるかなと考えております。
そこから必要な事務手続きを経てですね、与党の調整プロセスに入った上で閣議決定を、これはその手続きとしてね、進めていくと、こういうことでありまして、従来の方針の中で着々と進んでると、このようにご理解いただきたいと思います。
筆者 今回、その素案に対してですけれども、19万件もの国民からの意見提出がありました。
これを大臣も確かに1件1件ちゃんと精査をして取りまとめるというふうにおっしゃっており、反映すべきところは反映するということかと思いますが、19万件ものパブリックコメントを読んで、事務方の方が取りまとめる、これを1カ月でやれますか、ということなんですね。
これはちょっと計算しただけでも、ものすごく時間のかかる作業だと思います。
異例の数のパブリックコメントを受けてですね、このスケジュールどおり6月までに最終案を固めて閣議決定にいくという、それはお考えは変わらないでしょうか。
大臣 結果をというよりも先に閣議決定の時期を決めて、そこから逆算して作業してるわけではありません。
そうではなくて今おっしゃったように19万件のですね、パブコメがいただきました。これをきちんと精査する必要があると思っています。
これを踏まえた上で、その結果を反映したもので、またこの推進会議にこれをお諮りして、そして改定案が決まるわけですから、そこからのあとは事務的な手続きで閣議決定までいくという、いま説明しましたよね。
ですから、まずその作業をしっかりやるということが重要だと私は思ってます。
それが何月までにというのはあくまでわれわれは目安としてですね、目標を掲げていることです。
それから、19万件ものコメントをいただきました。私も、大枠の話は聞いておりますが、中にはですね、同じ文章で同じ趣旨のものが含まれている、ですから、それらは、同じ内容であればすぐにカテゴリーが分けられるわけですから、その内訳というものをきちんと精査した上でですね、これ丁寧に対応していきたいと、このように考えています。
筆者 6月に案を取りまとめるという方向は変わらないということですけれども、そうしますと、今のスケジュールですと、推進会議という有識者会議ですよね、こちらに最終案を諮るのは6月になるというふうに多分お聞きしていいのかなと思うんですが、6月に最終案を推進会議の委員の皆さんに示すと、そこからまた議論をするということになるんじゃないかと、本当は何回か2、3回ぐらいでもですね、やっぱりきちんと会議を重ねて議論した上で、また推進会議の委員の皆さんの意見もあるでしょう。そういうこともなく、1回だけで、もう6月でもう最終決着というふうに何かスケジュールがあらかじめ何か決まっているようなですね。
コロナ3年間、国民、大変な思いをしました。いろんな考え方ありますけれども、コロナについては、非常に不満も強いと思います、今回の3年間の取り組みについては、何でここまで大変な思いをさせられたんだという方々も少なくない。
そういった中で1回の推進会議で、この最終案を取りまとめで決着しますという本当にそういう流れでいいのかということは、今日はちょっとここですぐにお答えはできないかもしれませんけれども、スケジュールありきではないということをお聞きしてよろしいでしょうか。
大臣 もちろんです。
私もですね、このコロナ、私だけじゃなくて全国民がもうコロナで本当に苦しい目に遭ったわけです。まさかここまでだと思うほどの社会的なですね、縮小まで経験しました。
それから、コロナによってたくさんの方も命を落としてしまったし、本当に残念な思いがございます。
ですからそれらの思いが、今まだ残ってる中でね、有識者の皆さんも推進会議の中で一生懸命に議論をしていただきました。
私も、自由にいろんな意見を出してくださいという中でですね、本当にこの濃密な議論をしてまいりました。私自身も幾つかの項目を提案させていただきました。それから、各県知事さんや市長さんや自治体の方々も、本当にこれ、思いがあるわけです。
そういうのを受け止めながら、それらを反映した、次に来てほしくないけども、いつか来るかもしれないものに備えようということでね、決める行動計画ですから、これをですね、さまざまな方面、いろんな角度から検討していくのは当然のことだし、それだけの作業をやってきたというふうに思っています。
ですから、短い期間に各地域から、また各界から専門の皆さんに集まっていただくのも、かなりほかのスケジュールをね、やりくりして、こちらを優先していただかないと来れないような頻度でもって会議を開いてきたわけです。項目も増やしましたし、結果として、ページ数は倍を超えているわけですね。
ですから、そういう中できちんとつくる計画、もちろん常に計画は計画であって、それをどうやって実際に運用展開していくかということは出てきますよ。だけども、そういうものは可能な限りのことを想定しながら、そして、いろんな懸念があるのも踏まえた上でですね、これはこの計画を定めていく、そして、常にそれはブラッシュアップ(磨く)し、ローリング(修正)していく、こういうことだと思っています。
ですから、今回のことがですね、この初めにいつまでに決めるではなくって、やっぱり作業の結果なんです。
ただ、これは今、本来この2013年に改定をして、17年に1度、一部改定したっきり、大もとの計画がね、そういう古いままになってるわけですから、ですから、ここは速やかに国とすれば体制を整える必要があるというふうに思っています。(注3)
そして、そういった意味で非常にですね、委員各位のご協力を、ご理解を得ながら、われわれも事務方も最大限の作業をした中で、急ピッチで作業を進める。その結果で、中身がきちんと検討できたならば、それはお示ししながらこの手続きに入っていくということであって、それが皆さんはいつ決めるんだとか言われると、それに役所のほうがこのぐらいにというので、それが何か前提となってね、作業してるかのように聞こえてしまうんですけども、作業は逆です。
ここはきちんとですね、私どものところの中身を見た上で、そして、今回のパブコメを含めて、意見をこの分析をして反映したもので、それをやはり専門の方々にお示しをして、その中で、それは取りまとめがどういう形で行われるか、これはその推進会議のほうで、これを委ねるわけですから、そこの中での結論を待ちたいと、このように私は考えております。
(注3)現行・新型インフルエンザ等対策政府行動計画(2017年一部変更)
筆者 よく分かりました。
推進会議に最終的に意見を聞いてということだと思いますが、今まで議論を重ねてきたことも議事録が公開されていますので、よく承知しております。
ただですね、これで本当にやっぱり十分にコロナの検証ができたのか、徹底的に問題点を洗い出せたのかということについては、正直甚だ疑問があります。
一例を挙げれば、法律家がほとんど入っていないんですね。これだけ法律の問題が関わる事態が発生しました。法律が機能しなかった面もあります。そういったことについて法律家の意見というのはほとんど聞く機会がない。弁護士さん、一人、推進会議に入っていらっしゃいますけれども、そういった状態です。感染症の専門家の方がやっぱり多いんですね。
しかも、その推進会議、今15人の方が任命されていますけれども、非常に少ないですね。法律上35人が定員です。(注4)(注5)
なぜ15人しか、これだけ多分野に影響をもたらす感染症危機の問題に対して、15人の委員しか任命されていません。
今までの改定作業、私も調べましたけれども、35人あるいは40人ぐらい選任されてました。(注6)
今回15人だけで、定員の半分以下の人数で議論されています。果たしてそれだけで十分専門家の意見を聞いたと言えるのか、もっと多くのね、専門家の人たちに入ってもらって、本当にこれがよかったのかどうかをきちんと検証しないといけないと思うんですが。
改定しなければならないというのは分かりますが、もうこれは10年前のものだから、改定しなきゃならないのは分かるんですが、きちんと検証しないまま改定すると、またこれが10年間、今後10年以上有効な行動計画になっていくわけですから、これがスタンダードになるわけですね、今後閣議決定されればこれがスタンダードになってしまうわけですから、それがまた僕は禍根を残す可能性が十分あると、また同じことを行動制限を繰り返す内容になってます、実は。
私が見る限り、もっと行動制限をかける可能性も十分残った内容になってしまっていますので、ここはよくいろんな専門家の方にやっぱりもっと意見を聞いて、慎重に議論を進めたほうがいいのではないかと思うんですが、すいません、意見になってしまいましたけれども。
(注4)新型インフルエンザ等対策推進会議委員名簿(2024年4月)
(注5)新型インフルエンザ等対策特別措置法70条の4
(注6)平成29(2017)年の一部変更と、その際の新型インフルエンザ等対策有識者会議名簿
大臣 やっぱりね、そういうご心配、常にいろんな意見がありますから、ぜひそれは出していただければいいんじゃないかなと、このように思います。
その上で、私どもとすれば、やはり政府としてですね、この一つの計画というものは常に最新のものにしておく必要があるわけですから、この作業を粛々とやっぱり進めていくというのは大前提にあります。
その上でね、今ご指摘のこの15人の委員メンバーと、これはコロナが5類に変わったところで35から15にしたんですね、有事の感染症有事、まさにまん延の事態では、分科会をつくって、その分科会が運営をするという形でやっておりました。
ですから、そのときに必要な専門家、専門領域であっても同じ専門の領域の中に何人もの方が入っていただいて、それから、さまざまな分野の方もですね、その他の災害時の対策だとか報道だとか、そういうのも細かな人たちが入って35人で、四つの分科会をつくって運営してきたわけです。これが5類に移行した時点で、それを総括的に15人という形にいたしました。
ですから、やはりこの感染症も有事と平時があるわけですから、ですからそういう体制の中で、今回は5類になったところで今の状態をつくり、そこで、今までのものを総括して議論をしてきたというふうに理解をしていただきたいんですね。
筆者 大臣、一つのことは確認していただきたいと思いますが、2013年の現行の計画をつくったとき、そのときはもう有事は終わってますけれども、民主党政権だったかな、2013年ですから、もしかしたらもうあれかもしれませんが、そのときは30人の有識者会議(注6)で現行の案(注7)をつくってます。
今は特措法で35人の定員があるわけですから、別に15人に減らす、今は有事じゃない、平時になったから15人だけで議論していいというのもちょっと何か少しどうかなというふうに思います、これだけ大きな問題です。
これだけ大きな問題ですから、やはりもっといろんな分野の方の専門家を聞いて、きちんと反映していくということがしていかないと、これだけ19万人のパブリックコメントが来るというような事態になってるかと思います。
じっくりとスケジュールありきでない、議論をしていただければなというふうに思います。
(注6)第1回新型インフルエンザ等有識者会議(2012年8月7日、野田内閣)
(注7)第8回新型インフルエンザ等有識者会議(2013年4月16日、第二次安倍内閣)
大臣 はい、それはご意見と受け止めます。
そして、委員会のですね、委員、会議の委員の設定については、これはいろんな総合的見地から、また総合的な検討ができるような体制を整えた結果だというふうに認識しておりますし、しっかりとですね、やはりこれは作業をしなきゃいけないと、このように考えています。
5月21日(火)記者会見
筆者 今、政府が検討している新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定案についてお伺いします。
それの中身について伺いたいんですが今回の改定案には、初めて、偽・誤情報の対策というものが盛り込まれています。(注1)
偽・誤情報を平時からモニタリングをして、それからプラットフォーム事業者への対処を要請するなどの規定が盛り込まれています。
政府が何が正しいか正しくないかを判断して、偽・誤情報とみなしたものの発信を抑制するというような、政府がいわば、ファクトチェックを行うということなんでしょうか。
そうなれば、表現言論の自由を脅かすのではないかという懸念も出ておりますが、大臣のご見解をお聞かせいただけますでしょうか。
(注1)新型インフルエンザ等対策政府行動計画 (令和6年4月24日時点案)の「1-1-3. 偽・誤情報に関する啓発」「2-3. 偏見・差別等や偽・誤情報への対応」「3-1-3. 偏見・差別等や偽・誤情報への対応」
大臣 まず、偽・誤情報というのは、これは総務省のほうで定義がございます。ですから行動計画の中でもですね、偽・誤情報等を含めた、いわゆるリスクコミュニケーション、これをきちんととるべきだということの記述はございます。
ですが、その大前提として、表現の自由の確保というのは、これはもう憲法に保障された権利でございますから、これはですね、大前提でございまして、そこを犯すことは全く考えておりません。
そして、国民のですね、関心事項という意味においては、やはり、困難なまん延時にも、この問題は一体何が正しい情報なのか、これをきちんと理解したいという声は非常に高かったと思いますし、今回の有識者会議においてもですね、専門家の皆さんから、こういったリスクコミュニケーションをしっかりと準備しておくことは大切だというのは、有識者の皆さんからのご要請が強くあったと。
そういう中で、政府とすればですね、これをきちんと対応をしていこうじゃないかということを、ここに、行動計画には記載しております。
ただ、行動計画は、それ自体が何か法的担保を持って、政府が何か行為制限を行ったりとかというものではございませんので、この対策は、従来の総務省や法務省や、さまざまな所管官庁が行っている一環としてですね、そうした対策というのは行われていくことになるだろうというふうに思いますし、ファクトチェックを行うというようなことを、それを想定しているのではなくて、何が誤っているかではなく、正しい情報は何なのかと、正しい情報としての見解を出すということに心がけると、これがリスクコミュニケーションだと思います。
筆者 リスクコミュニケーションは分かります。
大事だと思いますけれども、そうすると、何が偽・誤情報かを政府が判断して、それを抑えるとか、そういうことではないということであれば、そういうふうに読み取れる表現が入っているので、そこは検討が必要ではないかと思いますけれども、その辺をもう一度いかがでしょうか。
文言としては、はっきりと偽・誤情報のモニタリングと、それから、その対策として、SNS等プラットフォーム事業者に対して、要請や協力を行うということが書いてありますので、通常、これは偽・誤情報というものを、SNSの事業者に何らか削除してくださいとか、抑えてくださいという要請を含むというふうに読むのが自然じゃないかと思いますので、その辺はもし違うというのであれば、見直しが必要なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
大臣 まずですね、それは偏見、差別、それから偽情報、誤情報への対応ということで、そういう記述がございます。
こうしたものについては、必要な要請や協力を国が行うというのは、国というのは、関係省庁があるわけでございます。
そういう中で、従来の枠組みの中で、表現の自由を守りながらですね、やはり社会の混乱を招いてはいけないということから、さまざまな対策、対処がなされたと思いますけども、その一環として、進んでいくことだと思います。
ですから、新たにここで特別な何かをやるということではなくて、政府行動計画というのは、そういうことを気をつけてくださいということを言っているわけですね。
実際には、仮にまん延して、また、感染症のまん延時が起きたとすれば、前回のときもそうでしたけども、正しい情報というのを医学的、科学的見地から、そういう分析をして、国は努めて、それを公表するようにしてまいりました。
そういったことは、これは、例えば特措法だとか法律に基づいた、また、そういう対策本部等ができます。そういう中で、正しい情報を国民にお伝えするということの一環で行ったことは、これは今後も起こり得ると思いますけども、それをですね、あらかじめ、やはりリスクコミュニケーションをきちんととりましょうと、そういうことが大切だということを、今回は行動計画としてですね、きちんとうたい込んだというふうにご理解いただければいいと思います。
筆者 新型インフルエンザ等対策推進会議、この議事録は今、1月25日開催の第9回までしか公開されていません。(注2)
閣議決定がいつ行われるのか、来月にもと言われる中で、きちんと、閣議決定よりも、かなり前をもって、推進会議、これ、非公開ですから議事録がないと何が議論されているか分からないわけですが、議事録はきちんと全て公開されるのでしょうか。
(注2)新型インフルエンザ等対策推進会議(内閣官房)
大臣 今、9回までということですけども、10回の会議が3月26日、それから11回目の会議が4月24日に開催をして、それをホームページの公表に向けて、議事録を作成中というふうに承知しています。
これは準備が出来次第、速やかに公表することは当然でありますし、そのように進めております。
閣議決定のですね、日程と議事録の公表というのは関係するものではありませんが、当然、今、作業も既に、3月と4月に行ったものですから、これの作業を粛々と進めてですね、速やかに公表なされるのではないかなと、このように考えています。
5月28日(火)記者会見
質問 フリーの楊井と申します。よろしくお願いいたします。
新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定案について、19万件ものパブリックコメントが寄せられ、先日も国会で質問が出ておりましたのでお尋ねしたいと思います。
先週もここでお尋ねしたリスクコミュニケーションの偏見・差別等や偽・誤情報への対応についてです。この部分は、偏見・差別等や偽・誤情報に惑わされがちな一般国民への啓発を念頭に置かれているものと思います。
しかし私は法律家でもあり、ファクトチェックという活動に長く取り組んできた人間から見ますと、コロナ禍の間、政府、自治体などの公的機関からも偏見・差別等や偽・誤情報に寄与したと見られる事例が少なくなかったと考えています。
ちょうど2年前の6月2日、新藤大臣が与党筆頭幹事を務めておられました憲法審査会でも、私、参考人として招かれ、いわゆる偽・誤情報対策について意見陳述を求められました。その際にもこのことは申し上げさせていただきましたが、たくさんある事例のうちの一つだけ申し上げます。
例えばコロナ感染で亡くなったとされる方のご遺体の取り扱いです。
コロナ禍の初期から、厚生労働省は、非透過性の納体袋に入れるように推奨していました。これでご遺族の方々の最後の対面の機会が事実上制限されてきたわけです。こうした遺体の差別的な取り扱いは、3年近くも公的機関により推奨され続けました。遺体から感染するリスク、科学的根拠などないということは分かっていたにもかかわらずです。(注1)
これは一つの事例であって、ほかにいくらでも挙げることはできますけれども、大臣、今回のコロナ禍を振り返ってですね、政府・自治体など公的機関から偏見・差別と偽・誤情報に寄与したことは一切なかったとお考えでしょうか。
今回この政府行動計画改定案を作成するに当たってですね、そうした反省すべき点があったのかどうか、これは調査や検証というものがなされたのかどうかという点をぜひお聞かせください。
(注1)厚生労働省「新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン」(現在は削除。アーカイブサイトより)および同ガイドライン第2版(令和5年1月6日)。筆者のX投稿も参照
大臣 まず、公的機関が偏見や差別等の意思を持って情報発信すること、これはあり得ないと考えています。
それから、偽情報についても、本来の情報を承知していながらあえて偽の情報や誤情報を発信するということ、これも公的機関が行うことはあり得ないわけであります。
ただ、この新たな感染症につきましては、この科学的知見が不十分な中で、常にその時点で得られる医学的・科学的知見に基づいた最適な情報に基づいて対処方針を策定してきたということでございます。ですから、新たな知見が得られ次第、対処方針を変更してきてもおります。
また、出回ってる情報をですね、一つ一つ政府機関がファクトチェックをするというようなことは、あの情報が間違ってるとかっていうこと、そんなチェックをしてるわけではなくて、政府は、これが今、医学的・科学的知見に基づいた専門家による最適な知見ですということを常に発表してきたということだと私は承知をしております。
ですから、ただ一方でですね、それが結局振り返ってみれば、その時点で、まだ分かっていなかったことに基づいた対処であれば、分かり次第変えてきたとなれば、その変化はございます。
ですから、またそれに基づいてさまざまな情報が飛び交うと。ですから、今回の有識者会議におきましては、そうした情報が錯綜する場合があると。
それから政府といえども、全てを承知、要するに医学的にも分からない状態があるならば、それは不確実性の中で、こうしたものが今あるんだということを正しく丁寧に伝える、その意味でのリスクコミュニケーションをきちんととるべきだということ、それは国民の皆さまにですね、いろいろな情報が乱れ飛んでいるが、そこをぜひご自身でよく判断してくださいと、こういうですね、ことを心がける、また政府としても心がける、このリスクコミュニケーションが重要だということを、これは大きなテーマの一つになりました。
ですから、そういったものを政府行動計画の中に文言として入れて、これを対処していくようにと、こういうふうにしてきたということでございます。
質問 政府が必ずしも正しくない、正しいとは限らないわけですよね。ですから、ファクトチェックをするわけではないとおっしゃっていました。
これはきちんとお調べいただければ分かりますが、やっていました。
政府、というか厚生労働省をはじめ、ファクトチェックもどきのことを、情報発信も含めてやっておられました。ただ情報公開してないんです。(注2)
そういったことも含めて、きちんと政府がこの3年間何をやってきたのか、どういう間違いをしてきたのか、そういうことが検証されていないまま、次に進もうとしています。
この政府行動計画において、そういった公的機関側が間違ったことをした場合に、是正するための、その対処ですね。
例えば先ほど1例申し上げました。ご遺体をご遺族から引き離す、これ大臣、どう思われますか。3年間続けたこと。もっと早く是正すべきだったと思いませんか。3年間も続ける必要あったのかどうか、それは分かった時点でさっさと取りやめるべき話を、なぜ3年間も続けたのか。
そういったことをどういうふうにしたらこの政府行動計画では是正できるのかということは、盛り込まれているように私には見えないんですが、大臣としてはその点どうお考えでしょうか。
(注2)InFactの記事、筆者のYahoo!ニュース記事を参照。
大臣 まずその詳細は厚生労働省にお尋ねいただかなきゃならないというふうに思いますが、私が承知している範囲においてもですね、まずこの埋葬の事例については、当初のガイドラインでは、遺族が遺体に直接触れないように、納体袋に収容し火葬するということがガイドラインとして策定・公表をなされたわけであります。
それが、順次ですね、順次というかこの科学的、医学的知見が判明し、その中で修正していったと、改正したと。
で、最終的にはこの5類になった時点で、ガイドライン自体も廃止をされて、その他の感染症と、その他のご遺体と同様の扱いになったということでございまして、まさにですね、作動中の科学という言葉、今回、行動計画の中でもちょっと触れられましたけれども、やはりこの不確実なですね、状況の中で感染症の場合は、そうした何人もまだ分からない状態のもの、これが生まれるわけでありますから、それをですね、できる限り速やかに医学的、科学的な知見を持って分析し、その対処を決めていく。
それには、分かり次第速やかな対応が必要なことは当然のことだとこのように思います。
5月31日(金)記者会見
筆者 フリーの楊井です。
今月、約19万件のパブリックコメントを寄せられた新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定案について、改めてお伺いします。
前回の会見は大臣は、偽・誤情報対策に関して政府機関が一つ一つの情報についてファクトチェックするようなことはないとおっしゃいました。
ただ、コロナ禍では、当時の河野太郎内閣府特命担当大臣が、これこれの情報はデマであるという発言を行っていたことや、動画サイトユーチューブの誤情報削除の取り組みに、内閣官房などが協力していたこと、それから、厚生労働省が「新型コロナワクチン広報プロジェクト」なる事業を、2021年2月から大手PR会社と提携して実施していたことが分かっています。(注1)(注2)
InFactというメディアがこの事業の契約書の全文を入手しておりまして、その中に厚生労働省がファクトチェックを行うという文言があり、マスメディアの報道やSNS上の誤情報に対処するという内容も入っておりました。(注3)
大臣はこのコロナ禍で、厚労省をはじめ政府機関が偽情報対策として行ってきたことを把握されていますでしょうか、ご存じでしたでしょうか。まずその点をお尋ねしたいと思います。
(注1)セーファーインターネット協会主催「ワクチンデマ対策シンポジウム」(2021年7月15日)
(注2)YouTubeブログ「YouTube の新型コロナウイルス感染症やワクチンに関する日本での取り組みについて」(2021年8月11日)
(注3)InFactの記事(2024年4月24日掲載)
大臣 それぞれの、特に厚生労働省がですね、実施している事業については、それはもう厚労省の中でご確認されてるのかもしれませんけども、私どもは、国民にできるだけ国民が求める関心の高い、それから科学的、医学的知見に基づいた、そうした情報を常に適切にお届けすると、これは政府の使命だと思いますから、その一環としてですね、さまざまなものが行われていたと、このように理解しています。
筆者 その関連でもう一つだけですが、この厚労省の事業の実施報告書、これ3年間で、約2700ページを超えているんですが、ほぼ全部不開示、黒塗りになっております。何が行われていたのかは分かっておりません。
政府行動計画の今回の改定案は、平時からこの偽・誤情報のモニタリング、それを踏まえた対処を行うというふうに盛り込まれているわけですが、その前にやはり政府機関がこれまで何をやってきたのか、きちんと検証して評価した上で、その先に進むというのが本来の在り方ではないかと思いますが、大臣はその辺いかがお考えでしょうか。
大臣 私が一貫してお答えをしているのは、いわゆるファクトチェックでも先生がおやりになってるようなね、そういう一つの個別の事象についてそれを評価して、公表すると。
そういうものではなくて、世の中いろんな情報が出てくるわけですからそれを分析したり、情報収集するのは、これは当然のことだと思いますね。それに対してやっぱり国民の関心が高いことに関しては、政府としての見解を出すと。
それが世の中で出ている情報と違いがあるかどうかは、それはそれぞれの方々にご判断いただくことになるわけで、政府としては適切な、自分たちが知り得る、また分析し得る最善、最適なものを出しているというのは一貫しているというふうに思うんですね。
ですから、その中でこの必要な、例えばそのユーチューブのお話も、ユーチューブ独自にユーチューブのみではなくて、政府が出している広報の一環として政府がユーチューブチャンネル持ってるわけですから、そういう中で、国民に対する情報提供をすると、この一環の作業が行われてるんじゃないかと私は認識してるわけなんですね。
それから、この情報公開請求についてはこれは法令にのっとって行われるものですから、それは適切になされていると、厚生労働省のほうで判断しながら、法令にのっとって行われてると、私もそれはそういうふうに承知しております。
6月3日(火)記者会見
筆者 フリーの楊井です。
昨日開催された新型インフルエンザ等対策推進会議についてお尋ねします。委員の皆さんから、19万件のパブリックコメントが出たことについて受け止めや感想、それから今後の進め方・スケジュールについて、どのような意見が出たのか教えてください。(注1)
また、そうした意見を踏まえて大臣は今後どう進めていくお考えかも、お聞かせください。
(注1)第12回新型インフルエンザ等対策推進会議(2024年6月3日開催)
大臣 昨日の第12回の推進会議では、パブリック・コメントの概要を委員に報告して、ワクチンやリスク・コミュニケーションの関係をはじめとして行動計画案のさまざまな分野について意見をうかがました。
パブリック・コメントで多くのご意見をいただいたということについて、委員からは、次の感染症危機に対する関心の高さの表れではないかというご指摘がございました。
まさに、委員からは、国民に対して政府の考え方を丁寧に説明することが重要である、また平時から理解を求める取り組みが重要である、というようなご意見がございました。
今後の推進会議の日程はまだ決まっておりませんが、引き続きご意見を精査を進めて、よりよい政府行動計画となるように心がけていきたいと思っております。
(注)会見後に新藤大臣の番組出演の予定があり、広報担当者から事前に、この日の質問は1問だけにとどめるよう要請があった。
6月7日(金)記者会見
筆者 フリーの楊井です。よろしくお願い致します。新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定案についてお尋ねします。
6月2日の推進会議について先日の会見で大臣は、パブリックコメントの概要を委員に説明したとおっしゃいました。ただ、推進会議のウェブサイトにその資料が公開されておりません。
まだ最終的なものができてないのかもしれませんが、委員に配布されて、それを議論のたたき台にして議論が進んでいる以上、非公表にする理由はないとは思われるのですが、この資料を国民にも共有すべきだと考えますが大臣のお考えをお聞かせください。
大臣 まず推進会議は6月3日ですね。(注1)
筆者 失礼しました。
大臣 ええ。それで、この会議においてはパブリックコメントの概要を委員に報告し、そしてワクチンやリスクコミュニケーションをはじめとして政府行動計画改定案のさまざまな分野においての意見を伺ったわけであります。
国民の皆さんから頂いたこの意見につきましては現在、事務局で精査中です。
そして前回の推進会議では概要を説明しておりますけれども、現段階では外部への公表は控えているという状況でございます。
したがって、この推進会議における議論が国民に共有されること、これは重要であることはもとよりでありますけども、パブリックコメントの内容についても、精査終了後、推進会議に公表資料として提出する考えであるということでございます。
ですから、政府としての考え方についてもですね、パブコメの結果公示、こういった中で今後公表を考えていくと、こういうに思っております。
(注1)第12回新型インフルエンザ等対策推進会議(2024年6月3日開催)
筆者 それはだいぶ先になると思うんですが、概要の資料をこれ、紙で多分、委員に説明されているということですよね。それは間違いないでしょうか。
大臣 概要を説明しておりますけども、これは非公表資料ということで説明しておりますので、外には出しておりません。
筆者 それをなぜ公表できないのかということをお尋ねしているんですけれども。
大臣 それは精査中。
筆者 非公表だからという説明しか受けていないんですね。なぜ非公表にそれしないといけないんでしょう。
大臣 それは今、今、この、まさにですね、この精査を進めている最中でございます。とにかく大量にあるわけですから。
それをまず概要を委員にお示しをしました。その上でさらに詳細について精査を終了して、その上で公表資料として提出する。
そのような状況をきちんと作業した上で考えてるということでございます。
筆者 じゃもう一問すいません。この計画案の中身について、一点お尋ねします。
児童や生徒、子供たちへの影響に関係する部分であります。
以前、「新しい生活様式」というのがありました。(注2)
その呼びかけはもう廃止されたと思うのですが、今回の改定案には、準備期、つまり平時から「国、都道府県、市町村および学校等は、手洗い、換気、マスク着用等、せきエチケット、人混みを避ける等の基本的な感染対策の普及を図る」と書かれておりまして、主語に「学校等」も含まれています。(注3)
この記述は、平時から、教育現場で、人混みを避け、マスクをするように求める趣旨とも読み取れてしまうんですが、違いますでしょうか。
まず一点、ここまでお尋ねしようかと思います。
(注2)新しい生活様式の実践例(厚生労働省)
(注3)新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定案(2024年4月24日時点)106ページ参照
大臣 このご指摘の「新しい生活様式」につきましては、これは2020年の5月に策定した新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針に示されていたというふうに承知をしております。(注4)これは昨年5月8日の5類移行に伴って廃止されてるということですね。(注5)
で、政府とすれば、今回のですね、行動計画案に出されているものというのは、従来から、季節インフルエンザについては、この手洗い、換気に限らず、マスク着用等のせきエチケット、人混みを避ける等が基本的な感染対策であるということで、奨励をしてまいりました。
ですから、今度の行動計画においてもですね、同様の方針を記述したということで、平時から何か特別に何かを対処すべしというようなことをうたっているものではないというふうに私は理解してます。
(注4)新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(2020年5月25日変更)
(注5)新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針の廃止について(2023年4月27日)
筆者 分かりました。
関連のもう一つですが、学校でのですね、ルール、あるいは教師の指示というのは生徒たちにとっては事実上の強制になります。
今は強制ではなくなりましたが、コロナ禍における子供たちの心身への影響は大きく、今でもマスクを外せない子供たちもまだまだ多いと聞きます。
私の娘にも聞きました、昨日、女の子たち、誰一人外してないって言ってました。
大臣 何年生ですか。
筆者 そういう現場も、そういう学校もいまだにあるということです。
大臣 何年生。
筆者 中学校2年生です。
大臣 そうですか。
筆者 はい、小学校4年生からずっとマスクの生活を続けてて、中学2年生でもう外せなくなってます。
こういったコロナ禍で約3年間続いた黙食やパーティション、あるいは各種行事の自粛、こういった3年間の教育現場の対応についてもですね、これ政府はきちんと実態を調査したり検証した上で、今回の改定案に反映されているのでしょうか。
そこの点がきちんと反映されているのかということをちょっとお尋ねしたいんですが。
大臣 今ご指摘いただいたこの学校内の感染対策については、文部科学省において、その場面に応じて適切な対策を講ずるべく、考え方を適時示していると、このように承知をしております。
われわれ統括庁とすればですね、この次なる感染症危機に備えて、感染拡大防止と社会経済活動のバランス、これを踏まえた、柔軟かつ機動的な対策の切り替え、こうしたものを講じる、さらにはそれが、この国民生活および社会経済活動への影響を軽減させることが重要だと。
ですから、そういう状況の変化に即して取り得る対策というものをこの行動計画の中で取り込んだということでございまして、学校におけるその対策の妥当性については、これは文科省のほうにですね、お尋ねをしていただくしかないとこのように思ってます。
6月11日(火)記者会見
筆者 フリーの楊井です。また、新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定案についてお尋ねします。
先ほど大臣も、コロナの影響で経済目標が大きく変わったとおっしゃいました。これは非常に重要な問題だと思っていますのでお尋ねします。
前回会見でコロナ禍において学校教育現場で実施した対策の妥当性についてお尋ねしました。
その際、大臣は文部科学省に尋ねてくださいとの答えでした。
ただ、内閣感染症危機管理統括庁、これはいわゆる「司令塔機能」を持って内閣法15条の2などで、行政各部の施策に関する総合調整機能が与えられていると思います。(注1)
統括庁は、政府行動計画の策定や実施に当たって、厚生労働省をはじめ各省庁の施策をチェックして、問題があれば是正するように求め、統一性を保つ役割があるはずですが、この点、違いますでしょうか。
v内閣法の規定を踏まえ、内閣感染症危機管理統括庁のサイトにも次のように記載されている。
大臣 まさに御指摘のとおり、この内閣官房は内閣法に基づいて内閣の重要政策に関する基本的方針、また行政各部の施策の統一を図るために必要な企画立案、それから総合調整を行うと、まさにその調整機能を求められているわけであります。
その前段として、個別の行政事務権限行使については、それはこの任務と所掌事務に基づいて各省庁が、これが自律的に執行することになっているわけであります。
ですから、今回もというか、前回お尋ねいただいたこの中における学校教育現場における感染症対策についての内容については、それは文科省が自律的に行った内容であって、それは内容の詳細については文科省にお尋ねいただきたいと思ったわけであります。
で、私どもの行動計画の中に定めるのは、学校教育現場においてこれをやりなさい、これを対応しましょうということではなくて、コロナ禍、感染症が平時においてまた感染症が蔓延したときに、どうした項目、どうした要素を検討すべきかということを行動計画の中で定めているわけですから、その中身については、まずこの一義的に文科省が検討したもの、これを我々も最終的には総合的なチェックをいたします。
加えてですけれども、それらの中身を検証したのかというのは、常に政府というのは、いろいろな情報をとりながら分析をして、そのときに医学的科学的に最も適切な内容を判断をして、方針として打ち出します。
それは柔軟に、迅速にその検討結果を踏まえて、それらが反映されていると思います。
ですから、そういう中で行われたものを今後どうあるべきかは、これはこれまでの経験も踏まえて、文科省が今作業を、既にもノウハウも積み上がっていると思いますし、今後またそういったことが起きれば、文科省の方がそういったことをやるだろうと思います。
私どもは、そうした作業をきちんと遅滞なくやってくださいということが、行動計画の中に定めてあるのであって、最終的には調整の余地は残りますけれども、現状においてはまず文科省が一義的におやりになっている、こういうことをお話ししたわけであります。
筆者 今の大臣のお答えではですね、結局、政府、役所がやっていることは、その時点ではベストを尽くした、その時点では最善の情報に基づいて適切な対応をしたということでおしまいなんですね。
本当にそれが後から振り返って、もっとこうすべきであった、もっと違う対応ができたはずである、ということが「検証」だと思うんです。
それをしないと、全て今までこの3年間やってきたことは、それは全部仕方がなかったんですね、で、次に進めますか、そうすると同じことが多分繰り返されると思います。
過ちがあったとしても、また同じ過ちが今後も新しい感染症の危機において発生しかねないので、私はお尋ねしているわけです。
大臣に、これは政治家としてですね、役所は間違いがあったなんて必ずそういうことは口が裂けても言わないと思います(ので)、検証するのは、大臣、国民の代表である大臣の責任においてしなければならないことではないでしょうか。
本当に、この3年間、子供たちがずっとマスクをつけさせられ、黙食をさせられ、そしてパーティションに囲まれて、そしてあらゆる行事が自粛させられていた。3年間ですよ。
これは本当にその時点において適切であったというふうに大臣はお考えでしょうか。そこをお尋ねしたいんです。
大臣 あのときの状況を思い起こすと、本当にみんなで大変だったと思います。
学校現場もそうですし、この事業所でもおいても、私たちの国民生活全体が本当に大変な中でそれぞれの苦労があったということ、これはもう私もよく自分も含めて体験してまいりましたから、承知をしております。
そして、今、政府が過ちを認めないというようなことをおっしゃいましたけれども、私はそうは思っておりません。
過ちであるかどうかではなくて、どうしてこういう方針にしたのか、そしてそれをどのように対応を変えていったのか、また、その必然性は何だったのか。
これは常に自分たちで分析をしながら、常に最もよいものを目指してこれをやっているし、それは特に感染症の有事の際にはとにかく必死で皆さん、医療関係者も含めてですね、さまざまな方々がそういった御苦労をしてきたというふうに思います。
ですから、あのときのことがどうだったのかというのは、次に生かす、していただいていると思いますし、私どもも政治の立場で、私も当時はこのような感染症の、党の方で対策本部の方にいましたから、常にそういった議論はお互いに厳しくやってまいりましたけれども、そういったことは常に議論とともにこの分析されている、このことは思っています。
ただ、それを今、私のこの感染症の管理の行動計画の中で、それをやらないのかというお話でございましたから、それは私たちの行動計画というのは、その中身の個別のものを定めるのではなくて、そういう内容についてきちんと万事遺漏なきようにやってくださいと、そういうことを、そしてそれに基づいて各省が作業をすることを我々は期待をしているし、そういう調整をしているということを説明しているわけです。
6月14日(金)記者会見
筆者 フリーの楊井です。よろしくお願いいたします。
たびたび新型インフルエンザ等の政府行動計画について伺いますが、今回は推進会議の議事録が先日公開されました、3月26日開催された第10回会議の議事録が公開されました。(注1)
それを読みますとですね、3月25日時点案という素案が提示されていたことが読み取れました。
また、それ以前にもですね、3月25日時点案以前の案というものも委員の皆さんに配られて、それに基づいて議論されている様子がうかがえました。
何ページにこういう記載があるというような議論をされているんですね。
ただ、その議論の基になっている案、これが公開されていません。
ですので、何を基に議論しているのかが、議事録を読んでも分かりませんでした。
基になっている、委員の皆さんが議論の基にした資料というのは、基本的に公開していただくのが筋ではないかと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣 推進会議の資料は原則公表としております。
また、議論の透明性を確保するための議事録も公表しております。
しかし、それは委員の同意を得ながら、そうしたルールの中で進められてきたと、このように思っていますし、この検討の過程における素案やたたき台のですね、といった資料の取り扱いについては、推進会議における自由な議論を適切に行うために活用しているものであって、公開の範囲もその推進会議の議論の中で定めていただいております。
ですから、そして最終的な議論の成果というものは、これは従来より公表させていただいているということでございまして、これは必要な資料を適切にですね、対応していけるんじゃないかなと、このように考えています。
筆者 委員の皆さんがこれを非公開にしてくれと言っているんでしょうか。恐らくそうではないと思うんですね。
事務方が判断して非公開にされているんだと思うんですが、私も電話で事務方にうかがいましたけども、理由は「混乱するから」というふうにおっしゃいました。
誰が混乱するかと聞いてもお答えになりませんでした。
議論のプロセスを明らかにするためにもですね、やはり公開を原則としていただくのが筋ではないかと思うんですね。
今後も、今後もですよ、今後の会議についても、何が公開されていて、公開されていないのかが、今の状況だと分からないんですね。
何か委員の元にいろんな資料が配布されているのに、それが国民の目には分からないというのは、これはいかがなものかと思いまして、大臣のほうからですね、事務方に基本的に全部公開しろというふうに指示をしていただけませんでしょうか。
大臣 まず、事務方が一方的に決めてということではないと承知します。
それは一定のですね、指針を示しながら、委員の皆さまにご議論いただき、ご同意をいただいた上で、その資料の取り扱いというのは決定しています。
これは推進会議だけではなくて、その他の政府の関連の、私が主宰しております会議においても、その他の会議においても、それは同じルールです。
今、問題意識というかね、やはりできる限りそれは国民も知りたいという、これは重要なことだと思います。
それを踏まえた上でですね、やはり、たたき台だったり、最初の原案というのは、結局、何の議論もなしにつくっているものですから、やはり、議論の結果、適切な、そういった内容のもの、これが出していくというのは、これはある程度、一定のですね、ルールというのは必要だろうなと思います。
ですから、程度の問題だと思うんですけども、私とすれば、できる限りですね、そうしたものは皆さま方に知っていただけるような、そういうことを前提にしながら、いろいろ工夫していきたいと、このように考えます。
6月18日(火)記者会見
筆者 昨日、新型インフルエンザ等対策推進会議があったかと思います。
了承、最終案が了承されたというふうには聞いていますけれども、この原案に対するパブリックコメント(意見公募)が19万件出てから、2回の会議で最終決定をされたということになります。(注1)
大臣としては、この2回の会議で十分議論は尽くしたと、パブリックコメントの19万件の内容も精査すると大臣おっしゃってたと思いますけれども、十分精査の上、議論が尽くせたというふうにお考えになりますでしょうか。
(注1)新型インフルエンザ等対策推進会議
大臣 これはたくさんのパブコメが寄せられたこと、これは国民の関心の高さを表していると、こういうことだというふうに捉えております。
その上で、昨日の会議においてもですね、有識者の皆さんからパブコメについても非常に丁寧に、さまざまな検討が加えられたというようなコメントをいただきました。
それぞれのお考えが、受け止めがあると思いますけども、事務方とすれば、これは精いっぱいですね、きちんとした形での、どういう意見があったか類型をしながら、ご説明もしたつもりでございますし、それを受けて、有識者からもご意見を頂戴して、それを踏まえた上でのこの改定計画の案になったわけであります。
それはこれから与党との調整が始まりますので、それを踏まえてですね、手続きを前に進めていきたいと、こういうふうに考えているわけです。
7月2日(火)記者会見
記者(読売) 改定された新型インフルエンザ等対策政府行動計画についてお伺いします。
今回13年ぶりの抜本的な改定ということで、改定の意義を改めてお願いしたいのと、あと、実効性を高めていくためにですね、国民に対してどのように周知をしていかれるか、また今後策定されるですね、ガイドラインについても策定のめどだったりですね、どのように策定していかれるか、教えてください。よろしくお願いします。
大臣 今回10年ぶりに抜本的な改正を行って、しかも非常に精力的な作業を行ったというふうに思っております。
私自身も、大半のこの推進会議に出て、委員の皆さまとですね、意見交換しながら、またご提案もさせていただきました。
その中で、外形的な量が増えたからということが全てではないんですが、しかし、私どもでですね、いろいろ考えた結果が、項目が倍、6項目から13項目になりました。
そして、結果として分量もですね、90ページから200ページを超える内容になったというのは、それだけやはりこれまでのこのコロナとの闘い、そうした経験を踏まえて、また次に備えるですね、危機感と、それからいざというときに、どうやって実践的なものにしていくかと、こういう問題意識からですね、充実した内容になったというふうに思っています。
そして何よりもですね、平時の備えがとても重要です。
その平時の備えを有事になったときにスムーズに移行させることが重要で、平時に使っていないものが突如有事には使えないんですね。
ですから、私は「平時の便利、有事の安心」、こういうことを申し上げたことがございますけども、そういう中でですね、まずはその実効性のある訓練を実施しようということで、既に第1回目から、この全47都道府県にご参加いただいた政府の訓練をやりました。
これも県が参加いただきましたが、県はそれぞれの自分の地域のですね、市町村との連携だとか、県内の、また別途の訓練を組み合わせて、そして国の訓練、国と一緒にやる訓練に、そこに合わせてくれました。さまざまな工夫がなされてます。
また感染研と地方の衛生研究所との連携や、保健所の連携というのもとても重要なんです。
これも保健所設置市の保健所と県が持ってる、県の所管の保健所と、これはやっぱり連携させなきゃいけないことは、前回も指摘されておりまして、そういったものをですね、そもそも実効性のある平時の連携と、それを有事に移行させていくと、こういったものを入れました。
それから、これまで自治体でとても何々方式と言って、それぞれの地域で工夫をしてよいことがたくさんあります。ですから、そういう優良事例の全国展開、こういったものもですね、積極的に紹介をしていきたいと思っておりますし、この情報をリアルタイムで共有し、また分析し、また発信すると。
これDXが欠かせないということでですね、特に今回、この感染症関連の対策についてのDX、これをしっかりと充実させるべきだと、これはうたい込みましたし、私としてもですね、一連の政府が進めるDXの一環として、ここはぜひ強化したいということで力を入れていきたいと思っておりますし、また国民に理解を得るという意味においては、丁寧な広報活動、そしてリスクコミュニケーションというですね、さまざまな情報があると、それをどうやってそれぞれのご自身がですね、受け止めて、自分が対策打つかと、こういうようなものをですね、きちんと理解できるような、また、判断できるような状況をつくっていきたいということが書かれております。
そして、これら実際にですね、今後、進めていくにおいては、やはりこの行動計画に基づいたガイドラインというものをつくっていくことにいたします。
これは国・地方の職員が有事に際して対処するためにとても必要なものだと思っておりますが、それはまずは専門家による会議を行って案をつくっていただいて、それをこの推進会議で議論し、その上で決めていきたいと思っておりますし、これできるだけ速やかにですね、整備できるように努めていきたいと、このように考えているわけです。
記者(NHK) 今の質問に関連して、ちょっと補足的にお伺いしたいんですけれども、今回19万件のパブリックコメントがあったということで非常に関心が高いなというところで、ワクチンの接種とかですね、政府の偽情報対策、誤情報対策に対する懸念の声もあったと思うんですけれども、そういった声に対してですね、どのように説明をしていくかということと、それから、訓練ですね、実践的な訓練が必要だということを強調されていたと思うんですけれども、今後、具体的に何かご予定はあるのか、その2点をお伺いできますでしょうか。
大臣 まず、偽情報、誤情報、この対策はですね、やはりさまざまな情報が錯綜しやすい状況というものがありました。
ですから、これに対して政府としてはそのときに必要に応じて情報を分析したり、またそれに基づいて医学的、科学的見地から、この政府としての見解を発表してきているということでございます。
その情報を国民の皆さまと共有することが、リスクコミュニケーションにおける重要な役割で、やはり情報の収集、分析、発信ということだったんです、今まで、でもそこに今回共有という言葉をですね、あえて四つ目を入れたというのは、この有識者会議の意見の中でそういったもの、そういったいただいた意見を反映してつくったものであります。
一方で、偽情報、誤情報を何かこう政府がですね、一つ一つ調べて、それに対して何か峻別するのではとか、いろんな自由な情報が妨げられるのかとか、そういうようなご懸念が出てるということは承知しておりますけども、私どもは一貫してですね、これは政府として、そのときに必要な情報を分析をして、それに対する科学的、医学的見地からの見解を発表しているということで、全ての情報を何かそれがいいか悪いか、一つ一つをですね、何か判断して峻別するというようなことではないということも、これまで何度も説明してきておりますし、皆さんが安心をして、そしてまた必要な情報を自分できちんと判断できるような、そういう状況をつくることが大切ではないかなと、このように考えています。
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