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「言い訳」しているのは上司です。

前車の覆るは後車の戒め

*記事*

 『言い訳をしてるのは上司の方だな』

 記事を読んで最初に抱いた感想です。
 ここでは『言い訳をする部下』についての話が載っています。自分の経験の中にもいましたし、なにより自分が若い頃にこういった言い訳をまったくしてこなかったわけではありません。
 ではなぜ『言い訳をしてるのは上司の方だな』と感じたのか説明していきます。

 部下の《言い訳》の例として、

『○○だったらうまくいった』『××のせいでうまくいかなかった』と一言余計というか……。

と言っています。
 前者は『改善点の模索』、後者は『原因の模索』になっています。言い訳や責任転嫁に聞こえるでしょうが、それでも部下なりに『考え』て模索した結果だと言えますね。
 しかし、これらを『余計な一言』で片付けています。つまり『聞いていない』のです。

 それなのに次に、

次回は失敗しないためにどうすればいいか考えて、自分なりに試行錯誤することも大切だという趣旨を伝えました。

と言っています。
 いや、《試行錯誤した結果は伝えている》んです。すでに。
 先述の『改善点の模索』と『原因の模索』がそれです。部下はちゃんと【失敗しないためにどうすればいいか考えて、自分なりに試行錯誤している】のですよ。
 おそらくですが、その部下が指導を受けているときに思っていたことは『だから、それはもうやってるし伝えましたよね?』ってことだと思います。おそらくですが。

 上司からすれば未熟な責任転嫁に聞こえるでしょうが、部下なりに考えた解決策を提示しているのです。なのにそれを『余計な一言』で一蹴した上に、《すでにやったこと(試行錯誤・模索)をもう一度やれ》と言ってしまっていますね。

 部下からすれば「一度やったことをもう一度やれってのは何が目的なんだろ?」と思ってしまいます。そして『目的が分からない』ので道に迷ってしまうのです。
 こういう【どの方向に行けば良いのか分からない】状況は、大きなストレスになります。意味は少し違いますが『ダブルバインド』をうけたときと同じような感覚でしょうか。
 『行き止まり』や『袋小路』に迷い込んだような気分になってしまうでしょう。

 部下はミスの《言い訳》をしているのではなく《理由》を言っているのですよ。つまり【原因】ですね。
 そして、その原因を《解決するのは誰の仕事》ですか? という話にまで繋がります。『権限委譲』の話です。

 A. 原因を突き止める
 B. 原因を解決する

 この2つは『全然違う仕事』です。
 おそらくこの部下がやったことは前者までで、そこまでしか権限がないと思っていて、後者は『上司の仕事』だと解釈しているのだと思います。
 しかし上司は、前者が自分の仕事で後者が『部下の仕事』、あるいは、2つとも部下の仕事だと思っているのです。

 この《認識の逆転》が問題の原因だったのです。まとめると、

 ♠️部下の解釈
   上司の仕事…原因を解決する
   部下の仕事…原因を突き止める

 ♣️上司の解釈
   上司の仕事…原因を突き止める
   部下の仕事…原因を解決する(& 突き止める)

 このようになります。どちらが正解かと言われると難しい問題になるというか、もう『人による』としか言えませんね。ですので、この辺は先に話し合って認識のすり合わせをしておく必要があります。
 では、ここで『立場を逆転』し、さらに『時系列も逆転』してセリフを言わせてみましょう。ミスが起こったあと、

 部下『次、失敗しないためにどうすればいいか考えてみます』
 上司『これだったら、○○だったらうまくいったのかもね』

 あるいは、

 部下『こうならないように試行錯誤してみます』
 上司『××のせいでうまくいかなかったってことかな〜、多分』

 立場と時系列を逆転すると【道が開ける】ことが分かりますか。『行き止まり』にはなっていないのです。そして、どちらにしろ《言い訳》なんて言っていないことになりますね。
 この場合、上司のセリフは《言い訳》ではなく【助言】や【示唆】になっていますので、部下は安心して次の一手を打てることになります。

 『♣️上司の解釈』であれば良かったと言えますが、部下の方が『一手先んじていた』とも言えます。つまり、部下はこうなることを想定していたから、事前に『理由』まで突き止めて報告した可能性があるのです。
 もしそうであるならば、上司が言うべきセリフは「じゃあ改善する方法を一緒に考えていこうか」などでしょうか。

 上司が自分で言っていますが『仕事ができない子ではなかった』そうです。であるならば『先を読む力に長けていた』と考えることができます。どんな仕事でも《仕事ができる人》は総じて先を読む力に長けている傾向があると思います。まぁこれは私の経験上の考えですが。

 『認識の逆転』『立場の逆転』『時系列の逆転』など、【逆転】には気をつけてください。
 結構、いろんなところで【逆転】していますから。



Turnaround

 部下の言い訳をやめさせるのに一番良い方法は『上司が言い訳しなくなること』です。

 『言い訳』と『言い返す』は全然違うものですが、何がどう違うのか説明しろと言われると、なかなか難しいですね。
 詳しくは知らないのですが、大学によっては授業で【ディベート】の練習をすることがあります。討論です。その討論では相手がいったことに対して『言い返す』ことが大事な能力の1つです。
 このような練習をしたことがある人は『言い訳』と『言い返す』の《区別がつけられなくなる》ことがあるのかもしれません。

 部下がどんな説明をしようと、上司はほぼ確実に『言い返し』ますよね。それが部下には「言い訳をしている」と映ることがあるってことです。なぜなら、区別がつけられないからです。

 そして『言い訳をしている上司』を見た部下が、言い訳をするようになっても何も不思議ではありません。

 言い訳をしているのは部下ではなく、自分かもしれないのです。

 ちなみにすぐに『言い訳』や『言い返し』てくる人は、企画などの《プレゼン》が得意かもしれません。
 企画に対し、どんなツッコミがきても『言い返す』ことができるからです。

 言い訳には「クソウザい」と思う反面、ちょっと羨ましいとも思いますよ。


エンディングはこちら〜🎵
『Craig David - Don't Love You No More (I'm Sorry) (Official Video)』


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