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【気象予報士】トレイルランナー職業図鑑 #03

トレイルランニング専門誌『RUN + TRAIL Vol.39』(2019年10月発売号)の特集は「UTMB 2019大特集」。それはそれは"UTMB好き"にはたまらない誌面構成になっていたわけでして、2020年がコロナで全てが吹き飛ぶとは当時思ってもいない、幸せな日々だったのだと思い返します。

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そのVol.39で、「あなたは何している人?」こと、普段の仕事人としての顔に迫るシリーズ"トレイルランナー職業図鑑"を企画・担当しておりました。

そこそこ反響があったものでして、トレイルランナーは、ほんの一部のプロをのぞいてほとんどが普通に働く社会人でありながら、知っているようでじつは知らないものです。

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そのあの人の仕事場を訪ねたこの小特集を加筆修正して再掲する3回目は、女性気象予報士です。気象予報士でトレランしている人、しかもウルトラトレイルを走ってしまう女性はこの方以外で、聞いたことがありません(いたら、ぜひお知らせを!)。


お天気お姉さんはトレイルランナー

■船ときどき開発のち気象、大阪のち横浜からの熊本

 九州のトレイル界で知らない人はいないだろう。しかし、全国的にはまだまだ地名度が低い栗原さんの仕事は気象キャスター。つまり、お天気お姉さんだ。多くの人から「栗メグ」の愛称で呼ばれている。

 18時15分からの情報番組、夕方Live『ゲツキン!』(RKK熊本放送・月〜金)のお天気コーナーを担当している。

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 情報番組『夕方Liveゲツキン!』」出演者の皆さんと一緒のショット。私たちは本番のスタジオに入らせていただき、CM中のみ撮影が許された。

 栗原さんは、熊本ローカルのこの番組で18時40分頃に登場し、4分ほどの時間でお天気解説をする。さしずめ『18時40分の女』だが、大阪出身の彼女の経歴は少しユニークだ。

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「神戸商船大学を卒業して、船を開発するヤンマーに勤めました。好きで進んだ道だったんですが、女性が働くには難しい環境で、新しいキャリアを模索していたんです。そこで目指したのが気象予報士でした。

船の開発の中でエネルギー効率は重要でして、気温・気圧・湿度など気象条件に大きく左右されます。開発する上でその気象条件の違いで補正を掛けるうちに、気象に強い興味を持ちました。加えて、人に伝える仕事をしたいという思いから、『気象×キャスター』を目指したわけです」

 2011年にヤンマーを退職 し横浜へ。気象学の勉強とボイストレーニングを2年ほど学び、2013年春に気象予報士の資格を取得すると、就職先を探し始めた。

「関東は難しいなと感じました。それは2つあって、1つはライバルが多すぎるという点です。確かに情報も人も集まる場所ですけど、働き口を見つけるには難しい。それと、出身が西だからか、東京の水が合わなかった(笑)。仕事するなら西だなって思っていたところ、知り合いの紹介で面接を受けたのが、今のRKK熊本放送でした」

 資格を取得したその年の11月、単身熊本へ。東より西がいいという育ちの勘は当たる。

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