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『ドラえもんのび太と空の理想郷』は話の内容王道すぎ、メッセージ刺さりすぎ、で即ガチ号泣した話

今年も春がやってきた。
春映画と言えばドラえもん。そしてクレヨンしんちゃん。毎年楽しみにしているキッズも多いんじゃない?私も未だにちょっと楽しみにしてるよ。
けど今年は少し違った。クレヨンしんちゃんの映画公開は、夏になってた。知らなかった、いつからだろ?映画館にはもう何年も行けてないから…。2時間とか座れないから、サ(苦笑)
まぁ、物価高高騰とか叫ばれてる時代。なのに、会社員のお給料はあがらない。そんな中同時期に上映するより、少しずらす事でたくさんの人が足を運びやすいってのは難しくない考えだな。良き戦略だ。
春休みはドラえもん、夏休みはしんちゃんってね。確かに、もし私が親だったら『どっちかひとつにしなさい』って言うかもしれん。子供にとっても悪くない。

シンエイ動画は愛と希望と夢に溢れてて大好き。これからも頑張って!

さて、恒例の公開記念に去年の映画がテレビ放送されてた。うっかり見ちゃったら号泣した。もう、ドラえもん号泣。聞いて欲しい。クッソ泣けた。
2連続ドラえもんで失敬。でも、損はさせない。

まず、あらすじは此方。

争いも苦しみも無い、飢えも苦しみもない理想郷ユートピア。それに憧れたのび太は偶然、空に出現した星を見てユートピアを探しに行く。結局、ユートピアなんて作り話なのかもしれないと思い帰路につこうとしたそのとき、何者かの攻撃を受けて船が落とされる。
着いた場所は、なんと本物のユートピアだった。争いも犯罪もなく誰もが幸せに暮らせる『パラダピア』ここで暮らせば誰でも『パーフェクト』になれると言われ、みんなはパラダピアでの生活を体験することにした。
徐々に、パーフェクトになり出したみんな。のび太は、パラダピアでものんびり屋。みんなが先にパーフェクトになりつつあることを羨ましく思う反面、疑問を持ち始めた。友人たちの個性が消え始めたからだ。
実はユートピアとは、争いも犯罪もなく誰もが幸せに暮らせる理想郷ではなく相手の心を奪い、思い通りに動かす世界を作りたかったレイ博士の企みだった。それを知った五人は博士の企みを阻止しようとする。
レイ博士の忠実なる下僕であるパーフェクトネコ型ロボットのソーニャは対立するも、ドラえもんとのび太の友情に心動かされた。
レイ博士の計画は失敗に終わった。しかし、失敗を認めないレイ博士はパラダピアを墜落させようとする。墜落はなんとか止められたものの、暴走した熱エネルギーによって爆発すると知ったソーニャは、一人犠牲となりそれを食い止める。

まずね、ソーニャの自己犠牲が、死ぬ(号泣)言いなりだったソーニャが、感情を表した瞬間。泣いた。人に認められるって嬉しいね。

「心があると言ってくれた。だから私は私の心に従って決める」

ドラえもんはソーニャを友達と言いきった。ソーニャもそう思った。だからタケコプターを破壊してみんなを助けた。人の心が動くその瞬間は、何者にも代えがたいほど美しい。

そして、オチも素晴しい。
爆発に巻き込まれ粉々になってしまったソーニャのメインメモリーをドラえもんが見つける。身体を復元すればもとに戻ることが判明(生き返る)

王道すぎる展開じゃろ?こんなん泣くに決まってるじゃろ!!!泣かす気満々な戦略にハマって、ちょっとくやしい!

でも、良い話だったわ〜
ドラえもんが、メインメモリーを見つけるというのがいいね。たまらない。同じロボットとして、同じ境遇で生きてきた。人間の無茶苦茶な要求にも答えてきた。そんな同士を救い、そして救われる。泣くじゃろ。

あとは、やっぱりドラえもんとのび太の友情だよね。泣かされた。パラダピアライトを浴びるとパーフェクトになれる。でもそれは三賢人(敵)の言いなりになるということ。のび太はこのパラダピアライトを浴びてしまいパーフェクトになってしまう。
のび太は、敵の言いなり。計画を邪魔するドラえもんを「虫の姿に変えろ」と、命令を受けるんだけどさ。のび太、『はい』って言いながら!銃口をドラえもんに向けるけど!引き金を引けないの!わずかに残った奥底の想いが拒否する!のび太ぁぁぁ!!!

また、この場面描写も良い。非常に私好み。敵である三賢人が「やりなさいのび太さん」って優しく行動を促すんだけど、動かない。イライラし始めて「さあ、はやく」「なぜ、やらない」みたいな感じでどんどん口調が荒っぽくなっていく。最後は「やれ!のび太!!!」って怒りながら言われてるのに、撃てないの!のび太とドラえもんの友情が!スキ!!!!

結局のび太は撃たなかった。んで、ドラえもんを撃ったのはソーニャなんだよ。それもまた、イイ。間違ってるとわかってても我が主君に従う、みたいな?王道の悪役。スキすぎ。いやしかし、ソーニャは悪役なのか。

そもそも、この話に悪役という定義はあるのか。ラスボスのレイ博士は、圧倒的科学の才能があったにも関わらず、幼少の頃いじめられた。そんな経験から発明家になってパラダピアを作った。
世界を自分に従わせる、それが目的。幼少のころの雪辱を果たすために…。
もし個性を認める文化であったなら、レイ博士がいじめられなかったら、パラダピアライトで世界中の人を従えようなんて考えなかっただろう。レイ博士は歪んでしまった。でも、同時にこの経験が無かったら、パラダピアもパラダピアライトという発明も生まれなかった。

そうこれが、この映画での一番重要なメッセージ。強いね。現代の問題を表す問題、ズブズブと刺さった。考えれば考えるほど、吐きそう。個性を殺すことはいいことなのか、悪いことなのか。非常に、難しい。

「パーフェクトになんかならなくていい、これが僕だから」

パーフェクトは、一見良いことに見える。だって、飢えも苦しみも、犯罪も無い世界なんてまさに理想でしょう。目指すべきであると思う。
日本はまさに、パラダピアを目指しているようにさえ感じる。反乱もせず、大人しく、真面目に働いて税金を収める大人。お上にしてみれば、理想だな。

だからこそ、この映画で未来の子供たちにメッセージを残した気がする。これからの未来を背負って立つ子供たちへ。

現在の日本では、個性を出せる。それはごく限られた人にしか出来ない特別なことなのかもしれない。そんなことになってはいけないんだよ。

「どうしてもしたい、したくないと言う心は消してはならない」

私は実はずっと、どうしてもしたい、を殺してきた。だって叶わないから。一度失敗すると、それみたことか!と叱責される。だから、挑戦することを諦めてきた。そのほうが楽だった。私が死ぬほど努力出来ないのは、この経験が原因かもしれないね。
やりたいことはたくさんあったよ。でも、逆らうことは悪いことだと思っていた。抗ってまで、私という存在を貫き通す意味もわからない。まさにパラダピアの住人だ。

逆らわず、顔色を見て、大丈夫そうな道だけを歩んできた。

今までの人生を振り返ってハッピーかい?と尋ねられたら迷ってしまう。不幸では無かったが、胸を張って幸せだと叫べるエピソードは無い。もっとやりたいことがあった。素直にやりたいと言わなかった後悔。

もちろん、暖かい布団で眠れて、飢えることもない毎日に感謝している。大量の本も読めるし、映画も余るほど見れる。
それだけで、幸せだ。

でも、何か違う。

辛いこともあって、楽しいこともある、それが人生。何者にもなれず、のんべんだらりとゆるい幸せを生きることは、果たして幸せなのだろうか。簡単に、答えは出ない。

この映画、とても原作者の藤本先生を理解しているように思える。というか、藤本先生に寄せて作られたというのか。もしかして、わさびドラになって、初めてじゃないか。こんなに寄せたのは…。

藤本先生って作品に、未来の子供たちへの問題を込める。特に亡くなる直前の1990年代のドラえもん映画はメッセージ性が強い。

このへんの映画といえば、分かる人はわかるはず↓

環境破壊とか、時空犯罪者とか、ドラえもんらしい世界観と現代の警鐘をうまくミックスさせてる。
このままだとダメだよ、世界は滅んでしまうんだよっていう強い想い。リメイクすらできないこの領域。

『空の理想郷』は、わさびドラ17作目にしてはじめて、この1990年代の藤本先生スタイルをぶっこんできたような気がする。ドラえもんらしい世界観を維持しながら、現代の警鐘をぶっこむ。

単純に敵を倒すだけじゃない。答えの出ない問題を折り込んで、敵であっても敵じゃない。どちらも正しいし、どちらも間違ってる。そんな初期ドラえもんっぽい作品になってる。

すげえ。すげえよ…。ここにも、天才がおった。誰だ、その天才は。

その天才脚本家の名は、小沢良太氏。代表作を見て納得。こりゃ、天才だわ。

知らずに全部見てる(笑)おそらく、この人の世界観がスキなんだろうな。感性って音楽とか作品には、出ちゃうものだからね〜

よく議論される『作品にメッセージやテーマは必要か?』という件。

私の持論を述べるなら、どっちだっていい。それを決めるのは、ファンであり読み手であるから。

私たちクリエイターは、ただひたすら自分が良いと思ったことを全力で形にする。ただそれだけ。権利や圧力に負けてはならない。
なーんて、そもそも何にも逆らえずに生きてきた私が言うには綺麗事すぎるし、信ぴょう性のカケラも無い話だ。わっはっは。

それでもね、テーマやメッセージ性は私のようにぼーっと眺めるだけの人にも結構伝わるものだよ。
私も知らずに小沢氏の作品のテーマやメッセージを受け取っていたもの。

とまあ、話が長くなってしまったから、今日はこの辺で…。

私はパーフェクトじゃない。それでも、私は私の心に従って今日もまた物語を読んで、紡ぐ。

心が動く物語、サイコーじゃん。

#映画にまつわる思い出

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