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犬の声が聞けたらいいのに。

どうも、動物と打ち合わせる建築家です。

基本設計の段階で、クライアントには愛犬と同伴してもらうことにしています。コミュニケーションを設計の肝としているので、犬だけでなくパートナーの自然な会話や意見を引き出すために重要だと思っているからです。

犬は喋れない

 当然なのですが、共通語があればどんなに楽かと。何度も何度もそんな場面に出会しました。ある程度習性や普段の様子から、好きそうな場所や素材が分かったりするのですが、稀に通用しないケースがあります。簡単にいうと、「用意したハウスに入ってくれない」「冷たいところが好きみたいだから土間にしたのに全然使ってくれない」などパートナーの思いとは裏腹に、愛犬は意図しない使い方をしてくれるのです。こんな相談をされるたびに「犬の言葉を理解したい」と思ってしまいます。

気持ちは100%理解できないと割り切る

 よくよく考えると、人と人だってコミュニケーションは取れても、理解ができなかったり、読み取れないケースは多々あります。相手の思考が読めればもっと営業トークも上手にできるのに...と思ったところでそれはかないませんし、たくさんの経験や人の意見を取り入れてだんだんと言語化できるように、犬であっても場数を踏むことでしかこの感覚は磨かれないんだなと。

 もしかしたら将来AIが精度の高いバウリンガルを開発してくれるかも知れませんが、どこまでいっても完璧な理解はできないと思っています。だって犬は人ではありませんから。犬の思考を人の施工に合わせた結果が出力されるだけで、未知の考え方が犬や他の動物の中にあるかも知れません。

無理な提案はしない・させない

 大手のハウスメーカーも”ペットと暮らす家”はパンフレットの一つや二つ持っていると思いますが、事例はかなり極端なものばかり。また写真しかないので、実際にどんな使われ方をしているかは分かりません。私が知っているケースではいわゆる「タレント犬」を使って展示場で撮影、パンフレット化した物がありました。当然良い子さんなので、指定の場所にお行儀よく座りますし、撮影が終わればIKEAのぬいぐるみが替わりに置かれます。こうして世間一般にパンフレットの理想的なイメージが蔓延してしまい、実際に引き渡し後に解離が生まれてしまうことも少なくないのです。パートナーがどんな理想のイメージを持っていたとしても、やはりそれは一方的な思いやりになってしまいかねないので慎重に考えを整理していく必要があるでしょう。

 基本的にはヒアリングを行い、希望を聞いた上でじっくりと計画を進めていきます。当然わからないことは調べたり、知り合いの獣医さんに相談したりして検討します。ほとんどの場合はこのヒアリングと計画を練る段階で仕事の8割が終わると思っています。

自然に暮らそう

 愛犬にとっての幸せはパートナーと適切な距離でともに暮らす事ではないでしょうか?甘えん坊さんだったり、クールだったり、一番知っているのはパートナーのあなたであるはず。肩の力を抜いて、ゆっくり愛犬との生活を設計してみましょう。
そのお手伝いをしているだけの建築家でした。



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