【移籍の噂】レアル・マドリーはいかなる補強を行うのか?【MF編】
本稿はレアル・マドリーの2022-23シーズンのポジション別の戦力査定と2023年夏の移籍市場での動向についてお伝えします。
前回は【GK&DF編】をお送りしました。
もしそちらをご覧になりたいという方は、下のリンクをクリックしてください。
https://note.com/h_t_football/n/n52914719bee0
今回は第二弾の【MF編】をお送りします。
レアル・マドリーの中盤は1人のアンカー(中盤の底/錨の意味)と2人のインサイドハーフを配置した逆三角形で構成されています。
【序列】レアル・マドリー戦力査定⑤アンカー編
こと守備においては世界最高クラスだったカゼミーロが、開幕後にマンチェスター・ユナイテッドへ移籍。
キャンプやプレシーズンマッチでアンチェロッティ監督が目を見張るパフォーマンスを見せていたオーレリアン・チュアメニがレギュラーに繰り上がる形でシーズンがスタートしました。
それでもシーズンが終わってみれば、このポジションの主戦力はクロースが務めています。
攻撃面では両センターバック間やセンターバックとサイドバックの間にまで降りて、最終ラインからボールを引き出して配球しました。
プレスを受けても冷静さを失わない卓越したボールコントロールで攻撃をオーガナイズ。
ヴィニシウスへの球脚の長いスルーパス1本でスペースを攻略するシーンもありました。
一方で守備面には限界があり、とりわけインテンシティの高い展開や、センターバックが釣り出されたスペースのケアには課題が残りました。
クロースの代役を務めたのは左サイドバックと兼任のカマヴィンガ。
2021-22シーズンはプレッシングの回避術と守備面で問題を露呈し、アンチェロッティ監督からはアンカーでは使えないとの烙印を押されたことを思えば、このポジションでも長足の進歩を遂げました。
圧倒的なフィジカル的資質を備えているので、多少のリスクを身体能力一つでカバーできるのが強みで、繋ぎのパスも正確性を上げました。
現有戦力では唯一の左利きのミッドフィルダーという点も価値を際立たせています。
アンチェロッティ監督からの信頼を物語るのは、CLノックアウトステージ1回戦のリバプール戦。
home&awayの2試合でアンカーとして起用され、ドリブルで攻撃を活性化。
対面するファビーニョを困難に陥れました。
アンカーとしては規格外のドリブルでの推進力を誇り、対峙する相手を置き去りにできる点が魅力です。
フラン・ガルシアが復帰した2023-24シーズンは中盤での出場機会が増加することが期待されます。
チュアメニは結局3番手でシーズン終了。
シーズン開幕当初は素晴らしいパフォーマンスを見せて連勝に貢献しましたが、怪我とカタール・ワールドカップ後のコンディション不良により存在感を低下させました。
前任のカゼミーロとの比較で守備力が、クロースとの比較でパスセンスが不十分。
一度コンディションを崩すとなかなか本調子に戻らないのは体格の良い選手にありがちですが、コンディショニングやプロフェッショナリズムの面でも不十分でした。
それでもメガクラブへの移籍一年目で、前述した通り思いがけずレギュラーの座が回ってきたのは事実。
2022年夏の獲得時には、まずカゼミーロのバックアッパーとして経験を積みながら、緩やかに世代交代というのがレアル・マドリー首脳陣の計画であったことを考慮すると、情状酌量の余地はあるか。
そもそもチュアメニはジロンダン・ボルドーのU-18チームに所属していた2017年に現在のポジションにコンバートされ、それまではずっとストライカーとその後方でプレーしていました。
ボルドーのトップチームやモナコでも基本的にはダブルボランチの一角としてプレーしていて、アンカーの経験値はさほど高くない。
〈一番手〉
トニ・クロース
生年月日:1990年1月4日
身長・体重:182cm・76kg
22-23シーズン記録:42試合2得点
国籍:元ドイツ代表
退団の可能性:残留決定
〈二番手〉
エドゥアルド・カマヴィンガ
生年月日:2002年11月10日
身長・体重:182cm・70kg
22-23シーズン記録:48試合0得点
国籍:フランス代表
退団の可能性:非常に低い
〈三番手〉
オーレリアン・チュアメニ
生年月日:2000年1月27日
身長・体重:187cm・87kg
22-23シーズン記録:43試合0得点
国籍:フランス代表
退団の可能性:低い
【移籍の噂】現有戦力で新シーズンへー。理想はチュアメニの一本立ち。リバプールへの放出の噂は論外
現状のキャラクターの異なる3人体制は欧州でも屈指の陣容で、チュアメニが一本立ちした場合にはさらに充実度が高まるため、新たな戦力の獲得の噂すら聞こえてきません。
2023-24シーズンは従来の序列は一度リセットされ、三者が横一線からのスタートとなりそう。
言うまでもなく新シーズンの最大の焦点はそのチュアメニの成長。
ワールドカップ決勝やCLなど、すでにプレッシャーのかかる大舞台は経験済みで、激しく攻守が入れ替わる展開の中で無理の効く守備力は備えているし、クロースほどではないが長短のパスは正確、空中戦はレアル・マドリーでも屈指の存在感。
カゼミーロのようにセカンドボールの回収や守備時のアンカー落ちをマスターすれば必然的にレアル・マドリーの中盤でも重要な存在になると断言できる。
昨夏に争奪戦を繰り広げたリバプールがチュアメニ獲得に向けてレアル・マドリーにコンタクト(リバプールのハイインテンシティサッカーにハマるのは間違いなく、ユルゲン・クロップ監督の強い要望があるようです)がありましたが、売却は論外です。
2024年6月まで契約を延長したクロースはコンディション次第でもう一年の延長の可能性もあるとのこと。
ただし緩やかに出場機会を減らしていきながら、チュアメニやカマヴィンガにバトンを渡していくことになるようです。
【序列】レアル・マドリー戦力査定⑥インサイドハーフ編
昨シーズン開幕前の計画ではルカ・モドリッチとクロースがピッチに立つ機会を減らし、若手に出場機会を分けていく予定でしたが、終わってみればベテランが存在感を発揮する展開に。
序列はここ数シーズンから大きくは動きませんでした。
一番手はフェデ・バルベルデ。
シーズン序盤は昨シーズンと同様に右ウイングとしてプレーしましたが、ロドリゴのスタメン抜擢に伴いインサイドハーフが主戦場になりました。
運動量が豊富で、爆発的なスピードを攻守に活かすことができ、ドリブル突破やミドルシュートまで備えたまさにモダンフットボールのインテリオール。
特に今シーズンはベンゼマが本調子でない状況で得点力を発揮し、火力維持に大きく貢献しました。
ビジャレアル戦後にアレックス・バエナに暴行を働いた一件に対するペナルティがありそうで、一定数の出場停止は避けられないか。
二番手はモドリッチ。
豊富な運動量で中盤に動きを与えながら、パスとドリブルで局面をガラリと変えられる近年の成功の功労者の一人。
今夏はサウジアラビアからの数百億の打診を断り、レアル・マドリーとの契約を1年延長しました。
若者たちから尊敬を集める人格者でもあり、もはやフットボール界の生ける伝説となった。
三番手はカマヴィンガ。
左サイドバックへのコンバートを成功させながら、インサイドハーフでも重用されました。
例えば試合途中にナチョやアラバを左サイドバックに起用して、カマヴィンガをインサイドハーフにあげる起用法は昨シーズン何度かありました。
もはやこのポジションにおける序列はモドリッチと大差はなく、左サイドバックが充実していればレギュラーを掴んでいてもおかしくなかった。
四番手はクロース。
インサイドハーフで起用されても基本的にタスクは変わらず、保持時には最終ラインやその前まで降りてパスを受けては捌く、レジスタ的な仕事を任されました。
五番手はダニ・セバージョス。
先ごろ2027年まで契約を延長し、サポーターを安心させました。
主力にワールドカップ後の疲労が深刻化した1月から3月にかけて躍動。
「走れる司令塔」として献身性を発揮しながら、ボールを集めては捌き、特に「繋ぎ→崩し」または「攻→守」への切り替えの局面で大きな存在感を発揮しました。
それでも主力の復調により徐々に出場機会を減らしていったのは残念でした。
アスレチックな資質を持った選手が揃うレアル・マドリーの20代の選手の中では希少な技巧派で、1〜2年後のモドリッチ、クロース退団を見据えると希少価値がグンと上がる。
〈一番手〉
フェデリコ・バルベルデ
生年月日:1998年7月22日
身長・体重:182cm・76kg
22-23シーズン記録:45試合9得点
国籍:ウルグアイ代表
退団の可能性:低い
〈二番手〉
ルカ・モドリッチ
生年月日:1985年9月9日
身長・体重:172cm・66kg
22-23シーズン記録:43試合6得点
国籍:クロアチア代表
退団の可能性:残留決定
〈三番手〉
エドゥアルド・カマヴィンガ
生年月日:2002年11月10日
身長・体重:182cm・70kg
22-23シーズン記録:48試合0得点
国籍:フランス代表
退団の可能性:非常に低い
〈四番手〉
トニ・クロース
生年月日:1990年1月4日
身長・体重:182cm・76kg
22-23シーズン記録:42試合2得点
国籍:元ドイツ代表
退団の可能性:残留決定
〈五番手〉
ダニ・セバージョス
生年月日:1996年8月7日
身長・体重:179cm・71kg
22-23シーズン記録:37試合0得点
国籍:スペイン代表
退団の可能性:残留決定
【インサイドハーフ移籍の噂】ベリンガムの争奪戦に勝利。中盤の陣容は質・量ともに世界最高へ
6月14日、ジュード・ベリンガムの獲得を正式に発表しました。
今夏の移籍市場で最も注目を集めていた超逸材の獲得を早々に決め、これで既存戦力と併せて質・量ともに世界最高の中盤が完成しました。
マンチェスター・シティに大敗を喫した後だけにサポーターにも大きな希望と安心感を与える会心のオペレーションとなりました。
説得力のある移籍金やサラリーを提示できたのはもちろん成功に大きく影響しましたが、それ以外の要素も大きく絡んでいたようです。
まず、ドルトムントと良好な関係を築いていたこと。
もう一つはレアル・マドリーというクラブのプロジェクトにベリンガムは魅了されたようです。
クラブの歴史や伝統、そして今後数年間のプロジェクト。
お金以外の部分のスペシャリティーでマンチェスター・シティとの争奪戦に勝利したのです。
これで新シーズンのインサイドハーフはバルベルデ、モドリッチ、カマヴィンガ、クロース、セバージョス、ベリンガムという6人体制で回すことが可能になりました。
見据えておかなければならないのは、1〜2年後にはほぼ確実にモドリッチとクロースが引退するということ。
その代役として挙げられるのは、セルタのガブリ・ベイガ。
プレスに対する耐久力が強く、そこからパスとフリーランニングを織り交ぜた前進からフィニッシュまでこなせる多彩なインテリオール。
最も魅力的なのはその得点力で、2022-23シーズンで降格争いに巻き込まれ総得点が46にまで落ち込んだセルタで11得点は特筆に値する。
契約解除金が58億円と抑えられていることもあって、ドルトムントやリバプールが獲得に関心を持っていると言われています。
今夏セルタに残留なら2024年夏にアタックする可能性はある。
【獲得決定②】
ジュード・ベリンガム
生年月日:2003年6月29日
身長・体重:186cm・75kg
22-23シーズン記録:38試合13得点
国籍:イングランド代表
【移籍の噂⑦】
ガブリ・ベイガ
生年月日:2002年5月27日
身長・体重:184cm・70kg
22-23シーズン記録:36試合11得点
国籍:スペインU-21代表
この記事では、レアル・マドリーのMFの現有戦力と移籍の噂についてお伝えしました。
次回は【FW編】をお伝えします。
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