私たちの国に、死刑は必要なのか?
このタイトルに、日本では80.8%の人が「YES」と答える。設問としては「世論を二分するような」と言えるテーマだと思うのだが、実際の回答を見てみるとまったく二分されていない。それどころか肯定派の圧勝である。
もちろん多くの方がご存知の通り、日本では死刑制度を存続させている。だが、国際的に見ると、これは少数派に属するようだ。経済協力開発機構(OECD)加盟国に限れば、死刑制度を存続させているのは、日本、韓国、アメリカの3ヵ国のみ。
国連加盟国においても死刑制度があるのは約3割で、7割近い国では「廃止」もしくは「事実上廃止」となっている。実施している3割の国々はアジアや中東に集中しており、主にイスラム教徒の多い国々では宗教的な理由から死刑制度を続けているようだ。
とはいえ、よそはよそ。うちはうち。あくまで、「私たちはどうすべきなのか」という視点で考えていきたい。
まずは、冒頭で紹介した記事の中身を見ていきたい。設問の選択肢が「やむを得ない」なので、「賛成」というよりは「容認」というニュアンスになるのだろうが、これが最も多く80.8%。前回より0.5ポイント増え、4回連続で8割を超えたという。
一方、「廃止すべきだ」と答えたのは9.0%で、前回より0.7ポイント減っている。つまり、世論はここ数年で、より「死刑制度は続けるべきだ」という考えを強めていることになる。
理由を見ていこう。
まずは、容認派の理由を多い順に並べてみる(複数回答可)
1つ目と2つ目の理由は、まさにイスラム教の「目には目を、歯には歯を」という考え方に共通するものがあり、意外と日本人とイスラム教の相性はいいのかもしれないとさえ思わせる。
3つ目の理由は、これまたよく話題となる「死刑制度と抑止力」というテーマだが、2022年の最新の調査では「死刑が終身刑よりも大きな抑止力を持つことを科学的に裏付ける研究はない」とのことらしい。
1981年に死刑を廃止したフランスの統計でも、死刑廃止の前後で殺人発生率に大きな変化は見られないという。この事実がより周知されれば、3つ目の回答は減ってくるのかもしれない。
次に、廃止派の理由を見ていこう(複数回答可)。
こちらは冤罪の可能性を指摘する声が根強く、たしかに袴田事件などもあり、傾聴に値する声ではある。
では、私自身はどう考えているのか。葛藤も交えながら綴ってみたい。
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