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ホストクラブ経営者が「真のフェミニスト」と口にした意外な名前。

手塚マキとの付き合いも、もう15年近くになる。元は新宿・歌舞伎町のカリスマホスト。20代半ばで独立して、現在ではホストクラブ6軒、さらには飲食や美容、デイサービスを経営する実業家となった。今回のコロナ禍では、自身の経営する店舗も大打撃を受けたが、他の同業経営者と新宿区長をつないで感染対策を積極的に進めるなど、“夜の街”の感染拡大を食い止めるために日夜奔走していた。


そんな手塚はここ数年、「ファミニズム」について真摯に学んでいた。しかし、そう書くと、こんな感想を抱く方も少なくないかもしれない。

「ホストなんて女性を食い物にする商売だろ。そんな立場の人間が、“フェミニズム”だなんて、ちゃんちゃらおかしいや」

実際、彼自身も20代の頃には、売上を上げることに執着し過ぎて、お客様の気持ちが見えなくなっていた時期もあったという。だが、いまは当時のことを肯定的に振り返ることはしていない。

「懺悔……と言ったら言い過ぎかもしれませんけど、そういう商売のままで本当に胸を張っていけるのかなと思っちゃったんですよね。この世界で長くやっていくんだと腹をくくったときから、ますますそんな思いが強くなってきちゃって」

30代に入ると、方針を転換させた。ホストクラブを「女性を食い物にする場所」ではなく、「女性をもてなし、輝かせる場所」にしようと決めたのだ。以来、従業員に対するサービスの指導を徹底し、高級レストランや高級ホテルのような接客を提供することで、他店との差別化を図っていった。

「女性をもてなすことを徹底しようと思ったら、女性のことを学んでいかなければいけない。そんなきっかけから少しずつ本とか読んでみると、女性がこれまで置かれてきた立場とか、そこに対していかに男性が無自覚であったかとかに気付いてしまったんですよね」

こうして手塚はフェミニズムに興味を持ち、自分なりに学びを深めていったわけだが、昨今は「フェミ」と聞いただけで眉をしかめる人がいるのも事実だ。“ツイフェミ”と呼ばれる、ネット上で意見を表明するフェミニストたちがややもすると攻撃的なスタイルを好むことから、「フェミニズムには関わらないでおこう」と身構えてしまう人が増えてしまったのだ。

そんなこともあり、手塚に聞いてみたことがある。

——これだけ本とか読んでフェミニズムについて学んできたマキから見て、フェミニストとして主張に賛同できるというか、共感できる人って誰がいるの?

「うーん、そうっすねえ……」

しばらく考え込んだ末に彼が口にしたのは、ちょっと虚をつかれる、意外な名前だった。

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「乙武洋匡の七転び八起き」
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