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「レペゼン地球」を知っていますか?

【全文無料公開】

中高生から絶大な人気を誇るDJ集団「レペゼン地球」のリーダーを務めるDJ社長から初めてメッセージをいただいたのは、今年5月のことでした。

「大晦日の『笑ってはいけない』を観て、大爆笑しました。僕らもこれまで賛否両論を呼ぶ企画をやり続けて、ここまで来ました。やはり賛否両論を招きながら世間の“障害者像”を揺るがし続けてきた乙武さんと、ぜひコラボがしたいです」

それまで彼らのことをほとんど知らなかった私は、すぐに彼らのことを調べました。

「なるほど……」

夢を見ることの大切さを語り、その夢を実現するために行動し続ける彼らのストーリーは、たしかに魅力的でした。同時に、思わず顔をしかめたくなるような、下品で挑発的な動画が彼らのYouTubeチャンネルに並んでいることも、また事実でした。

「さて、どうしたものか……」

頭を悩ませていた私のもとに、彼らから楽曲の歌詞とイメージが届きました。それを見て、純粋に「多くの人に届けたいな」と、そう思えました。

「真の満足とは何かを教えてくれる」
「今の自分を大事に一歩踏み出してみろよ」

歌詞に散りばめられたメッセージは、私が21年前に『五体不満足』に込めた思いと、とても重なる部分が大きいように感じられました。

こうして私たちはコラボすることが決まり、まもなくレコーディングと動画の撮影が完了しました。そして、彼らの夢だったドームでのLIVEを直前に控えた今年8月、動画は公開される予定でした。

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ところが。

今年7月、彼らが大炎上してしまったのです。

https://logtube.jp/entertainment/54630

詳しくは上記リンク先の記事を見ていただきたいのですが、

①「レペゼン地球」のリーダーを務めるDJ社長が代表を務める「ライフグループ」所属アーティストのジャスミンさんが、「DJ社長からパワハラを受けている」とTwitterにて告発。
②DJ社長がパワハラを認め、坊主頭となって謝罪。
③後日、新曲「パワハラザホルモン」を発表し、一連の騒動は炎上商法であり、パワハラ騒動は“やらせ”だったことを発表。「視聴者を欺いた」「パワハラ被害に遭った方を不快にさせた」として大炎上。

というのが大まかな流れでした。

もちろん、私はこうした彼らの“戦略”については一切説明を受けていませんでしたし、またこのような手法にどうしても賛同できませんでした。これは賛否両論を呼ぶ「攻めた企画」という枠を超えて、多くの人を傷つけてしまうものだからです。

そこで、彼らには動画の公開はひとまず取り止めとすること、今後については“お蔵入り”とすることも含めて、あらためて相談させてほしい旨を伝えました。もちろん、彼らは私の申し出を承服してくれました。

そこから、私は彼らの動きを見守っていくことにしました。今回のコラボ動画を公開するかを判断するには、彼らがこの炎上をどう総括するかが重要だと考えたからです。

その後、騒動の“首謀者”だったDJ社長は、女性問題に詳しいジャーナリストの白河桃子さんと対談するなど、パワハラやセクハラについて謙虚に学んでいく姿勢を見せていました。

この対談に出てくる「ミーツー? それ、なんですか?」という発言が話題になるなど、それまではパワハラやセクハラについてまったくの無知だった彼が、批判する人々の声に真摯に耳を傾けていくうち、自分が犯した過ちの大きさに気づき、反省を深めていく姿勢が見て取れました。

もちろん、「それでも許せない」とお感じになる方は多くいらっしゃることと思います。

「もう彼らのことは信用できない」
「どうせ反省しているフリだけで、また同じことを繰り返す」
「不快だから、二度と人前に出てこないでほしい」

こうした感情を抱く方々がいることも、もちろん理解しています。

でも、ここに並ぶ言葉の数々は、この数年間、私に向けられてきた言葉でもありました。『週刊新潮』の報道があった2016年以降、私が何を発信しようとも、ずっとこうした言葉を浴びせられ続けてきました。

わかっています。もちろん、自業自得です。身から出た錆です。ただ、そのたびに思うのです。ああ、「人生はやり直せる」だなんて嘘だな、と。過去をリセットすることなんてできなくて、これまでに起こったこと、そのすべてを引き受けて生き続けていくしかないんだな、と。

そんななか、私にチャンスをくださった方々がいました。

いまでこそメディア露出や講演会も増え、忙しい毎日を送らせていただけるようになりました。ですが、それも社会的信用を失い、スケジュールが真っ白だった時期に気にかけてくださり、チャンスを与えてくださった方々がいたからです。彼らには、いくら感謝してもしきれません。

だからこそ、レペゼン地球にも頑張ってほしいな、と。

もちろん、他人様のこと心配できるような立場でもなければ、手を差し伸べるような余裕があるわけでもありません。けれど、己の未熟さから大きな過ちを犯し、世間的な大バッシングに遭い、そこから再起を図ろうと泥臭く立ち上がる人に対しては、どうしても応援したいという心情が湧いてきてしまうんです。

レペゼン地球も、そして私自身も、一度は多くの方の信頼を失い、批判を受ける立場となりました。そこから、何ができるのか。もう一度、歩き出せるのか——。

動画を撮影する以前には考えてもみなかった共通項が生まれた彼らとのコラボが、多くの方に届きますように。

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