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「子どもの声は騒音ではない」と言い切ってしまっていいのだろうか。

今年4月、「こども家庭庁」発足。このことからもわかるように、近年、ようやく「国を挙げて子どもを大切にしよう」という気運が高まってきたように思います。これまでは「あまり票にならない」と後回しにされてきた感のある少子化対策に、ようやく政治家たちが重い腰を上げ始めたというところでしょうか。岸田総理も「異次元の少子化対策」とぶち上げ、子育て政策に力を入れていく姿勢を示しています。

さて、そうした一環とも言えるのか、先日はこのような発言がニュースになっていました。

岸田総理
「子どもの声が騒音であるという声に対して、我々は改めて、考えを改めなければいけない。これこそ次元の異なる政策であると考えて、これからも政策を進めていきたい」

この記事によると、「考えを改める」だけでなく、法制化も視野に入れているとのこと。「子どもの声が騒音か、騒音でないかを法律で定めるなんて、そんなこと可能なの?」と不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にドイツでは2011年に「子どもの声法案」が可決され、「子どもの声は環境に悪影響を与えるものとは認められず、原則として騒音とは見なさない」ということを法制化しているのです。

もしかしたら、岸田総理の発言の背景には、先日話題になった長野市の公園廃止の件があったのかもしれません。

昨年末、長野県長野市で住民のクレームによって公園が廃止されることが決まってしまったということがありました。しかも、それが多数のクレームによる結論だったわけではなく、たった一軒、つまりわずかお一人からの苦情によって閉鎖が決まってしまったとのことで、メディアで大きく取り上げられたのです。

この件に関する私の考えは以下に書きましたが、これ以外にも最近では保育園や小学校にも「子どもの声がうるさい」という苦情が届くようになり、社会問題として顕在化してきたところでした。なかには保育園の建設さえままならないケースもあるといい、事態は深刻です。

おそらくはそうした背景も受けて、「こどもまんなか社会」の実現を目指す岸田内閣は「子どもの声は騒音ではない」という発言を残したと思うのですが、ネット上の反応を見るかぎりでは、このニュースはおおむねポジティブに受け止められている印象を持ちました。もちろん、私自身も前向きに受け止めています。

しかし、こうしたときほど、一度足を止めて「待てよ」と考えてみたいのです。「子どもの声は騒音ではない」というメッセージ、とても聞こえがいいものではありますが、はたして本当にその通りなのでしょうか。

まずは、私自身のスタンスから。これは11年前の記事になりますが、過去にこんなことがありました。

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「乙武洋匡の七転び八起き」
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