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伊是名夏子さん騒動から、あらためてキング牧師とマルコムXについて考える。

コラムニスト・伊是名夏子さんのブログが話題になってから、2週間近くが経ちました。世間的には、いくつもの「炎上案件」のうちの一つとして消化されたにすぎず、人々はまた別の興味あるネタへと飛び移っていった感がありますが、私自身は今回の件に関してはかなり“当事者”に近い立場なので、いまだこの件から離れることができていません。この2週間、ずっと「ああでもない、こうでもない」と頭を悩ませています。

今回の件は、「本来語られるべきこと」と「多くの人が食いついたこと」に大きな乖離がありました。本来語られるべきことは、「公共交通機関におけるバリアフリーはどうあるべきか」、また「それをどのように実現していくべきか」ということだったように思います。しかし、多くの方が話題にしたのは、「伊是名さんが取った行動の是非」、そして「伊是名さんの人間性」といった部分でした。

もちろん、社会の健全な進展のためには、前者について建設的な議論がなされることが重要です。しかし、今回語られた内容は、圧倒的に後者でした。この溝を埋めていくためには、何が必要なのか。伊是名さんの人間性という極めて属人的な話ではなく、あくまで社会的な議論として発展させていくためには何が必要なのか。この2週間、私が「ああでもない、こうでもない」と頭を悩ませていたのは、まさにこの点でした。

そうして参考にすべく行き着いたのが、2人の人権活動家でした。1950〜1960年代にかけて活躍したキング牧師ことマーティン・ルーサー・キング・ジュニアと、マルコムXの2人です。両者とも、黒人に対する差別に激しい憤りを募らせ、その権利拡大に努めてきた人物です。

「日本における障害者問題」を進展させていく上で、私はこの2人が果たしてきた役割と、さらには両者の違いについて着目してみました。そうして、私はいまの日本に欠けている“ピース”について気づくことができたのです。

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