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ひげもじゃの女の子、登場!『森の王さま キング・クー』
『森の王さま キング・クー』
アダム・ストーワー 作
宮坂宏美 訳
小峰書店
2021年7月
「わたしはキング・クー! おまえはだれだ? わたしの森でなにをしている?」
「ぼくはベン・ポールだけど……ちょっとまって! それって、ひげ? ひげもじゃの男の子なんて、はじめてみたよ!」
「ぶれいもの! わたしは、ひげもじゃの女の子だ!」
いじめられっ子の男の子ベンと、ひげもじゃの女の子キング・クーが初めて出会うシーンのセリフです。
私はこのインパクトのあるセリフとクーの絵に度肝をぬかれ、一気にひきこまれてしまいました!
気弱なベンは、いじめっ子のモンティからにげまわっているうちに、見知らぬ森にまよいこんでしまいます。その森に住んでいたのが、このキング・クー。
こんな見た目ですが、じつは発明が得意で、いろんなわなや、しかけ、武器など、なんでも自分で作ってしまいます。りっぱなツリーハウスも手作りで、そこにウォンバットのハーブと暮らしています。
そんなキング・クーと仲良くなったことで、ベンの毎日は一変。どんなふうに変わっていくのかは、ぜひ本を読んでお確かめください。
原作者のアダム・ストーワーさんのお話も絵もすばらしいのですが、もうひとつ注目してほしいのが、原書をうまく活かした日本語版のデザインです。
タイトルの中にある黄色の王冠のマークを見てください。左の原書では「KING」の「I」の上にありますが、訳書では「キング・クー」の「・」の位置にあります。しかもちゃんと「・」のかわりに王冠に穴があいています。
描き文字も、原書の味わいがそのまま訳書で再現されています。勢いのあるこまかい線で描かれた「THUMP」が、日本語の「ドシン!」にもしっかり反映されています。
そして本の背のところに取り付けられた「花布」。キング・クーの王冠をイメージした金色で、光の加減できらきら輝きます!
絵と文字が複雑に入り組んだ原書のデザインを日本語版でも再現するのは、とてもとても大変だったと思います。訳文をレイアウトするだけでもどれだけ労力がかかったことか……。
その上、原書の魅力を可能な限り引き出し、すみずみまで気を配ってくださったこと、心から感謝しています。
描き文字を担当してくださった漫画家の「しちみ楼」さん、デザインを担当してくださった「アンシークデザイン」さん、そして、編集を担当してくださった小峰書店の西塔さん、本当にありがとうございました!
たくさんの子どもたちが、ふしぎで魅力的なキング・クーの世界をまるごと楽しんでくれますように!!
▼版元の小峰書店のページもぜひご覧ください。
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