10年前のわたしへ
今日から4月。
生きてきた中でいちばんと言っていいほどに春らしくない。
目に見えない悪魔は、上を見ることすら許してくれない。
桜はこんなにも綺麗に咲いてるのに。
何も知らないかのように可憐に笑ってる。
この春、わたしは社会人11年目を迎えた。
みんなも去年..5年前..10年前....って過ぎ去った春に想いを寄せたりしてるのかな。
10年前の春。
同級生が社会人になる中、わたしはまだ学校に通っていた。
専門学校2年生の秋から4ヶ月ほど、不登校になってしまったせいで、補講を受けていたから。
単位不足で、みんなと一緒に卒業できなかった。
卒業が遅れてしまった子はわたし以外にも結構いて、そのメンバーは当時やんちゃしてた子たちが大半だった。
そんな子たちも10年経った今、結婚して守るべき存在が増え、独立してお店出してる子も多く、大尊敬している。
なんでお前がいるん?って聞かれて、知ってるやん!って返す、補講始まる前の決まった流れ。
ちゃかしてるのかやさしさなのか.. どっちでもいいけどなんとなくそのやりとりに救われていた記憶がぼーんやり残ってる。
就職先も決まってなかったから、卒業を急いではなかったけど、みんなと同じタイミングで社会人のスタートを切れなかった自分に嫌気をさしていたことだけは、くっきりハッキリ覚えてる。
春といえば はじまりの季節 。
別に意識してたわけじゃないけど、4月から新学期がスタートする、日本で生まれ日本に育ったわたしはこれは当たり前だった。
なんの疑問を持ったことはなかった。
だから、春がきたらはじまるんだと思ってた。
10年前の春を感じるまでは。
あの時、4月をはじまりの季節とした人のことを少し恨んだ。自分が悪いのに。
あ、もう道はないんだ。
だれかが作ってくれた大人への道をなんとなく歩いてきたけど、こっから先の道は自分で作らなきゃいけないんだ。って絶望した。
補講が終わり、無事卒業したわたしは、フリーターになった。
美容師免許を取得したのに、補講を受けて苦労して卒業したのに、すぐに美容師にはならなかった。
やりたいことをやるためだったし、嘘じゃないけど、半分逃げだった。
あの頃のわたしはボロボロだったから、みんなと足並み揃えることが、同じ土俵に立つことがどこか苦しかったんだと思う。
この選択が、正解か不正解かなんてどうでもよくて。
あの時のわたしは、これが最善だった。
今楽しく生きているのだから、その選択でよかったんだと思う。
あれから10年。
振り返ってみるとあまりにも破天荒で、がむしゃらに生きてきたなぁってちょっとだけ誇らしくも思う。
でもそう思えるようになったのは、最近の話。
10年前のわたしへ
今、思い描いていた理想とはかけ離れたところにたどり着いてます。
あの頃欲しかったものは、なにひとつ手にしてないような気がするけど、ただひとつ伝えたいことは、自分のことを大切に思えるようになってるよ。
あれだけ嫌いだった自分をすきになってるよ。
未だに人生模索してるけど、遠回りをしてる分、人とは違うたくさんの景色を見て、大きくなってるよ。
だいすきな人たちに囲まれて生きてるから、大丈夫だよ。
あの時がんばってくれてありがとう。
10年後のわたしより
ここから先もどうなっていくか全然わからないけれど、これからも大人を思う存分楽しむ。
過去のわたしが今のわたしを作るし、今のわたしが未来のわたしを作る。
10年後のわたしが今より更にしあわせでいられるように、今日からまた生きようと思う。○
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