元人事×HSP当事者が考える 敏感な人が意見を伝えることが苦手なわけ
自分の意見を人に伝えるのが苦手だ。
上司からは、もっと自分の意見を持てと言われるけれど、自分だっていろいろと考えている。
とにかく自信がない。何か伝えようとしても全てダメだしされそうな気がする。
何が自分の意見かさえも分からなくなっている。
そんな中で、ズケズケ意見を言っている同僚の方が認められている。
自分の方が会社のことをいろいろと考えているのに、何で認められないのか。
いったいどうすれば、こんな状況を変えられのだろうのか?
今回は、HSPの皆さんが自分の意見を伝えることが苦手なわけとその解決方について考えたいと思います。
HSPとは「とても敏感な人」の意味です。
詳しくはこちらに書いています。
現代は自分の考え、意見をどんどん伝える事が推奨されています。
日本はこれまで集団の中に同化することを求められ、自分の意見を表明することはあまり推奨されませんでした。
まだまだ途上とはいえ、これは大きな変化です。
日本を覆っている「空気」、そしてHSPの皆さんがそれに振り回されてしまう理由については、こちらに詳しく書いています。
この変化の先頭を走る人からは、自分の意見を表明しない事は「価値がない」とまで言われてしまいます。
しかし、HSPは自分の意見を表明することが苦手な方が多いです。
■なぜHSPは意見を言うのが苦手?
なぜHSPが自分の意見を表明することが苦手なのでしょうか。
理由は二つあります。
主張する相手の気持ちが痛いほど分かる
一つは、HSPが対立する意見の理由やそこに至った心情などが痛いほど分かるからです。
相手の主張の理由が分かるだけに、一方向に偏った意見が言えない。つい玉虫色の意見になってしまいます。
自分の意見は、自分の価値観から生まれます。自分の価値観とは、好き、嫌いなど自分の感情から生まれるものです。こういった自分の価値観を踏まえて周囲に表明できる自分の意見ができてくるのです。
しかし、HSPは自分の価値観に「正しい」「間違っている」などの外部の価値観や相手の感情を無意識に取り込んでしまいがちです。
自分の本来の価値観が混乱します。だから自分の本当に意見が生まれないのです。
言っていることが二転三転する。つい相手の意見に合わせてしまう。そうすると、自分の意見、価値観は何かさえ分からなくなってしまうのです。
自分の価値観をダメ出しされたくない
もうひとつは、自分の価値観をダメ出しされる事を恐れるからです。
自分の意見の元になる価値観についてあれこれ言われることが嫌でたまらない。自分自身を否定されたような気持ちになる。
だから自分の価値観を伝えることを避けようとするのです。
そうすると周囲からは、何を考えているかが分からない人と思われてしまいます。人間関係も上手くいかなくなってしまいます。
これはHSPの気質の問題もあるけれど、環境の問題が大きいです。
周りの自分の価値観に対する否定的な発言が多く、それに強く反応してしまっていた。
価値観を尊重される経験が少なかった。こういったことを積み重ねるうちに、どんどん萎縮してしまいます。
自分の意見より、周囲に合わせることを求める日本の空気がこの傾向に拍車をかけます。
周囲の空気ばかりを気にしてしまい、自分の意見を生み出す機会を失ってしまう。自分の意見を言うことが難しくなる一方です。
■HSPが意見を言っていくために必要なこと
では、これから自分の意見を出していくためにHSPはどうすればいいでしょうか?
単に慣れていないだけ、好き嫌いから自分の価値観を探す
苦手意識の原因は環境の問題が大きいのです。
つい萎縮してしまい、チャレンジがなかなか出来ないのです。
だから、過度に自分の問題ととらえず、チャレンジする機会が少なかっただけと考えるようにしましょう。
まずは慣れることが先決です。まず好き、嫌いを探すところから練習していきましょう。
例えば、日記に好き嫌いを書き付けてみる。誰も見ることはありません。遠慮無く書いてみましょう。
続けていくと、だんだんと忘れていた感情が湧き出してくることを実感します。
それから日記を見直してみます。
確かに自分に好き嫌いという感情があったんだと、自分を客観的に見ることが出来るようになります。
どういうことが好きでどういうことが嫌いなのか?
冷静に理解できるようになります。それが自分の価値観です。
当初は自分の好き嫌いと、周囲から正しいと言われている「正しいこと」が混じってしまいます。
「正しいこと」を自分の価値観と勘違いしてしまうのです。
環境の影響を大きく受けて、価値観が曲がってしまうのです。
自分の好き嫌いを大事にして、自分の本当の価値観を探していきましょう。
探し出した価値観を、少しずつ周囲に伝えてみましょう。まずは自分の好きなことから伝えてみるのがいいでしょう。
体調を改善する
次は環境、周囲の人の反応に一喜一憂し過ぎないようにするために、精神を落ち着けます。
体調を良くするための行動を積極的に行います。
そうすることで、相手の反応に萎縮したり、過度に反応してしまうことなく、自分の価値観を表明することができるのです。
ストレッチやウォーキングなどを積極的に取り入れましょう。血行が良くなり、精神的によい影響が出てきます。
体調を改善しながら、精神を整え自分を取り戻す方法、「自分を保つセルフマネジメント」については、こちらに詳しく書いています。
自分の価値観から、自分の意見を生み出す。
こうやって、徐々に自分の好き嫌いから自分の価値観を意識できるようになってきたら、自分の意見を生み出して、周囲に表明していきましょう。
自分の意見を、相手に理解できるように論理的に説明するのです。
自分の価値観を元に冷静に自分の意見を考えましょう。
自分が嬉しかったこと、悲しかったことを思い出します。
何故それは起こったのか?どうしてそう感じたのか?
自分の中の要因?環境の要因?
どうすれば嬉しいことが続き、悲しいことはなくなるのか?
誰に伝えたいか?
これらの問いを論理を意識して考えていけば、必ず出来ます。
ひとつ意見が生まれれば、自信がつきます。
どんどん自分の意見が生まれてくるでしょう。
■まとめ
今回は、HSPが自分の意見を表明することが難しい理由、そしてそれを克服する方法について考えてみました。
自分の意見が言いづらいのは、HSPだけではありません。
まだ日本全体が、「空気を読む」と称して自分の意見を言いづらい空気をつくっています。
しかし、HSPの皆さんは特に周囲の雰囲気を敏感に感じとるだけに、より一層意見が言いづらいのだと思います。
そんな現状を、自分が悪いかのように感じてしまうのです。
しかし今回お話したように、意見が言えない理由は環境の要因が大きいのです。それにHSP特有の気質が拍車をかけています。
だから過剰に自身に問題があると考えなくてもいいのです。
自分の心身の調子を整えながら、自分の好き嫌いの感情に気づく事から始めます。
少しずつ意見を生み出すことに慣れていけばいいのです。
自分の意見が生まれた際は、感じとる力の高いHSPの特性が生きるのです。思いやりにあふれた深みのある意見だと思います。
そういった深い意見を埋もれさせるのはもったいないです。
是非実践して、自分の意見を躊躇なく発言できるようになってもらえると嬉しいです。
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