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HSPの僕は、毎日洗濯物を干して「断る力」を手に入れた

 いつも職場で人の顔色をうかがっている。
 今の自分の仕事も満足に出来ていないのに、どんどん仕事を押しつけられる。
 批判されるのが怖くて、つい仕事を受けてしまう。結局期限までに出来ずに怒られてしまう。
 いつも「無理ならその場でそう言ってくれないと」と言われる。
 それが出来たら苦労しない。
 きちんと断りたいのに出来ない。いったいどうしたらいいんだ?

 HSPとは、「とても敏感な人」の意味です。詳しくはこちらに書いています。

■今の厳しい時代、「断る力」を身につけたい

 「断る力」とは何でしょうか。勝間和代氏の著作「断る力」に詳しく紹介されています。
 「断る力」とは、社会の中で自分の意に反することをきちんと断る、自己主張ができる力のことです。

 断ることで、自分の求めることを周囲に主張し、求める環境を手に入れるのです。
 断れないと、他人の言われるままになってしまいます。自分の要望は入らず、不満ばかりが自分の中に溜まります。
 職場でいいように使われてしまい、力を全く発揮できない。悪循環になってしまうのです。

 勝間氏は、断る力が求められる現状を「子どもサッカー」で例えます。
 チームワークではなく、とにかくひたすら目の前のボールを追いかけるだけ。当然、なかなか結果が出ません。ボールを追いかけるだけに全く疑問をもたず、断らないのです。
 そして、結果が出ないのにどうしていいのか分からず、ただひたすら一生懸命目の前のボールを追いかけ続けるのです。悪循環です。
 このように断れない、断らないという環境では厳しいのです。
 やはり、この流れは何とか変えないといけません。

 勝間氏は、断る力を身につける方法を3段階で説明します。

1(ホップ):自分の揺るぎない軸をもつ
2(ステップ):相手への建設的な影響力を発揮する
3(ジャンプ):断る力で、自分と周囲の好循環をつくる。

 まずは自分に自信をもち揺るぎない軸を培う、相手に建設的に対峙する。常に周囲とWin-Winの関係を模索することがポイントです。

■HSPには「断る力」は難しい

 このように重要な「断る力」ですが、敏感な気質のHSPの方は、ハードルが高く感じてしまいます。断る力の重要性は理解していても、断ること自体に大きな抵抗を感じるのです。
 断ることで相手を怒らせてしまう、周囲から批判されるのではないかと常に考えてしまうからです。
 人の評価がものすごく気になってしまう。先の勝間氏の本でいう、1(ホップ)の段階から前に進めないのです。
 これは、HSPの方が人の感情に翻弄されやすい、相手の感情の動きに大きく影響されてしまうという気質によるものです。HSPの方個人の能力や努力の問題ではありません。
 自信がもてないから、受け身になる。相手の言われるままになってしまうのです。

■HSPが断る力を身につけたい。何が必要か?

 それではHSPの方が断る力を身につけるためには、いったいどうすればいいのでしょうか。
 まず身につけたいのは、感情が高ぶった時にその感情に巻き込まれず、ひと呼吸置くスキルです。
 例えば相手の大きな叱責の声を聞くと、感情が高ぶって萎縮してしまいます。そんな時、自分の呼吸に意識を向けてみるのです。自分の呼吸が浅くなっていることに「気付く」のです。
 徐々に自分の呼吸に意識を向けることが出来たら、次に自分の感情に意識を向けてみます。腹が立っているのか、悲しいのか、怖いのか?感情に意識が向けて、その感情に名前を付けます。そうすると感情も落ち着いてきます。徐々に自分を冷静に見ることが出来るようになるのです。
 自分を冷静に見ることが出来れば、自分に自信がもてるようになります。それが「断る力」につながるのです。

■毎日洗濯物を干して、断る力を手に入れた。

 しかし、これまで散々感情に振り回されていたHSPの方が、いきなりひと呼吸置こうとしてもなかなか出来ません。周囲に大きく反応し、荒れ狂う感情に翻弄されて冷静さを失っているからです。
 そういう時に効果的なのが、「洗濯物を干す」です。洗濯物を干すと、断る力を身につける練習になるのです。
 以前、こんな記事を書きました。

 「毎日洗濯物を干して、断る力を手に入れた」は、正確には「洗濯物を干すことが感情を鎮める練習となり、冷静に自分を振り返ることが出来るようになった。それが自分の自信につながり、断る力を身につける第一ステップとなった。」です。
 洗濯物を干すなど単純作業をしていると、高ぶっていた感情が落ち着いてきました。精神状態が落ち着くと、身体の状態や思考の矛盾に気付けるようになります。
 つまり徐々に自分を客観的に見ることが出来るようになるのです。
 自分を客観的に見る癖がついてくると、感情に振り回されそうになった時も、ひと呼吸置いて揺れる感情から距離をおけるようになってきます。荒れ狂っていた感情を徐々にコントロール出来るようになるのです。

 洗濯物を干すという方法をお話しましたが、それだけではありません。
 「身体を動かすような単純作業」であれば他のものでもいいのです。散歩、筋トレなどもいいと思います。

 感情を冷静に見るためには、日記もおすすめです。
 日記に日々動く感情を書き付ける。そして後で見直してみる、を習慣にするのです。最初、私は書きつけた感情を冷静には見ることが出来ませんでした。日記を開きたくもありませんでした。
 しかし不思議なことに、一定期間継続し、1ヶ月前、1年前の日記を見てみると意外と見れるのです。少し前の自分は全く違う人に思えるのでしょうか。冷静に感情を受け止めることが出来るのです。
 徐々に過去の感情を振り返っていくと、自分が起こしやすい感情が分かってきます。例えば、初対面の相手には、つい恐れの感情が生まれてしまい、会話することを躊躇してしまう。怒りの感情が生まれるその後ろには、相手が怖いという感情が隠れているなどです。冷静に自分の感情と環境を見るクセがついてくるのです。
 ネガティブな感情も冷静に受け止めることが出来てきました。ネガティブな感情も自分の一部という感覚になってきたのです。そうすると、自分自身をまるごとそのまま受け止めることが出来るようになります。自信もすこしずつ生まれてきたのです。

 この「洗濯物を干す」効果は、自分を客観的に見ることが出来ることに加え、周辺環境への好影響も見逃せません。
 家事をこなし周辺環境を良好に保つことは、敏感な気質のHSPにとって、精神衛生上良いことです。
 環境がポジティブになれば、精神にポジティブな影響を及ぼします。部屋が片付き、衛生的になるだけでなく、家族にもいい影響を及ぼし、人間関係もよくなります。好循環が起こるのです。

 こういった効果が、HSPに不足しがちな自信を生み出し、断る力を身につける第一歩となるのです。

■まとめ

 相手の感情や行動に敏感に反応してしまうHSPの方が「断る力」を手に入れるには、自分の感情や身体の状態を冷静に見ることが大切です。
 そのための具体的方法として、洗濯物を干す、散歩する、筋トレするなど、身体を動かす、日記などの感情を書き付けるなどをお勧めします。
 右往左往する自分の感情を落ち着けて、客観的な視点を身につけることを練習するのです。
 実践すると、環境への好影響も相まって好循環が起こり、小さかった自分への信頼が生まれ、自信を少しずつ大きく出来ます。
 その自信が「断る力」を身につける第一歩となるのです。

 HSPの方が今回ご紹介した方法をやってみて、自信を少しずつ積み上げ、断る力を身につけてもらえると嬉しいです。


◎「洗濯物を干す」などの「自分で自分を応援する習慣」について、こちらにまとめています。
 興味がある方は、参考にしてみてください。


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