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2021年の振り返り――停滞と研究者の身体


1月

かなり自信がないまま論文Aを投稿して、あ~あ、でもまあ一旦解放されたしこの期間使って勉強していけばいいや、と思ってたら2か月前に投稿した論文Bが査読でズタボロになって返ってきたのでめちゃしんどかった。研究に役立ちそうだなと思ってたバイトも落ちた。


2月

論文Bの査読対応進まず。研究会での報告のためにウェブスクレイピングを習得しようとするものの、うまくいかず。研究から逃げるように、英語の勉強に腰を上げたが、すぐにはレベルアップせず。さらに逃げるように、noteの毎日更新を始める。


3月

論文Bの査読対応〆切の2週間前ぐらいに「いや、ここで落ちたらヤバいだろ」と火がついて修士論文〆切前レベルの追い込みをかけたら、結構満足できるクオリティに仕上がって安心した。ストレスで胃腸がボロボロになったけど、なんだかんだ研究しているときが一番充実感があるな、と気づく。1か月続けたnoteの毎日更新にブレーキがかかり、ぱったり更新しなくなる。


4月

やっぱ英語大事だよな、と思ってDMM英会話を始める。が、名前を聞かれたのに「I'm fine.」と答えてしまい心がくじける。必死に予習してやっと臨んでいるのに、どの先生と会話しても「院生なの?じゃあもっと上のレベルやればいいのに」と言われてつらい。俺はfineマンだぞ。何日やってもストレスで咳が出て、1か月も続けられなかった。論文Bの査読で胃腸をボロボロにして懲りたはずなのに、全然論文Aの修正が進められない。後輩の学振申請書にコメントしまくる(決して自分だけの手柄ではないが、うち2人がDC1を獲得することになって嬉しい)。


5月

ジョギングを開始した。仮想通貨がめちゃくちゃ暴落した。
初めてAirbnbを使って民泊に泊まった。部屋のレビュー欄を見たら、「こんなご時世だというのに清潔感がない」という批判に、大家が遠回しに「お前、シャワ浣したならうんこ片付けろ」と言い返していた。それ以外はとてもいい部屋だった。

美しい解説ができなかったことは、今でも悔やんでいる。


6月

論文Cを書き始める。が、うまくいかない。安いアウトドアチェアを持って川辺に出かけて日光浴することにハマる。


7月

論文Bの修正に力を入れる。崖っぷちだが、胸を張って提出する。研究助成に落ち続ける。


8月

P.ラビノウ『PCRの誕生』を読んだり、研究会でJ.バトラー『問題=物質となる身体』や磯直樹『認識と反省性』のレジュメを担当したり、夏休みっぽい研究生活を送る。思いつきで海に行く。論文Aが諦めムードになってしまっている。


9月

執筆、査読に1年以上かけてきた論文Bがリジェクトされる。自信あったんだけどな……。論文Aも提出を3か月遅らせることにする。かなりボロカスな気分。ポモドーロ・テクニック・アプリで記録している研究時間もグッと減った。
ドラクエ11がめちゃくちゃ面白い。8日間で結婚式が3回あった。


10月

論文Bの再投稿に向けて、気合いを入れ直す。
IoT家電を使って、22:30に強制的に部屋の電気が消えるよう設定した。これで睡眠リズムが劇的に改善した。「22:30に電気を消すことにするぞ!」という「気合い」では人間は動けない。「他者」に管理してもらわなくては。
そして、研究室の朝活会に参加するようになった。8:00にZoomに集まって10:00まで4ポモドーロ(25分作業+5分休憩)する。カメラも会話もチャットも一切なく、「今日もみんないる」というただそれだけの弱い力で支え合う会。これがかなり革命的だった。ポール・シルヴィア『できる研究者の論文生産術』に、平日はパジャマも着替えず8:00から2時間必ず執筆することにしている、と書いてある。初めて読んだときはできるわけないと思っていたが、今では土日も8:00から4ポモドーロしている。朝活会の効能については、そのうちnoteにまとめたい。
あと、社会学者ニクラス・ルーマンのメモ術であるツェッテルカステン(Zettelkasten)も取り入れ始めた。これを紹介している『TAKE NOTES!』という本それ自体は良書ってわけでもないと思うし、とどのつまり梅棹忠夫の「京大式カード」とほとんど同じだとも思うのだけれども、社会学者としては「ルーマン様」の御威光に「服従」する気持ちよさがある。WorkFlowyなど各種アウトライナーを使うと取り組みやすい。


11月

前半はゼミ報告、研究助成の申請、研究会、学会報告と猛烈な忙しさだったが、朝活会のおかげでなんとか乗り切る。ポケモンのダイパリメイクをやったり、久しぶりに友達と外に飲みに行ったりする。


12月

ダイパリメイクを毒統一、虫統一でストーリークリアする。コロトックが序盤はれんぞくぎり、終盤はねばねばネットとほろびのうたで大活躍した。今は地面統一(キクノ、シロナのポケモン禁止)でチャレンジしている。
1月中旬にゲスト講義、論文〆切、博論予備審査が重なっていてあまりにもヤバい。クリスマスも大晦日もなく、毎朝執筆し続ける。


というわけで、それなりに毎日明るく楽しく過ごしているはずが、こうしてまとめてみると結構苦しんでいる。特に、研究はかなり停滞してしまった1年だった。2本査読論文を通すつもりだったのに。

でも、ジョギングを始めたり、朝8時から4ポモドーロする習慣がついたりと、「研究者の身体」ができてきたような気はする。絶えることなく着実に、煉瓦職人が煉瓦を積むように(村上春樹『職業としての小説家』)、毎日書き続けたい。来年の目標は学振PD内定と博論提出。




研究経費(書籍、文房具、機材、映像資料など)のために使わせていただきます。