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会津にかかるメレンゲの雲

会津盆地に外からかかる雲はメレンゲのようだ。ある日の夏の夕方、盆地を取り囲む山々に雲が柔らかくかかっていた。会津若松市内は盆地の中にあり、四方を山に囲まれている。
風は涼しく、爽やかだった。メレンゲのような雲が、山向こうで雷雨をもたらしてきたからだ。山を挟んだ郡山では、同じ日に停電が起こるほどの豪雨があった。会津から見える雲はもくもくと上に立ち上がる気力をなくし、山脈にもったりと横たわっている。あのメレンゲがとろりと会津盆地におちてきたら、たちまち大雨を降らせるだろう。

会津の内から雲ができていくのを見たこともある。つい先日、蒸し暑い夏の日だった。会津若松市内から東山温泉に向かっていた。
東山温泉は会津若松市の東にあり、山を分け入るように開発されている。市街地から東山温泉にかけてはゆるい坂になっており、温泉街に近くなるほど勾配はきつくなる。

その日の東山はうっすら白く、じめじめと湿気がまとわりついた。車で坂を登る。エアコンをきかせた車の中にいても、なんとなく息苦しい感じがした。温泉街の手前にある駐車場へ車をとめると、市街地で東山を見た時より雲の白色が濃いような気がした。スマートフォンを取り出し、3分間ほど、温泉街を含めた山を撮影し続ける。わずかな変化は感じられないが、やはり、白が濃くなり山の緑を覆っていく。自宅で動画を確認すると、やはりだんだんと雲は濃くなっている。

インターネットで調べたところ、こういうわけらしい。
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005302093_00000

確かに、市街地であたためられたぬるい空気が昇っていた気がする。

山々が外部の雲を阻み、夏の間会津の中だけで水を循環しているような気がしてくる。会津盆地の水が山々を雲となって上り、雨を降らせる。その循環のただなかにいる。


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