Official髭男dismの東京進出ライブに居合わせた話
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Official髭男dismの東京進出ライブに居合わせた話

たしかあれは2015年か2016年のこと。

僕は友達に誘われて、新宿にいた。
そこは西武新宿駅にほど近いライブハウスで、キャパは300人程度。その日の客入りは150〜200人くらいだったと思う。
目当てだった友人のライブが終わり、二階席のフェンスに肘をかけて、ビールを飲みながら出演者たちのライブをぼんやり聞いていた。

そこに登場したのがOfficial髭男dism。
彼らは、1曲目から会場の雰囲気を一変させた。ボーカルの通りと、演奏力が段違いだったのだ。
同じPAが担当して、同じスピーカーから音が出ているとは思えないほどの圧倒的な差。

「山陰地方から東京へ進出してきて一発目のライブだ」と意気込む彼らの演奏は、まさに、圧巻を形にしたようなライブだった。

しかし、ライブ後の転換中に周りからうっすら聴こえてきたのは、決して好評価ではなかった。

「めちゃくちゃ演奏は上手いけど」「ボーカルの声は良いけど」と、一定の前置きをした上で、
・どんなバンド名だよ
・サスペンダーに蝶ネクタイでお揃いって
・歌詞のクセがちょっと
など、ネガティブな小言ばかりが耳に入った。
総括するように発せられていた一言は「なんかイタい」。
もしかしたら、この日のライブで唯一ネガティブな評価が聴こえてきたバンドだったかもしれない。
そして、恥ずかしいけれど、僕もそれに同調していた。

でも、帰宅してから真っ先にYouTubeで検索して曲を聞き直したのはOfficial髭男dismだった。それから今日に至るまでこのバンド名は忘れたことがない。他のバンドの記憶は全く残っていないのに。
それくらい痛烈に印象を残していた。

振り返ると、あの日、Official髭男dismが受けていた批判は他のバンドには無かった「異質」の部分だ。突出した存在感をオーディエンスが脳内で処理しきれずに、吐き出してしまった結果に違いない。

ましてインディーズとも言い難い規模で活動する夢追いバンドと、その知人達が多数を占めるイベントだ。

とんでもないパフォーマンスをした彼らへの嫉妬心も少なからずあったのだろう。


小さな集団の中では、存在感を放つ異質な者は攻撃を受けて排他される。昔から変わらない人間の本能だ。

その一方で人間は、退屈を打ち壊す異質な者を評価し歓迎する側面も持つ。
集団の分母が十人・百人・千人・一万人…と大きくなるごとに、異質を評価する声がちらほらと上がりはじめ、次第に大きくなっていく。才能が本物なのであれば、いつしか肯定の声が否定の声をかき消していくだろう。

あの日、新宿のライブハウスで圧倒的なパフォーマンスをしながらも「イタい」という幼稚な感想で吐き捨てられたOfficial髭男dismの音楽。
いまとなっては、日本中で彼らを絶賛する声が鳴り止まない。

人気バンドの筆頭となった彼らの姿を見かける度にその日のことを思い出してしまう。

いま「イタい」と一笑に付している対象は、数年後の大星かもしれない。

きっといまもどこかに、あの日の髭男がいる。


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