#4 パブリックビューイングと法律②

こんにちは。紙尾浩道です。
ご覧いただきありがとうございます!
今回の記事では、パブリックビューイングと法律のお話しをします。
そもそも、お前誰やねんという方は、こちらの記事をご確認ください。

この記事の内容

この記事では、パブリックビューイングと法律のお話しをします。

パブリックビューイングでは、実は、著作権法が大いに関わってくるのですが、意外と知られていなかったり、知っていても、中途半端だったりします。

「知らなかった!」でも、違反は違反になってしまうので、気をつけたいところですので、一緒に勉強しましょう。

この記事を執筆するキッカケ

これはもちろん、日本代表が快進撃を続けている、サッカーワールドカップが行われているタイミングだからです。

表向きの理由は、そんなときこそ、きちんと裏側を勉強すると面白い!ということを知ってもらいたいというものです。

(裏向きの理由としては、このタイミングなら閲覧数が伸びるぞ!とか、朝までワールドカップを見ていても、仕事のための取材だ!と言い訳ができること・・・)

なお、こちらの記事をまだ読んでいない方は、そちらから先に読んでみてください。

第三の登場人物!

スポーツ中継の映像は、ほとんどの場合、「著作物」に該当し、その著作物の著作権を保有している人に許可を取らなければならないということは、前回の記事で解説したとおりです。

もっとも、著作権法には、ここには登場しない登場人物がいるのです。それは・・・

「放送事業者」

です。
放送事業者の定義は「放送を業として行う者」ですので、具体的には、テレビ事業者などが該当することになります(著作権法2条9号)。

著作権は、創作した人の利益を確保するための権利ですが、「創作した」以外にも、著作物の価値をアップさせる人たちがいるのです。

それが、著作物を伝達する役割を担ってくれる人たち。

具体的には、実演家(舞台の役者さん、歌手、舞踊の踊り手さんなどなど)や、レコード製作者、放送事業者などのことです。

この人たちにとっては、「伝達」の部分で本領発揮をしていただかないといけないわけですが、それを簡単にコピーできますよとなってしまうと、この領域での仕事が成り立たず、結果的には誰も入ってこないか、質が下がってしまう。

そこで、著作権法はこの人たちにも、多少権利を与えたんです。

※詳しい人たちは、「著作隣接権」などと言います。
飲みの場でカッコいい事言いたい人は覚えておいてね!

著作権法89条あたりから呼んでね


テレビ事業者が持っている「伝達権」とはなにか

さて、そんな、第三のプレーヤ―である、テレビ事業者が持っている「著作隣接権」なるものの、具体的な中身はどんなものがあるの?

となりますよね。

それが、今回のパブリックビューイングと大いに関わる権利なのです。

前回は、家庭用のテレビでパブリックビューイングが開催される例をご紹介しました。

でも、もっと大画面で、みんなで大興奮したいですよね?

そんなこんなで、プロジェクター買っちゃいました!となると・・・

実は、テレビ事業者は、放送している影像を拡大する特別の装置を用いて公に伝達する権利を持っています。

(テレビジョン放送の伝達権)
第百条 放送事業者は、そのテレビジョン放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いてその放送を公に伝達する権利を専有する。

著作権法100条

・・・

はい、沈黙タイムですね。
紙尾、日本語喋れよ!と嘆いているそこのあなた。ご安心ください。

具体例を話せば簡単です。
(じゃあ、そうやって書けよ!と言われそうですが、条文はあえて、いろんな場合に備えて、上記のような言葉で書いてあるんだから許せ!)

要するに、自分の放送映像を、勝手にプロジェクターとか、拡大ビジョンのような機械で放送された場合に、「それ、ダメです。うちの許可取ってつかーさい」と言えるということ。

テレビ事業者としては、家庭用のテレビでそれらが見られることは、当然想定の範囲内ですが、上記のような使われ方をする場合って、大抵そこにフィーが発生していて、自身の映像で、勝手に商売をすることが横行すると困っちゃうのです。

結論

というわけで、パブリックビューイングを主催する方が、プロジェクターを利用して行う場合には、その面でもテレビ事業者に許可を取る必要があります。

前回のと合わせると

❶飲食店などで営利で行う場合  映像の著作権者

❷プロジェクターも使いたい場合 映像の著作権者+放送事業者

の許可を取る必要があるということですね!なかなかハードルが高い!

最後に

最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
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