#3 パブリックビューイングと法律①

こんにちは。紙尾浩道です。
ご覧いただきありがとうございます!
今回の記事では、パブリックビューイングと法律のお話しをします。
そもそも、お前誰やねんという方は、こちらの記事をご確認ください。

https://note.com/h_kamio1126/n/nee1ae4639572

この記事の内容

この記事では、パブリックビューイングと法律のお話しをします。

パブリックビューイングでは、実は、著作権法が大いに関わってくるのですが、意外と知られていなかったり、知っていても、中途半端だったりします。

「知らなかった!」でも、違反は違反になってしまうので、気をつけたいところですので、一緒に勉強しましょう。

この記事を執筆するキッカケ

これはもちろん、日本代表が快進撃を続けている、サッカーワールドカップが行われているタイミングだからです。

表向きの理由は、そんなときこそ、きちんと裏側を勉強すると面白い!ということを知ってもらいたいというものです。

(裏向きの理由としては、このタイミングなら閲覧数が伸びるぞ!とか、朝までワールドカップを見ていても、仕事のための取材だ!と言い訳ができること・・・)

テレビ中継をライブで見る!

まず、スポーツ中継の映像は、ほとんどの場合、「著作物」に該当します。

「著作物」には、これを創作した人=「著作者」に、「著作権」が発生しているので、「著作権」を持っている人に許可を取る必要が生じます。

・・・

正直、「???」となってしまった方、安心してください、ちゃんと解説します。

たとえば、「モナリザ」という絵画は、「著作物」で異論はないと思います。
これを創作した「レオナルド・ダ・ビンチ」は「著作者」です。
したがって、「モナリザ」をコピーして使いたいよという人は、「レオナルド・ダ・ビンチ」に対して許可を取らなければなりません。

※なお日本の著作権法(海外の多くの著作権法制も)は、著作者が死んでから70年間で期限が切れて、誰でも使えるようになります
カッコつけたいあなたは、「パブリックドメインだよ」と言えるといいですね。笑

著作権の存続期間

※ちなみに、レオナルド・ダ・ビンチは、「ビンチ村出身のレオナルド」という意味で、本当の名前は、「レオナルド・ディ・セル・ピエロ・ダ・ビンチ」だと言われています。
覚えておいて飲み会で披露すると嫌われます。笑

ダビンチの本名

話を元に戻しましょう。

スポーツの中継映像が、「著作物」だとするならば、パブリックビューイングを開催する主催者は、その「著作権」を有している人に、許可を取らなければならない(通常はここで、許諾料(ライセンス料)が発生する)はずで、それを無断でやってしまうと著作権侵害になってしまうのです。

「あれ、じゃあ、中料理屋の上の方にテレビがおいてあって、昼間にニュースとかを流しているあれって、許可とってやってるの?」

と思ったそこのあなたは鋭い!

もちろん、そんなこと、多くの場合ありません。
実は、著作権法には、①ライブで、②非営利で、③一般的なテレビ機器を用いる場合には、例外的に許可不要となっているのです。

根拠の条文を紹介します。
一読して「なるほど」と思ったあなたは天才です!

 放送され、有線放送され、特定入力型自動公衆送信が行われ、又は放送同時配信等(放送又は有線放送が終了した後に開始されるものを除く。)が行われる著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。

著作権法38条3項

したがって、テレビを、一般に売っているテレビ機器を用いて、流しているだけの中華料理屋さんは、特に「著作権者」の許諾はいりません。

パブリックビューイングと謳っている場合

問題は、②非営利という条件があったこと。

先の中華料理屋さんでは、シンプルに中華料理そのものの対価は払っているわけですから、「お金のやり取りが、店と客の間で発生しない」というわけではなさそうですよね。

つまり、「テレビから流れる映像に対しての対価」性があるかどうかがポイントになりそうです。

さて、話は変わりますが、次回の日本vsクロアチア戦の時に、あなたはどちらのお店に行きたいですか?

A テレビがあって、クロアチア戦が放送されるバー

B テレビがなく、クロアチア戦が放送されないバー

僕は、迷わずAに行きたいのですが、この辺は趣味の問題(と、放送される時間帯の問題)があると思いますよね。

でも、Aを選んだあなたは、「観戦できる」ことに対して価値を見出してませんか?

そうなのです。間接的ではありますが、「観戦できる」すなわち、「テレビから中継映像を流す」ことが、対価を支払う顧客の判断内容に含まれてしまっている場合には、「営利目的」であると判断されやすいのです。

※この理論を定着させた判例は、スナックにおけるカラオケ機材が問題となった事例だったため、詳しい人たちの間では、「カラオケ法理」などと呼ばれています。読みたい方は、こちらから。

昭和63年3月15日最高裁判決

結論

というわけで、パブリックビューイングを主催する側は、「著作物」の「著作権」を保有している人に許可をとるべしということになりそうです。

もっとも、今回はあくまでも、普通のテレビで流した場合でしたが、皆さんも、大画面で見たくて、プロジェクター+スクリーンなんて用意しちゃったりしてませんか?

そこに潜む罠とは!
そのあたりはまた次回。

最後に

最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
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