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[エッセイ] 未完成交響曲とAI  AIは「未完成」を「完成」させられるか?

未完成交響曲は、クラシック愛好者だったら、誰でも知っている名曲です。
憂愁ただよう旋律は、心に深くしみ込んできます。
昔、「運命」「新世界」「未完成」はクラシック入門の三点セットといわれましたが、今はどうなんですかね。
ところでこの「未完成」、じつは第一楽章、第二楽章の二楽章だけなんですね。
ふつう、交響曲は四楽章ありますから、あと二楽章たりないわけです。
だから「未完成」なんてタイトルなんですが、曲の内容とは無関係なわけです。
未完成どころか、完成度の高い美しい曲ですから、二楽章だけでも十分感銘をうけますが、やはりどこかで、残りの二楽章を聞いてみたいという気持ちもあります。
以前、第三楽章の草稿がみつかったというニュースがあり、ピアノで演奏したものを聞きましたが、印象にのこっていません。
 
ところで最近、AIなど作品の創作をするソフトがあらわれ、脚光をあびています。
絵本など、ラフ・ストーリー、登場人物、画風等、条件をあたえると、ひとつの作品をつくってくれるそうです。
その創作のメカニズムは、膨大な量のビッグデータからコンピューターが取捨選択して、適切なものをつなぎあわせて制作するわけです。
オセロゲームなどはもう、人はコンピューターにかなわないようですが、
文学、絵画、音楽などの芸術分野ではどうなるでしょうか。
私は老プロダクトデザイナーなので、もののデザインに関心がありますが、
たとえば○○会社の△△車のようなフォルムに、□□車のようなフロントグリルの新しい車なんて条件で、革新的デザインが生まれるものなのか?
しょせん既存のデータからの組み合わせですから、限界があるのではと考えてしまいますがどうでしょう。

シューベルトの全作品、また他の作曲家の作品も含めてビッグテータとして、はたして「未完成」の残りの二楽章がつくれるか興味があります。
もしすばらしい、だれもが感動する未知の曲が生まれたら、もうすべての芸術家はみな青くなってしまうでしょう。

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