この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第71回]
送別
下馬飲君酒 馬よりおりて 君に酒を飲ましむ
問君何所之 君に問う いずくにか ゆく所かと
君言不得意 君は言う 意を得ず
帰臥南山陲 南山のほとりに 帰臥せんと
但去莫復問 ただ去れ また問うこと なけん
白雲無尽時 白雲は 尽くる時 無からん
王維
馬からおりて 君と別れの盃だ
「これから どこに行くんだい」
ぼくは君に聞いた
「人生 思うようにいかなかった、
南山のほとりにでも 引き籠るさ」
と、君は答えた
「そうか わかった もう聞かないよ、
白雲は いつも君を見守ってくれるだろう」
*この詩、最後の句が心に沁みます。
当時の詩人たちにとって、
白雲は心のふるさと、
俗世間をはなれた、
理想の境地のシンボルだったのでしょう。
絵は、大きな白雲、大きな山、
そして片隅にポツンと小さく家を配置しましたが、
この詩の感じをあらわせたか・・・
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