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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第70回]


勧酒 礒部晴樹・画


勧酒         酒をすすむ

勧君金屈巵      君にすすむ 金くつし
満酌不須辞      満酌 辞するを もちいず
花発多風雨      花ひらきて 風雨 多し
人生足別離      人生 別離たる

于武陵        うぶりょう

君にすすめる 黄金の盃
なみなみとついだこの酒 遠慮するな
花が開けば 嵐がくるし
人生 別ればかりだから


*屈巵=くつし=把手(とって)のついた盃
惜別の詩です。
「別離足る」とは、別れがいっぱいあるということだそうです。
この詩には、井伏鱒二の名訳があります。

コノサカズキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
サヨナラダケガ人生ダ



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