少子化の解決方法 資本主義の完成
少子化によりオワコン化する資本主義
資本主義の拡大
1991年、ソ連が崩壊した。
その後、地球上のほぼすべての国が資本主義を採用することになった。
アメリカが中心となって、自由貿易を推進し、世界をグローバル化させた結果、地球上で資本主義が通用しない場所は、ほとんど存在しない。
そして、地球上で、ホモ=サピエンスとして生きる限り、資本主義から逃れることは決してできない。
20世紀~21世紀にかけて、資本主義はものすごい勢いで拡大した。
世界全体のGDPは、1960年から2020年にかけて60倍になった。人類全体の富の量が、たったの2世代のうちに60倍に膨れ上がったのである。
同時に世界の貿易額も大幅に増加した。世界中が資本主義化して、世界中で自由貿易が行われた結果である。
世界の株式時価総額は、拡大を続けた。
分散投資型の投資信託(インデックスファンド)を買って寝かせておけば、資本主義が終焉しない限り、絶対にもうかるといわれる所以である。
人類は、資本主義のおかげで豊かさを手に入れることができた。
地球上には、まだまだ貧困国があって貧しい人々も多い。だが、これら貧困国の暮らしも資本主義によって、着実に豊かになっている。
先進国では、資本主義により、食べきれない美食、手厚い医療制度、長寿と健康を手に入れることができた。
その証拠に、平均寿命は年を追うごとに長くなり続けている。
資本主義は、間違いなく人類に豊かさを与えてくれた。
人類は、今後も資本主義と共に、豊かさを追求しつづけ、繁栄を続けることだろう。
間違いない。
でなければ、インデックスファンドを勧めるマネー系Youtuberたちや、新聞や雑誌に寄稿するファイナンシャルプランナーや、会社と提携して年金の説明会をする銀行のおねーさんが、ウソを言っていることになる。
彼らを信じて、インデックスファンドに分散投資をした、僕たちが騙されたことになる。
そんなことは、絶対にあるはずがない。
資本主義の黄昏
下の図は、さまざまな国における人口の平均年齢である。
すべての国において、平均年齢が上がり続けている。
平均年齢において、日本は世界一高齢化が進んでいる。2030年には、日本の平均年齢は50歳を超える予想だ。
過去数十年で、資本主義は、人類に空前絶後の豊かさをもたらしたが、それには、高齢化という副作用が存在した。
人間にもし、”老化”という概念がなく、不老不死であれば問題はない。
だが、人間は老化する。老人になれば身体の不具合が発生し、労働生産性は低下し、病気にかかって、最終的に死ぬ。
現在の資本主義の繁栄は、高齢化という引き返せない副作用を伴いながら繁栄する、焼畑農業でしかない。人口構造は、一度破壊されたら、二度と戻ってこない。
資本主義と子供は、相性が悪い
韓国、日本、台湾では、出生率の急低下により、国家が消滅するレベルの少子化が発生している。日本政府や韓国政府は、必死に少子化対策を行っているが、まったくもって効果はない。
豊かさと出生率には、明確な関係性があり、豊かになればなるほど、出生率が低下する。
資本主義と”子供”の相性は悪い。
なぜ経済発展すると、子供の数が減るのだろうか?
それは、子供を生み出す両親の立場からみて、子供をもつデメリットが大きくなるからだ。
まず、子供に関しては、コスパは最悪である。時間と労力とカネを、バカみたいに消費する。その一方で、お返しを求めたら反抗して、どこかに行ってしまう。
子供にコスパを求めるべきではないとする考えもあるだろうが、しかし、そうはいっても ”子供をもちたい” とする本能まかせでは、少子化が進むのを止められない。
そもそも、高度な資本主義社会で生きる、21世紀の人類は、本能を抑えることに慣れている。本能が命ずる欲望のままに行動すると、とんでもない目にあう。
例えば、本能的に、おいしいものを食べたい、欲しいものをカネをつかって買いたい、風俗に好きなだけ通いたい、ガチャを回し続けたい、などと、欲望をいっさい我慢せずに行動すれば、たちまち借金まみれである。
資本主義社会は、人間の欲望を刺激するマーケティングや広告・宣伝にあふれている。資本主義社会では、欲望を我慢することが非常に重要であり、それができなかった人間は、借金をかかえて、自己破産をして、光のあたらない場所に堕ちることになる。
資本主義社会で、生きていくために人は欲望を抑えることが必須である。いっぽうで、資本主義社会を維持するためには、”子供をもちたい” という欲望だけは、発揮してもらわないといけないのである。
欲望を選択的に切り離すなど、そんなことは不可能だ。
子供はとてもカネがかかる。特に男性にとっては、女性を獲得して産んでもらわなければならない、それゆえに、女+子供で、二重の意味でカネがかかる。うまれつきの才能が大いに関係するものの、標準以下の男性にとって、子供を持つハードルはきわめて高く、そのためには多大なる犠牲(血と汗と涙)が必要なのである。
子供を持つことは、資本主義を生きる人間にとって極めてハードルが高い。(そもそも、結婚のハードルが高い。)これは、格差が拡大する資本主義としては正しい在り方なのであるが、しかしながら、人口の再生産をできない社会は、欠陥品である。
資本主義は、共産主義革命ではなく、少子化によって滅亡する。
なぜ少子化対策は機能しないのか?
教育インフレ、教育チキンレース
子供を産まない理由は、子供をもつ ”メリット” と ”デメリット” を比較して、”デメリット” が大きいからだ。
従来型の少子化対策は、補助金を与えることで、子供にかかる金銭的な費用を軽減し、それにより出生率を上昇させることを意図している。
だが、この方法は、失敗した。
韓国において、子供をもつ両親に対して、巨額の財政支援が実施された。
それにもかかわらず、出生率はまったく向上せず、過去最小の 0.7をたたきだした。
なぜか?
それには、マルサスのワナが関係している。
マルサスの人口論に、こんな話が載っている。(マルサスはナポレオンと同世代、江戸時代の人物)
この、18世紀(日本は江戸時代)にイングランドがやらかした失敗と同じことを、韓国政府や日本政府は、子育て支援でやろうとしている。
子育て世帯にカネを配ると、子育て世帯は、そのカネのほとんど全てを教育にぶっこむのである。
韓国や日本の都心部では、子供の教育費が高騰している。
特に、子育て支援に巨額の予算を使った韓国では、小中高生の塾代金が3兆円に達している。 日本の軍事予算が5兆円だから、韓国人の親たちが、お受験用に塾に払う金額は、日本の軍事費の半分以上に相当する。(韓国人は、1年間だけでイージス艦を8隻 買えるカネを塾に支払っている。)
韓国で子供をもつと、小学生~高校生まで、10年以上にわたって月に、5~6万円の塾代金が発生する。これは、合計すると1000万円近い支出となり、かなりの負担である。
例えば、子育て支援として、子供ひとりに100万円を支給したとしよう。そうすると、その国の両親たちは、その100万円にプラスしていくらかのっけて、子供を塾に通わせる。
その結果、子育ての負担は楽にならない。
とてもバカな話に思えるのだが、韓国の結果をみると、そのようなアウトプットが出てくる。
なぜ、韓国や日本の親たちは、子供の教育に非合理的なまでカネを支払うのか?
なぜ、日本の親たちは、子供に中学受験をさせたがるのか?
なぜ、韓国の親たちは、子供を塾に通わせ受験勉強させるのか?
なぜ、無制限に、効果の疑わしい教育投資にカネを突っ込むのだろうか?
それは、”子供”の地位が強くなりすぎて、”親の責任” が無制限に拡大したからだ。
親の無限責任
子供の権利強化と親の責任増加に関しては、複雑なメカニズムが作用している。
かつて、子供の地位は低かった。子供は、親の所有物とみなされており、借金返済のために、売られることもあった。家のために働くのは当たり前だし、もちろん、暴力をつかっていうことを聞かせることも当たり前だった。
① 最初に、子供の権利を強化したのは戦争だった。
明治時代の日本では、義務教育が整備された。明治日本は、植民地化を避けるため、富国強兵により国力を一気に増強しようとした。
子供は、将来の労働者であり、将来の兵隊であった。
だから、子供は、未来を支える国の宝とみなされ、社会全体で養育すべきものになった。
富国強兵が重要だったのは、他の国も同様だ。第一次世界大戦と第二次世界大戦を戦うには、大量の兵隊が必要であり、将来兵隊となる子供たちは、大切に育成された。
第二次世界大戦後、世界は豊かになった。特に、西側諸国 アメリカ陣営は、アメリカ主導による自由貿易や、世界銀行を通じた補助金によって、飛躍的に経済を発展させた。
そして、豊かになると、自分自身の本来の生活以外に”余計なこと” ができるようになる。
② 次に、子供の権利を強化したのは、母親たちだ。
母親たちが子供の成績をつかったポケモンカードバトルを開始したのだ。
女性には、子供の成果≒自分自身の成果、子供の価値≒自分自身の価値、といったように、子供と自分自身を一体化して考える傾向がある。
ある程度豊かになった社会では、母親同士が自分たちの子供の偏差値で、見栄を張りあい、競争するような現象が発生する。
豊かになる前から、女性同士のコミュニティでは、親戚や近所の噂話でずっと盛り上がっていたはずだ。だが、女同士のマウンティングに子供の成績を数字で明確化する偏差値が導入された結果、より一層マウンティングが容易になった。
結果、受験戦争が過熱して、教育費が高騰する。
だが、それだけじゃない。
女性たちがポケモンカードバトル(マウンティング)する環境において、塾に行かせてもらえない子、習い事に行かせてもらえない子、夏休みに旅行に連れて行ってもらえない子は、かわいそうな子だとして、蔑んだ目で見られる。
女社会の残酷さを理解している母親たちは、自分自身の子供が”蔑んだ目”で見られることがないように、たとえバカバカしいと思っていたとしても、ポケモンカードバトルから降りられないのだ。
母親たちの想いは、子供たちにも伝わる。塾に行かせてもらえない子や、習い事をしない子、ビンボーな子が、現実問題としていじめにあったりする。
だからこそ、母親たちの教育投資は止まらない。止められない。
これが女の”サガ” というものだ。
③次に、子供の権利を強化したのは、社会
現代人が現代人として、生きるのは難しい。
ホモ=サピエンスの肉体は、狩猟採集時代がベースになっている。ドングリを集めて鹿やイノシシを狩って、たまに人間も狩る、そんな生活に最適化された肉体をもっている。
それが、21世紀の社会に適応するためには、毎日 決まった時間に起きて、満員電車に揺られ(好みの女がいても、決して手は出さず)、気が進まない会社に入り、そこで、気が進まない仕事をこなし、8時間以上 パソコンを眺め、ストレスをためて、電車に揺られて帰る、そんな生活を繰り返さねばならない。
自由は、著しく制限される。
唯一、ぜいたくが許されるとしたら、白米をおなかいっぱい食べることだけだ。(定食屋のやよい軒は、ごはんのおかわり自由だ!)
当然ながら、社会に適応できない個体が出現する。当たり前である。狩猟採集時代から比べて、ライフスタイルは変わりすぎだ。
(社会人化に成功した人間も、幼稚園~小学校~中学高校~と、本当に小さいころから、長期間にわたる訓練によってのみ、従順な社会人へ成型されているのだ。)
社会は、この”失敗” リスクを、”親”にすべて押し付けた。
子供が引きこもりになった?
親がなんとかしてください。
子供が犯罪者になった?
親の育て方が悪かったんじゃない?
子供が損害を引き起こした?
親が賠償してください。
(小学校のグラウンドで、80代の女性が小学生と衝突して骨折して、725万円の賠償金を請求する裁判が発生している。
https://mainichi.jp/articles/20240725/k00/00m/040/178000c)
当然ながら、子供の失敗の責任を、赤の他人に求めるのは筋違いなので、必然的に、親か社会が責任を取るしかない。
だがしかし、社会は、子供の権利を強化して、むしろ”親”を追い詰める選択をした。
以下は、公式に出回っている不適切な養育のチェックリストである。
かなり厳しい。現実として無理ではないか? と思われるリストが現実として出回っている。
だが、法律上は、このような”不適切な養育” を行う家庭は、児童相談所から指導されたり、最悪逮捕される場合もあるようだ。
子供をもつことのリスク大きすぎやしませんか?
親になった大人は、いつ休むんですか?
”Always ON”て、栄養ドリンクのCMですか?
”親”に求められる水準が不自然にまで高くなりすぎた結果、21世紀の親たちは、親としての責任を果たしていることをアピールするため、子育てに失敗するかもしれない恐怖とプレッシャーを解消するため、無制限の教育投資に参加する。
21世紀の親たちは、アリバイ作りのために、できることはなんでもしておけと、巨額のカネを教育業界に誘導されるまま、散財せざるを得ないのだ。
世界中で少子化が進む原因は、”親” に求められる子育ての水準が過大になっていることだ。
親の無限責任が、少子化の原因である。
ピンチはチャンス 資本主義の明るい未来☆
子供は、株式会社方式でつくれ!
子供を育てることは、大きなリスクを伴う。
子供が、はたしてちゃんと育つのだろうか?
・ひきこもりにならないか?
・ニートにならないか?
・犯罪者にならないか?
・世間にめいわくをかけないか?
・いじめの加害者にならないか?
・自動車で事故を起こさないか?
子育てのリスクには、果てがない。
人類は、リスクが許容できない場合、そのリスクを分散することで対応してきた。
大航海時代、商船が戻れば莫大な収益を得られるが、商船は海賊や遭難により戻ってこない可能性も高かった。1人の商人が、財産をはたいて商船を用意し、東方貿易に繰り出したとしても、その商船が戻ってこなければ、たちまち破産してしまう。
人類は、この大航海時代の、ハイリスク・ハイリターンな事業を遂行するために株式会社という仕組みを発明した。
結果、株式会社を発明したオランダが世界の覇権を握った。オランダの覇権は、イギリスに引き継がれ、株式会社制度は、大英帝国の礎となった。
現代社会で、子供を育てるのはリスクを伴う。
それも、個人で抱えることができない、大きなリスクだ。
それゆえに、子供をもつことができる人が、ますます少なくなっていく。
だったら、株式会社を使って、リスクを分散すればよい。
親がなくとも子供が生まれる仕組みを作ればよい。
子供を株式会社でつくる、というと違和感満載かもしれない。
だが、仕組みとしては、奨学金制度と同じである。
奨学金制度では、大学生にお金を貸し付ける。
大学生が就職して、社会人になったら、給料から貸し付けた金を分割で返済してもらうのだ。
この奨学金制度をもう少し拡大する。
とある株式会社が、優秀な小学生にお金を貸し付ける。
小学校~中学校~高校~大学~就職までの、その全養育費用を負担する。
そして、社会人になった後、その費用を分割で支払ってもらうのである。
もう一歩拡大しよう。
とある株式会社 は、優秀な遺伝子をもつ、赤ん坊にお金を貸し付ける。
保育所~保育園~幼稚園~・・・・大学~就職までの、その全養育費用を負担する。そして、社会人になった後、その費用を分割で支払ってもらうのだ。
赤ん坊が社会人になるまでの期間が長すぎないか?という心配はご無用だ。
日本国においては、個人向けの住宅ローンですら、50年の長期ローンが存在している。さすがに、50年はやりすぎとしても、30年程度のローンは一般的である。
国家向けの国債は、もっと長期間にわたる資金を供給してくれる。日本の長期国債は30年までしか発行されていないが、ドイツの自治体が100年債を発行したり、フランス、メキシコ、インドネシア、中国などが50年の国債を発行している。
このように、金融市場においては50年間の長期間を待てる資本が大量に存在する。赤ん坊が社会人になるまでの25年程度は、金融市場からしても、非現実的なほど長くはないのである。
もちろん、奨学金を貸す生徒が少数であれば、途中で、不良になったり、誘拐されたり、病気になったり、異世界に転生したりと、さまざまな不測の事態が発生するだろう。
だがしかし、母集団として、優秀な遺伝子をもつ人間を一定数確保できれば、知能の遺伝率 80%からいって十分なリターンを得ることができる。
さらに、”知能”よりも”成功”にダイレクトにつながる遺伝子を解明することができれば、よりよいリターンを上げることができる。
要するに、投資として成立するということだ。
さらにこれをもう一歩拡大すれば、親がいなくても子供を生み出すことができる。
優秀な人間の卵子と優秀な人間の精子から優秀な受精卵をつくって、この受精卵を代理母が出産する。この赤ん坊にお金を貸し付け養育し、社会人になってから、その貸し付けたお金を返済してもらうのだ。たとえ途中で脱落する子供がいても、全体として成長した子供たちが優秀であれば十分に投資は回収できる。
父親も母親も存在せず、政府の介入もなく、純粋に資本から子供が誕生する。
人間の再生産を資本主義だけの世界で行うことができるのだ。
株式会社による人間の再生産☆ 技術は すでに完成している
すばらしい新世界は、1932年に書かれたユートピア小説である。
ここで描かれる世界では、すべての人が豊かに、自分の人生に満足して、幸福に暮らしている。
まさに理想的!だが、同時に非現実的だ。
なぜなら、この理想郷においては、すべての人間が赤ちゃん工場で ”あるべきスペック” で生産されるのだ。このテクノロジー(赤ちゃん工場)は、21世紀においても、実現していない。つまり、すばらしい新世界の描く世界は、非常に理想的ではあるものの、科学技術の観点からみて、実現不可能なのだ。
(今はまだ。将来的に、人工子宮が実用化されれば、赤ちゃん工場が始動するかもしれない。)
一方、子供を株式会社方式で生産する方法は、科学技術面において、21世紀の技術水準で十分可能だ。
子供をつくる技術は、不妊治療によりもう十分に進んでいる。
日本における不妊治療の件数は、45万件である。2年で100万人であり、この数はめちゃくちゃ多い。
不妊治療の名目で、優秀な卵子と優秀な精子を選別し、優秀な受精卵をつくる技術は、著しく進歩している。
不妊治療による、人間の生殖技術の向上は、フェミニストの大きな成果の一つである。
また、日本では合法化されていないが、ロシア、ジョージア、ウクライナなど、旧ソ連圏の国では、ビジネスとしての代理母出産が合法とされている。
ロシア=ウクライナ戦争の前まで、つまり2022年まで、ウクライナで、毎年2000人の赤ちゃんが代理出産で誕生していた。ロシア=ウクライナ戦争がはじまってからは、隣国のジョージアへ代理出産ビジネスは移行した。
つまるところ、技術面で優秀な卵子と、優秀な精子と、丈夫な代理母を組み合わせて、株式会社方式で、収益だけを求める形で子供をつくることは、可能である。
資本主義の枠内で、人間を生産すること、
少子化問題を解決することが可能なのだ。
歴史法則
人類の歴史は、一方通行だ。
常に、人類全体として”力”が増加する方向に歴史は動く。
例えば、ローマ帝国がゲルマン人に敗れて崩壊したとしても、室町幕府が滅びて戦国時代になったとしても、唐帝国が滅亡して中国の人口が五分の一に減ったとしても、長期的には人類全体として”力”が増加する方向に動く。
株式会社による子供の生産は、人類の発展の面からみても、非常に望ましい。
人類が超進化することを意味するからだ。
優生学という学問がある。
人間も、生物なのだから品種改良が可能であるとする考えだ。
株式会社による子供の生産は、非常にシビアなものになるだろう。子供が優秀か、優秀でないかが投資収益率に直結するからだ。
だからこそ、ドライに成果を出すような方向に人類は超進化するだろう。
病気にならず、長寿命かつ老化しにくく、短時間の睡眠で活動でき、メタ認知能力に優れ、学習能力が高く、向上心があり、合理的かつ協力的でコミュニケーション能力が高く、おカネが大好きな人間に、人類は品種改良される。
さらに、資本主義社会においては、異次元の金持ちが出現する。
もし仮に、株式会社が生産した子供たちから、たった1人でも、孫正義や柳井正のような、超富裕層が出現すれば、そのお返しは、目玉が飛び出るようなものになるだろう。(株式会社で生まれた子供たちから、超富裕層が出現する割合は、非常に高い)
人類進化のカギを握る、貯金1億円おじさん
株式会社による人間生産の一歩手前までで、たとえば優秀な小学生に対する奨学金制度の拡大で少子化問題は解決するだろうか?
あるいは、遺伝的に優れたカップルから生まれた子供に対して、養育費用を全負担するローンを与えるという、従来の奨学金制度の拡大で少子化問題を解決できるだろうか?
これらの案で少子化が解決するなら、優秀な人間に対して、養育費用を供与する金融会社をつくればそれで済む。従来の家族制度を維持できることから、非常に簡単でハードルも低い。
だがこの方法は、失敗するだろう。
韓国が失敗した、子供を産む両親への補助金と大差ない。
そもそも、両親の負担が過大であることが、少子化の原因である。
・子供をつくるためには、”親”が必要
・”親”に求められる要求水準が高い
・”親”になりたがる人が減少する
親が減る結果として、少子化が起こる。
子供が生まれる前提として、”親”の存在があるかぎり、少子化は解決しない。
(もうひとつの方法は、子供から人権をはく奪するという、先祖返りの方法だ。”親” に求められる水準を切り下げることでも、少子化は解決する。だが、この解決方法は、時計の針を逆回転させるだけであり、人類進歩と資本主義の観点から望ましくない)
究極の少子化対策は、子供と親を切り離すことだ。
親がいなくとも、子供が生まれる仕組みが理想である。
”人”ではなく、”仕組み”が子供を生産する、株式会社による子供の再生産システムこそが理想である。
とはいえ、株式会社を使った、子供の再生産システムが、いかに理想的だったとしても、なにかきっかけがないと ”仕組み” は生まれない。
株式会社による人間の再生産システムは、一度その流れが完成してしまえば、成長した労働者からの収益で、永久に持続可能であるが、一番最初にこのシステムを動かすためのおカネが必要になる。
それも莫大なカネが。
優秀な遺伝子をもつ卵子と、優秀な遺伝子をもつ精子と、子供を産んでくれる代理母をそろえて、できた子供を25年間も養育して、それでやっと収益が上がるのである。
この、卵子と精子と代理母と、養育するシステムを構築するための”資本”をどうやって用意したらいい?
本来であれば、国が補助金を出してこの仕組みを作るべきだ。だが、国家がこの事業をやろうとすると保守的なマスメディアや学者連中などから攻撃されるだろう。
民主主義国家においては、数十年後のことを考えて投票をする有権者は少数だから、目先の派手な減税や公共事業の実行にカネが使われがちだ。
独裁国家においても、独裁者の政権維持のためにカネが使われ、1世紀後のための投資をすることは難しい。
国が主導する、株式会社による人類再生産システムの構築は、難しいだろう。
もし仮に実現したとしても、国家主導でのシステム構築は、平等性、公平性、公正性など、余計な因子が入り込みやすく、非効率なシステムができてしまう。
篤志家の金持ちが、人類のために一肌ぬいでくれるかというと、これも難しい。篤志家の大金持ちは、たいてい子だくさんであり、自分自身の子孫以外はできるだけ無能であってほしいと願うものだ。愚かな大衆こそが、大金持ちが望む人間である。株式会社による人類再生産システムには、反対するだろう。
このような状況で、どのように最初の資本を用意するかが、非常に重要になる。
自動車のエンジンを始動するとき、スターターモーターでエンジンを回転させる必要があるように、ポンプを動かすときに呼び水が必要であるように、システムを始動させるときには、特別な労力が必要とされる。
株式会社による人類再生産システムの構築
この革命を主導するのは、
国家でもなく、超富裕層でもない
貯金1億円おじさんである
貯金 1億円おじさん
1980年代から21世紀にかけて日本では、自由恋愛制度が採用された。自由恋愛は、大量の敗者と勝者を生み出した。
一昔前であれば、結婚してよき父となっていたであろう、大企業勤務正社員の男性までも、結婚できずに末代になってしまった。
その結果、大企業で正社員として働いている末代男性は、1億円ちかい貯金を蓄積する結果となった。
男性の人生において、カネがかかるのはすべて ”女がらみ” である。
人生において、おカネがかかるもの上位ランキングは
家:5000万円
車:3000万円
保険:2000万円
教育費:2500万円/人
となっている。
独身だと、教育費が不要、保険も不要、家も賃貸でよいので、マイホームも不要となる。車を趣味にしなければ、そもそも車も不要か、安価な軽自動車で十分だ。
従って、女の相手をしなければ、1億円 浮くのである。
なお、老後資金も妻の分を考慮しなくてよいので、老後資金の面でも有利だ。
そのうえ、このような独身男性たちは、おカネに厳しく節約志向だったりする。投資とか株をやっている場合も多く、株主優待制度をうまく利用したりしている。
あなたの会社でも、貯金1億円あるとか、貯金2億円あるとか、噂されている独身男性がいるはずだ。
貯金1億円おじさんは、配当金や年金で老後の生活を十分まかなえるから、死の直前にいたっても1億円の資産がある。
つまり、独身末代の貯金1億円おじさんは、その1億円を使うタイミングがない。
遺産は、本来であれば子供にいくのであるが、末代の独身男性は相続する先がないので、遺産は国にすべて召し上げられる。
貯金1億円おじさんのおカネは最終的に国がもっていく。
だが、貯金1億円おじさんは、それでヨシとするだろうか?
貯金1億円おじさんの数
貯金1億円おじさんは、割と身近に存在する。
男性の生涯未婚率は30%であるが、高年収男性に限ると生涯未婚率は10%に低下する。
この10%のうち、半数は車やギャンブルや風俗などによる散財で、貯金1億円おじさんにならないと仮定しよう。
そうすると、高年収男性のうち5%が貯金1億円おじさんだと考えられる。
中年男性の年収の中央値は500~550万円である。
ここから、高収入男性の割合を推定する。
上の表より男性の半分は、年収550万円以上である。
年収 550万円では、貯金1億円に達するのは難しいかもしれない。
だが、男性の上位25%であれば、おそらく年収 750万円程度、貯金1億円も不可能ではない。
つまり、中年男性のうち、25%×5%=1.25% が貯金1億円おじさんということになる。
一見、少ないように見える。
だが、貯金1億円おじさんが、大量にごろごろ存在しているわけもなく、1%程度というのは、妥当な数字だと考えられる。
中年男性の代表として、氷河期世代の男性人口 約1000万人を採用する。
少なく見積もって、その1 %が貯金1億円おじさんになるとしても、10万人になる。
1000万人の氷河期男性のうち、300万人が独身で、そのうちたったの10万人、 30人の独身者のうち1人だけが貯金1億円おじさんになれるのだ。
割合は少ないものの、母数がでかいだけに、その数は10万人とめちゃ多い。
日本社会には、氷河期世代に限定したとしても、10万人の貯金1億円おじさんが存在するのである。
つまり、貯金1億円おじさんの遺産は10兆円にものぼる。
(イージス艦を25隻も発注できる)
もし、貯金1億円おじさんの心を動かすサービスが存在すれば、そのサービスには ”10兆円” の需要がある。
そして貯金1億円おじさんの存在は、日本に限った話じゃない。
自由恋愛制度の採用による、未婚率上昇からの少子化が進んでいるのは、韓国、台湾、中国でもまったく同じである。
自由恋愛の普及により、世界中に、大量の貯金1億円おじさんが爆誕しているのだ。
この、大量の貯金1億円おじさんが持つ資本は、国家予算規模である。
貯金1億円おじさんに”子供”を提供するビジネス
条件はすべてそろった。(Conditions are all completed.)
使うあてのない資本をもつ、貯金1億円おじさんへ向けて、”子供” を提供するビジネスが開始される。
東南アジアの孤児院をイメージしてほしい。
(あくまでイメージだ。最近の東南アジアは豊かになった。)
A. 貯金1億円のおじさんを、連れてくる。
B. 現地の子供を産んでくれる女性に種付けしてもらう。
C. 子供の養育は、孤児院が実施する。
D. 子供が成長する様子を、写真や映像で定期的におじさんに報告する。
もちろん、おじさんが現地を訪問して子供と交流することも可能である。
このサービスでは、貯金1億円おじさんは、子育ての手間や責任をほとんど負担せずに、”カネ”を出すだけで、自分の子供をもつ満足感を得ることができる。
好きなタイミングで、好きなように子供と交流できる。
子育てのいいとこどりが可能なのだ。
責任を限定しつつ、利益をもらえる。
まさに、その在り方は、Limited Liability Cooperation. Ltd., 株式会社と同じである。
(株式のオーナーは有限責任、出資額までの責任しかとらなくてよい)
このビジネスのオーナーは、最初は、貧困地域で孤児院を運営する。
貯金1億円おじさんに、3000万円程度で、現地の女性への種付けアレンジ ~ 子供の養育までを請け負う。
貯金1億円おじさんを100人集めれば、100人規模の孤児院が必要になるが、手元には30億円の現金が手に入る。(0.3億円 ×100)
子供を高校や大学に行かせる場合は、初期費用に加えて貯金1億円おじさんから援助が期待できる。
そのうえ、なにもせずとも、貯金1億円おじさんが遺産を寄付してくれるかもしれない。
ゆくゆくは、この貯金1億円おじさん向けの養育システムを拡大する。貯金1億円おじさんの存在は、自由恋愛と少子化が同時に発生した結果出現した一時的なものだ。最初から、子供をもたないことが確定していれば、貯金を1億円まで貯めるインセンティブなどない。
だから、この貯金1億円おじさんの子供の養育と合わせて、そのついでとして遺伝的に優れた子供を生産するのである。
子供を養育するシステムと設備は貯金1億円おじさんの資本を使う。そのシステムと設備を流用して、優秀な遺伝子をもつ卵子と精子と代理母をつかって、収益性のある人間を生産する。
そして、貯金1億円おじさんの資産を呼び水として、株式会社による人間の再生産システムを完成させる。
資本主義の、資本主義による、資本主義のための、人類再生産システムが完成する。
株式会社による人口の再生産が実現したとき、人類は新たな段階へと移行する。
中国
貯金1億円おじさんに”子供”を提供するビジネスなど、非人道的で許されない。そんなこと、絶対にゆるさないし、日本政府が黙っていない!と思われるかもしれない。
だが、大量の貯金1億円おじさんが存在するのは、日本だけじゃない。
韓国・中国・台湾 など東アジアを中心に、世界中で同じことが起こっている。
自由恋愛からの、未婚率急上昇からの、大企業エリート会社員独身おじさん大量発生からの、貯金1億円おじさん爆誕、までの一連の流れは、日本を筆頭に同様の現象が、韓国・台湾、中国、そして世界中で発生している。
特に、中国の人口は、日本の人口の10倍以上なので、所得が日本より劣ることを考慮しても、それでもなお貯金1億円おじさんの規模も大きい。
日本人がやらなくても、中国人・韓国人の貯金1億円おじさんがシステムを構築してくれる。
結局のところ、優れたシステムというのは、誰かがいずれやるのだ。
人類の歴史
サピエンスの著者、ユヴァル・ノア・ハラリは、人類は3つの革命を経験していると述べた。
1.認知革命
認知革命により、人間は、神の存在を信じ、神のために死ねるようになった。命がけの協力をすることができるようになり、集団としての力が上昇した。
2.農業革命
農業を開始することで、人口を飛躍的に増大させ、文字を発明し、文化を高め、歴史を作り出した。
3.産業革命
化石燃料を利用することで、人類は機械を使えるようになった。それまでの人力・家畜の筋肉ベースの力しか利用できなかった人類は、機械の力の利用により、地球を滅亡させることも、宇宙に人をおくることも、地球の裏側とリアルタイム通信することもできるようになった。
そして、次に続くのは、人類の品種改良である。
4.資本主義革命
株式会社が ”人間” をつくるようになる。
人類のあり方が、真に資本主義的になる。資本主義の観点から、優秀な人間だけが選別され生き残り、人類の質が飛躍的に向上する。
家族は、過去のものになる。
資本主義を、人類を救うのは、貯金1億円おじさんである。
まとめ
人類が資本主義を選択した未来では、株式会社による子供の生産がおこなわれる。
優秀な遺伝子をもつ卵子と、優秀な遺伝子をもつ精子と、子供を産んでくれる代理母を株式会社が揃えてくれる。
株式会社が、生まれた子供を25年間の養育をして、社会人にしてくれる。
この優秀な社会人からの収益でもって株式会社は投資を回収する。
生み出す子供の優秀さは、株式会社の投資収益に直結するから、人類は資本主義的圧力から超進化する。
資本主義と人類は、手に手を取り合って爆速で進化する。
新しい時代の幕開けだ。
この世界史の新しい時代を切り開くのは、貯金1億円おじさんだ。
条件はすべてそろった。(Conditions are all completed.)
貯金1億円おじさんに”子供”を提供するビジネスがはじまる。