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恩師が主宰する「実践経営勉強会」で、恩師の専門分野(事業承継)について講義をする

診断士試験に合格後、正式に診断士として登録するには「実務補習」という通過儀礼が必要になります。15日間、診断実務に携わらなければならないからです。診断士協会が有料で用意してくれる「実務補習」以外に実務に携われる方法があればその選択もあり得ますが、多くの人が実務補習を選択します。僕も5日間コースを3回通過し、無事に登録にこぎ着けました。その2回目の実務補習の指導員をされていたのが、当時、東京協会の会長であった小黒先生です。僕が城北支部に入会したのも小黒先生の影響です。その後も折に触れておせわになってきました。

その小黒先生が主宰されている「実践経営勉強会」で講師役することになりました。最近はほとんど参加できていなかったのですが、メーリングリストに講師募集の案内が流れてきて、大学院が休みの期間でもあったので、手を上げさせてもらいました。

それでテーマが「M&Aを活用した事業承継&起業」。二案出して、小黒先生のから「こっちのほうがいいな」と言われて決めたのですが、決めてからビビりました。事業承継は、小黒先生やこの会の常連の方々にとっての専門分野だったからです。この人たちの前で、僕がこのテーマで話して良いのか、と逡巡もしたのですが、最終的には小黒先生の指定ですから従って、話してきました。

大学院でやっていることを中心に構成をしたのですが、要は、
①このままでは大廃業時代がやってくること
②従来の親族承継には限界があること
③有力な代案となるはずのM&Aが選択されず、廃業を選ぶ人が多いこと
④最近盛り上がってきている、個人によるM&Aを事業承継と結びつけて、今以上に促進できるプラットフォームをつくれないかということ

などを話しました。

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質疑応答の時間、どんな質問が出るかビビっていたのですが、多くの時間を費やしたのが「M&Aのイメージの悪さ」についてです。

黒字経営でありながら後継者がいない会社の経営者に「M&Aも視野に入れた方が……」と話した途端「会社を売るくらいなら廃業する」と言われてしまう。そんな例がたくさんあるという話でした。

もちろん僕も、そんなことがあるのは知っていますし、だから講演の中でも触れているのですが、日々現場で経営者の方に接している諸先輩方から実情を聞くと、想像以上の拒否感があるのだと感じました。M&Aと聞くと「ハゲタカファンド」のイメージが真っ先に浮かび、会社がめちゃくちゃにされてしまうと思ってしまう中小企業経営者がまだまだ多いのだと思います。「それは株式を公開している大企業の話ですよ」と説明しても、なかなかイメージを覆せないのが実態のようです。

これでは本当に大廃業時代がやってくる。「中小企業診断士協会として政策提言をすべきだろう」という案まで出ました。どういうルートを使うかは別にして、「国策」として進めないといけない時期だと僕も考えています。従来の「事業承継のための施策」は相続を見据えた税制に偏っていました。それも大事ですが、そもそも相続する人がいなくなっているわけで、別な施策が必要とされている、個々の企業の努力、それをサポートするコンサルタントや士業の奮闘では間に合わない、というのが総論でした。

今回は、現場の生の声を聞くことができ、発表した僕が一番勉強できたように思います。政策提言は何らかの形でやっていただけると思いますので、その中に織り込んでもらえるような提言が僕自身にできるように、今後も研究をしながら実務も行っていきたいと思います。

*編集協力したこの書籍も同じ問題意識から書かれています。興味がある方はぜひご一読を。


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