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流れに棹さすことで流れに逆らえ(「誰からどう評価されたいですか?」改題)

著者のFacebookより

 先日、上記のような投稿をFacebookにしてみました。思ったより多くの「いいね!」をいただきました。同じように思っている人はそれなりにいるのだと思いました。僕のFacebookの友人、フォロワーには日本人らしくない人が多いのかもしれない、と思ったりもしました(笑)

■一番病あるいは優等生病

人間誰しも、自分が所属する企業や業界の中で良い評価を得たいと思うものでしょう。それは当然のことと思います。僕の中にもそうしたメンタリティはある。組織人としてこうした気持ちを持つことも必要なのでしょう。

しかし、ここには自分の「軸」がない。自分がなにをしたいのかよりも、周囲から評価されることが優先してしまっています。つまり、いま現在自分が属している組織やコミュニティで評価されることが最優先であり、価値基準が自分の中にありません。

こうした傾きを竹内好は「優等生病」と言い、鶴見俊輔は「一番病」と呼びました。これが日本人の特性である、と指摘したのです。鶴見は自分の父親を指して、「大正デモクラシーの時代には自由主義者として一番になろうとし、軍国主義が広まると大政翼賛会の中で一番になろうとし、戦後になれば民主主義者として一番になろうとした」人だと言って批判していました。

いまだってそんな人はたくさんいるでしょう。会社がなにを評価してくれるかが最優先である人はごまんといます。組織人として組織が評価してくれるように振る舞うのは当たり前だ、と思う人は多いと思います。それが全面的に間違っているとはまでは思いませんが、そこまで自分を放棄して価値観を他人に委ねて良いのかな、と考えてしまいます。

そしてなにより、あなたが乗っている船(組織)は安全なんですか、と問いたい。安泰な組織の中でポジション争いをするのは無駄だとは言いません。しかしその船は泥舟かもしれない。泥舟の中で立場争いをしても仕方ない。そんな暇があるなら、救命ボートに乗り込むことを考えた方が良いと思うのです。

■流れに棹さすことで流れに逆らえ

とはいえ、乗っている船が泥舟なら、逃げ出す算段をする前に、泥船の修復・改装を考えるべきなのではないか、と思います。もちろん、人それぞれの価値観ですから早々に逃げ出すことを考えても悪くはない。自分自身がオーナー出ない限り、逃げ出すことを批難出来るわけがないと思うのです。

ただ、もし自分だったら、と考えた場合、中小企業診断士である僕が率先して逃げ出すのもいかがなものか、と思うのです。やはり、泥船をなんとかする方に加担したい。

そうなると、社内政治というものも重要になります。組織の中で評価され、ある程度のポジションを得ることで改革を進めていけるようになるからです。しかし、これが僕にはできない(苦笑) 部下からはいつも「立ち振る舞いが下手過ぎ」と叱られるわけですが、できない者はできない。おとなしくしていれば良いのに、波風を立ててしまいます。僕以外の人間みんなが優等生病であるような状況では、「波風を立てられないなら俺がここにいる価値はない」と思ってしまうのです。

そのこと自体、別に恥じ入るつもりもないですし、自分がそれで悪く言われることも全然気にならない。ただ、少しばかり部下にも災いが降りかかるでしょうから、申し訳ないな、と思うことがないわけでもないです(笑)

それでも、もう少し上手な波風の立て方というのがあるだろうと思います。と言いつつ、どうすれば良いのか、よくわかっていないのですが、波風を立てているだけなら、ただの反権力主義者です。それも一つの生き方だと思いますが、僕が目指す歩み方とは言い難い。

「流れに棹さすことで流れに逆らえ」

というやり方が必要なのだと思います。具体的なやり方は僕にはわかりませんが、この気構えだけは忘れずにこれからの人生を歩みたいと考えています。

*流れに棹さす
「傾向に乗って、ある事柄の勢いを増すような行為をする」
「流れに従って棹さして下るように、好都合な条件にめぐまれ、物事を思いどおりに進めること。」

コトバンク(https://kotobank.jp)より


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