【連載】D2C Design Studio Talk vol.1 - 世界で愛されるD2Cブランドに共通する3つの特徴 -

こんにちは!
博報堂ブランド・イノベーションデザインの岡安穂香です。

本連載では、今年8月にリリースしたD2Cブランド開発支援プログラム「D2C Design Studio」に携わるメンバーがD2Cブランドについて紐解いていきます。

D2C Design Studio
博報堂ブランド・イノベーションデザインのブランディングやサービスデザインに関する知見をもとに、生活者の心を惹きつけるD2Cブランド開発を支援するプログラム 。D2Cブランドを構成するブランド・エクスペリエンス・コミュニティの3つの要素に着目し、「生活者の共感を誘う“らしさ”を設計するブランド開発」「生活者発想に基づいた顧客体験を設計するエクスペリエンス開発」そして「ブランドとの絆を紡ぐ共創アプローチを通じたコミュニティ開発」をワンストップで提供します。各領域の専門家やクリエイターと連携して、デジタルとリアルの体験を高次元で融合したD2Cブランドの開発を実現します。(同プログラムは、博報堂グループ・D2C統合ソリューションチームが提供しています。)

初回記事では、D2Cブランドの定義とD2Cブランドに共通する3つの特徴について事例を交えて解説します。

D2Cブランドとは

顧客との接点が多様化していくなか、自社製品を生活者に対し直販する新たなビジネスモデル「D2C (Direct To Consumer)」が注目されています。

図1

「D2C Design Studio」では「D2C」を製販一体という単なるビジネスモデルとは捉えていません。顧客とブランドによる直接的なコミュニケーションを通じて共感・信頼を築いていくことが重要だと考えています。

特に、世界で愛されているようなD2Cブランドは、SNSを活用したコミュニケーションを通じて熱狂的なファンを獲得しており、一般的なブランディングとは異なる特徴的な体験設計をしています。

そこで、D2Cブランドに共通する特徴を3つ、事例を交えてご紹介したいと思います。

世界で愛されるD2Cブランドに共通する3つの特徴

特徴1 「強いブランドストーリー」
特徴2 「ビルトインされたマーケティングモデル」
特徴3 「デジタルとフィジカルの高次元での融合」

特徴1 強いブランドストーリー

D2Cブランドには「生活者の共感を誘い、自分の言葉で語りたくなるブランドストーリー」が欠かせません。物語と物語が暗示する理想の世界に対する共感を生むことがより有効なコミュニケーションとなるからです。

例えば、ハイクオリティーなアイウエアを手の届きやすい価格(一律$95)で販売開始したD2Cブランド「Warby parker」は、「メガネを必要としているのに手に入れられていない人が世界で10億人いる」という創業者の問題意識から生まれたブランドストーリーが特徴です。 売上の一部が途上国の起業家に寄付されるなど、ブランドストーリーがビジネスのコアと結びつき、人々の心に働きかけるブランドならではの体験が設計されています。

特徴2 ビルトインされたマーケティングモデル

第2の特徴は、「顧客獲得/維持のための仕組み」がサービスの一環としてブランド自体に組み込まれていることです。

例えば、一人一人の肌本来の美しさを引き出すカジュアルなコスメブランド「 Glossier 」 は、著名人の美容意識やコスメを明らかにするブログ「Into the Gloss」を商品開発や美容感度が高い人とのコミュニケーションプラットフォームとして活用しています。また、「アンバサダープログラム」では、クオリティの高い投稿をしたユーザーをアンバサダーに認定し、プロダクトをPRすると売上の一部がもらえるといった、顧客を維持する仕組みをサービスとして提供しています。 このようにプロダクトの開発やそれらを広めていく活動を企業と顧客がともに行うというアプローチが重要です。

特徴3 デジタルとフィジカルの高次元での融合

そして最後、第3の特徴は、「オンライン上の顧客接点と商品そのものが有機的に連携し溶け合うようなUX」が設計されていることです。

例えば、エクササイズバイクとネットを連携し、自宅でもハイレベルなインストラクターのクラスを受けられるサブスクリプションサービス「 Peloton 」は、 エクササイズバイクとネットを連動させたり、ライブクラスで他の参加者とリアルタイムで順位を競い合えるなど、デジタルとフィジカルを融合した没入感のある体験が設計されています。単に流行しているからという理由で手段に固執せず「デジタル」な手法と従来の「アナログ」な手法を適切に選択し、オンラインとオフラインがシームレスに繋がる体験を提供することが重要です。

最後に

このようにD2Cブランドは、個人的な問題意識から生まれる強いストーリーを、事業にも脈々と息づかせることが重要です。いずれもプロダクト起点のブランドとは大きく異なります。今後も、顧客の共感や信頼を得るためには、なぜそれをやるのかという「物語」とその価値をどのような「体験」として伝えるのかを考えることがますます重要になると考えています。

初回記事では、D2Cブランドの定義と、D2Cブランドに共通する3つの特徴について事例を交えて解説していきました。次回の連載では、「生活者視点で考えるD2Cブランドが愛される背景」について、より深くお伝えできればと思います。お楽しみに!

この記事を読んで少しでもD2Cに興味を持っていただけたらお気軽にご相談ください。

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ライター紹介
岡安穂香 | 法政大学デザイン工学部にてプロダクトデザインを専攻。 2019年博報堂に入社し、博報堂ブランド・イノベーションデザインに所属。 イノベーションプラナーとして、ブランドのアクティベーション施策や新規事業開発支援、D2Cブランドのプロダクトデザインを担当。

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