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思い出を彩る音、並行世界の生活 - MMORPGとゲーム音楽

この記事は おすすめCDアドベントカレンダー2022 9日目の記事です。



 




「思い出と音楽は密接に結びついている」とかよく言いますよね。

例えばつらいときに聴いて勇気をもらった音楽とか、元彼が車の中でいつも流してた音楽とか、初めてコピーしたバンドの曲とか。


「この曲を聴いてるとあの日のこと思い出すな」っていうの、お読みのみなさんにもあると思います。



ところでわたしは人並みにゲームが好きです。上手ではないので普段あまりたくさん遊びはしないですが、ゲームの中でもとりわけRPGが好きです。

RPG、ざっくりいうと「遊べる物語」ですよね。
物語があって、その上を自分がなぞっていく。本質としては小説や漫画と同じだと思います。それを一人称視点で体験する、という価値を付加したものがRPG、というか。






FINAL FANTASY XIV(以下、FF14と呼称します)というゲームがあります。

ファイナルファンタジー、というと、まあ日本に暮らす大抵の人は仮に遊んだことがなくてもピンと来るのではないでしょうか。
ドラクエやポケモンと並ぶ国民的ロールプレイングゲームシリーズのひとつです。


FF14はそのファイナルファンタジーシリーズのMMORPG、つまり大人数で遊ぶオンラインゲームになります。

そこにはFF14というゲームの壮大なストーリーがあり、それを自分が体験することができ、さらにそこで生まれた仲間と共闘した思い出が生まれます。

オンラインゲームだからストーリー性が薄いということはないし、もう10年以上続くタイトル、10年以上の記憶をゲームと共にしている人もいます。
そこで出会った人と結婚してる人もいるぐらいだし、わたしもFF14がきっかけで仲良くなって同棲している友人がいます。


わたしはFF14、またはそれに限らずMMORPG、さらには全てのゲームというものに関して、それをプレイすることは「自分のものとは違うもうひとつの人生を歩むこと」だと思っているのです。






前置きが長くなりました。

わたしがこの記事で紹介するのはFF14のひとつめの拡張パッケージ、「蒼天のイシュガルド」を彩る楽曲が収録されたこちらのアルバムです。


と言ってもサウンドトラックなんて知らない人に全曲聴かせるものではないので掻い摘んで数曲だけご紹介。



Songs #1


拡張パッケージのタイトルにもなっており、ストーリーの展開する拠点である霧と石畳の雪国「イシュガルド」におけるフィールドBGMです。

宗教国家として描かれるイシュガルドは貴族と貧民の格差が激しく、また他の国に対してやや閉鎖的な外交姿勢の「冷たい」印象の強い国でもあります。


そんなイシュガルドのことをわたしは本気で「母国」と呼んで愛しているのですが、その荘厳な街並み、そこに生きる人の暮らし、冷たさ、暖かさ。
聴いているといろんなことを思い出します。


イシュガルド



Songs #2


こちらは「低地ドラヴァニア」というフィールドのBGM。

「静寂の星空」というタイトルにもある通り、穏やかで涼しい風の吹く夜に満天の星空を眺める想像が……できるでしょうか?


低地ドラヴァニアはかつて「知の都」の異名を持つ国「シャーレアン」の植民都市であった地域で、その名残として禁書が納められる大きな図書館や多数の遺跡が存在します。

そんな「かつてこの土地で学術を納めた人々」の存在を彷彿とさせるような、それでいて「失われた賑やかさ」を感じさせるような音楽です。





Songs #3

俺たちのローカス…………


FF14の楽曲群の中でも非常に人気の高いバンドサウンドの楽曲です。

古代文明の残した遺跡「アレキサンダー」が研究者集団によって再起動され、その暴走を食い止めるためプレイヤーがアレキサンダー内部に突入する、というサブストーリーのバトルBGMとして使用されています。


FF14は非常に長く人気の高いコンテンツのためリアルイベントも数多く開催されていますが、この「ローカス」をはじめとするバンドサウンドの楽曲を再現する「THE PRIMALS」というバンドは不定期でリアルライブも開催しています。

直近では今年6月に幕張メッセイベントホールで2Daysのライブが開催され日本内外から多くのプレイヤーが集まりました。

ゲーム音楽というのは「誰が聴いても同じストーリーを思い出せるトリガー」でありながら「自分が仲間たちと自分だけの思い出としてたくさんのプレイを重ねてきた日々を思い出せるトリガー」でもあり、集まった人にそれぞれの思い出があり、そういうのを考えるとなかなかに強烈な感情を思い起こさせられるライブでしたね。


機工城アレキサンダー内部。映っているのはわたしのプレイヤーキャラクターです




Songs #4


最後にこちらを。

「蒼天のイシュガルド」という拡張パッケージのストーリーのメインテーマである「Dragonsong」という楽曲です。


ゲーム中でも随所に別アレンジでBGMとして用いられていたり、とにかく本当に、たくさん。この曲を聞くと本当に自分の思い出として、ゲームのストーリーを思い出します。

お時間が許せば、ぜひ。
FF14をご存知ない方も、映像を見ながら、そこにある生活、冒険、土地、人生のきらめき、そういうものに思いを馳せながらお聞きいただければ嬉しいです。






わたしは物語をフィクションだと思っていなくて、「自分たちの認識できないどこか知らない世界で起きている現象、そこに実在する人生」だと思っています。

きっとわたしにそう信じさせてくれたもののひとつがFF14だったのだと思っています。


わたしはFF14に出会ってから10年ほど経ちますが、本当に人生のいろんなところにFF14と並走した思い出があって、そこで出会ってきた感情や人とのつながり、知らない景色。

現実と音楽は確かに思い出に紐づくものですが、必ずしもそこに音楽が存在しているものではなくて、でもゲーム音楽は絶対にゲームから切り離せなくて、悪く言ってしまえば「強制的に聴かされる」ものであって、それはもう世界の構成物の一部ですらあります。

だからといって思い出としてゲーム音楽のほうが優れている、なんてことを言うつもりはまっさらないのですが、「音楽」がそういうふうに思い出に貼り付いている世界もあるのだと知ってもらえればいいな、とか思っています。


ちなみにFF14は月額課金制のオンラインゲームですが、今回ご紹介した「蒼天のイシュガルド」までのストーリーを無料で遊ぶことができます。

そして最近のアップデートでストーリーを遊ぶ上でマルチプレイ要素をスキップできる機能も追加され、ひとりひとり好きなペースで、更に自由に遊べるようになっていますのでぜひ、ぜひ。

長く続けるかどうかは置いておいて、ご興味があればわたしの大好きなもうひとつの世界のこと覗きに来てもらえたらうれしいです。



イシュガルドから臨む雄大な山々


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